海外メディア 『麻薬・エクスタシーが自閉症の人を助けるかも』という記事
週末のリサーチ。今日の第2弾はすごく衝撃的である。世間を騒がす押尾学被告が手を染めたMDMA、通称エクスタシーが、米国の研究機関で真剣に統合失調症や自閉症の人のために活用できるのではないかと研究されているという記事である。
記事はこちらから。タイトルは”Drug ‘Ecstasy’ May Help Individuals with Schizophrenia, Autism”。エクスタシーという麻薬が統合失調症や自閉症の人たちを助けるかもしれない、というもの。
MDMAの構造 wikimedia commons |
研究の全体像から。これはThe National Institute on Drug Abuse(米国麻薬乱用局、と訳すのかな)という米国政府の機関が資金を出している。その資金を得て、シカゴ大学の研究者がボランティアを募り、研究したもので、論文は Biological Psychiatryで発表されるという。
エクスタシーという麻薬は僕もよく知らなかったのだが、Wikipediaによるとこういうものらしい。以下、一部を編集しながら、抜粋する。長くなるが。。。 『3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン (3,4-methylenedioxymethamphetamine) とは、合成麻薬の一種。略称として MDMA、他に エクスタシー(EcstasyまたはXTC)という通称を持つ。心理学者のラルフ・メッツナーがMDMAに対してエンパソーゲン(empathogen、共感をもたらす)という言葉を作った。 後により正確な表現としてエンタクトゲン(entactogen、内面のつながりをもたらす)という呼称が提唱され、精神薬理学の分野で採用されている。MDMAは1985年まで主にアメリカにおいて心的外傷後ストレス障害 (PTSD) の治療に用いられてきた。MDMAはレクリエーション・ドラッグ (Recreational Drug) としての側面も持ち、濫用が社会問題化したことを受け米国司法省麻薬取締局は濫用性が高く医療用途の見込みのない違法薬物に指定した。が、依然としてPTSDへの有用性を主張する声も根強く、2001年にはアメリカ食品医薬品局 (FDA) が、2004年にはDEAがPTSD患者へのMDMAの治験を認める措置が取られることとなり、2008年にはフェイズII治験が終了。続いてイスラエル、スイス、カナダでも臨床試験が行われる。しかし依然としてMDMAが濫用性の高い薬物であることには変わりなく、安全性や依存性の検証、濫用防止などクリアしなければならない問題点は多い。』
この研究を行ったDr. Gillinder Bediによると、“We found that MDMA produced friendliness, playfulness, and loving feelings, even when it was administered to people in a laboratory with little social contact.” 「エクスタシーがあまり社会的な接触のない管理された実験室の中であっても、被験者の中で友情や、愛情が生まれた」としている。
また、記事によると、 “These findings suggest that MDMA makes others appear more attractive and friendly. Furthermore, it makes others appear less intimidating, which may allow an individual to feel more confident in social risk-taking.” 「エクスタシーは他人をより魅力的に、フレンドリーに思えるようになる。そして他人をあまり怖がらなくなり、コミュニケーションが苦手な人により自信を与える」としている。
ただ記事の最後には、“However, MDMA distorts one’s perception of others rather than producing true empathy. Thus, MDMA may cause problems if it leads people to misinterpret the emotional state and perhaps intentions of others.” 「エクスタシーは本当の共感を呼ぶのではない。むしろ認知を歪めるのであり、他人の感情や意志を誤解することに繋がる」としている。
もちろん、前述のWikipediaにもあるように、中毒や濫用のおそれがあり、とても現実的にすぐ自閉症の人に用いられることはないだろうが、少なくともここから何かしらのきっかけを見出していこうという米国の研究機関の凄まじさを見た気がする。
今日はもう一つアップロード予定。「ウィキリークス事件にみるアスペルガー症候群」。これは少しリサーチしたが、やはりそうなのかな、と思わせるもの。