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特集⑦ アクティブシニアのキャリア発達障害のある若者・子どもを支える元企業戦士たち

定年を迎えた元・企業戦士たちの知識・経験。実は発達障害の若者の就労支援で欠かせない力になっています。大企業の第一線で培った人材育成力を存分に発揮するKaienの講師たちを取材しました。

職業訓練講師 Mさん(ITソリューション事業 元管理職)

 就職し、働き続けているという便りを聞くことが非常にうれしいです。彼らの成長の過程を見ながら自分自身も成長している気分になる。人間、何歳になっても成長をしていきたいんですよ。

Kaienとの出会いは何ですか。

 定年を迎えた時、心身共に健康でしたし、時間を持て余していても仕方がないな、ここで止まらずに社会の風を感じながら活動しようと思っていました。長年働いてきて様々なノウハウを持っているので、それを活かせる活動をして、社会へ恩返しにつながっていくといいと思っていました。そんな中、会社の先輩が鈴木さん(社長)と知り合いで、Kaienを紹介してもらいました。

Kaienで働いていて、一番記憶に残っている仕事は何ですか?

 講師としてオンライン店舗というプログラムの立ち上げを訓練生と一緒に行なったのが印象に残っています。訓練生と一緒に、商品を集められるか、オンライン店舗で出品した商品を買ってくれる人がいるのかずっと心配をしていましたね。実際、最初に出品をするとき売る物がなくて、結局訓練生がフリーマーケットで買って来て出品をしたんです。企画に賛同いただいた方々のご協力を得て、少しずつ商品を集めて、販売して、売れていく。訓練プログラムでありながら、訓練生と一緒に仕入れから販売の仕組みが完結する流れができた時はうれしかったですね。

 彼らが訓練を頑張った結果、就職していって、さらに1年後も働き続けているという便りを聞くことが非常にうれしいです。さらに、彼らが成長していく過程を見ながら自分自身も成長している気分になるんですよね。人間、何歳になっても成長をしていきたいんですよ。(Kaienオンラインショップ

発達障害・Kaienについて何か思うことはありますか?

 最初に発達障害の訓練生に会った時、「こういう人たち、周りにいたかも」という印象を持ったんですよ。働いてみて感じたことは、Kaienに来る訓練生はみんな若くて、これから先、自分が生きてきた2倍・3倍以上の時間を生きていくんだということ。だから、上手に支援を受けながら、自立して人生を生きていってほしいですね。そのために、どういう支援をしたらいいのかは常に考えます。特性は個々に違うので、そういう凸凹な特性にマッチした訓練やカウンセリング、そして仕事を見つけることにつなげる。この役割の難しさもあります。

 Kaienの事業について初めて聞いた時は、どうやって株式会社として事業運営していくのかとても興味がありました。本当にお客さん(利用者)が集まるのかなとか。思いのほか、世の中の発達障害に対する関心が大きくなってきて多くの希望者がいたので、今度はちゃんと受け入れて朗質のサービスを提供していかないといけないという状況になってきた。世の中に答え続けていかないといけないと思っています。

Kaienの仕事で大切にしているものは何ですか?

 達成感をみんなで味わうことですかね。訓練生を中心にスタッフ・講師も一緒に、一歩一歩進んでいく、成長していく、協力・支援していって成果を達成できることが楽しみですね。日々成長している人を見ると、楽しいし気持ちになるし、うれしいですよ。訓練生から学ぶことも多いです。彼らが訓練を頑張った結果、就職していって、さらに1年後も働き続けているという便りを聞くことが非常にうれしいです。

 もうひとつ、訓練生のいいところを伸ばして自立を支援していこうという視点ですね。特性が環境と適応しないところをダメと言っても仕方ないですしね。Kaienでは企業の上司役ですので、企業の視点で見るということが多いですが、自分も親父であり、おじいちゃんでもあるので、自立に向けて頑張ってほしいという期待も大きいです。

一週間の過ごし方を教えてください。

 週3日はKaienで職業訓練講師、1日はKaienのための勉強の時間に充てています。残りは、孫や子どもたち家族と一緒に買い物に行ったり、ちょっと出かけたりしてのんびり時間を過ごしています。

プロフィール

大学卒業後、大手メーカーのITソリューション事業に携わる。システムエンジニアとして、顧客システムの設計・開発・運用支援に携わる。のちに管理職として、ソリューション営業、プロジェクトマネジメント、事業計画・企画・開発・管理、業界活動を経験しながら、約40年務めた会社を定年退職。現在はKaienにて職業訓練講師として活躍。

職業訓練講師 Tさん(ベンチャー→IT企業 元管理職)

就職が決まって、本当にうれしそうな顔で「決まりました」と報告をしてくれる。この仕事はやめられないですね。

Kaienとの出会いは何ですか?

 定年を迎えた時、エンジニアのスキルを活かすというよりも、今までの経験を活かして人を育てるような活動をしたいと思いました。最後に勤めた企業が人材サポートをつけてくれていて、担当者と話す中で出会ったのがKaienでした。それから、就労移行支援事業をしている秋葉原事業所と池袋事業所ので半分ずつくらい勤めています。

Kaienで働いていて、楽しいと思うことは何ですか?

 一番楽しいと思うのは、一生懸命に訓練を受けて、喜んだり、悲しんだりしながら成長していく訓練生の姿を見ることが出来ることですね。Kaienでは訓練生の評価をするときに、過去に自分が部下として採用したいかという基準を持っているのですが、中には実際に自分が抱えた部下よりも優秀だなと感じる人もいたりします。そういう人でも、どんどん就職していく他の訓練生の姿に焦ってしまったり、一緒に訓練をしていて少し理解や作業がゆっくりな人に苛立ちを感じてしまったり、四苦八苦しながら訓練に臨んでいるんですよね。最終的に就職が決まって、本当にうれしそうな顔で「決まりました」と報告をしてくれる。この仕事はやめられないですね。

 Kaienの社内の雰囲気もよいと思いますよ。私もベンチャーとか大企業とかで働いてきましたが、スタッフ間のコミュニケーションに裏表がないですし、言いたいことは言い合える感じがありますね。何か相談するにしろ、この人には言ってよくて、この人には言わないほうが良いみたいな空気もないと思います。一人一人の距離が近いベンチャーらしさを感じますね。

発達障害について思うことは何かありますか?

 妻が小学校の先生で特別支援の勉強をしていたこともあり、発達障害については多少知っている方だったと思います。指導の難しさや、親御さんがお子さんの特性を受け入れられなかった話をたくさん聞いていました。Kaienで働いて、実際に発達障害の診断を受けた人たちに会ってみると、「こういう考え方や行動をするのか」と知るのですが、振返ってみると今までそういう人たちと結構一緒に働いてきたなと思いました。技術面のスキルや知識はすごいんだけど、言っちゃいけないことをお客さんにさらっと言ってしまって信用問題になるとか…。でも、その人がいないと大きな問題になるところだったので、結果とても助かったんですけどね。

一週間の過ごし方(働き方)を教えてください。

 週に2日はKaienにて職業訓練講師として勤務。体調が良ければ、体調が良ければ週2-3回ほど、区の体育館で筋トレしています。残りは妻と食事に出かけたり、買い物に出かけたりします。趣味は釣りと鉄道で、最近は知り合いに声をかけてもらって自衛隊の訓練見物とかも行きます。

プロフィール

大学卒業後、ハードウェアの修理エンジニアとして日米の合弁で8年半勤務。その後、シリコンバレーの日本法人社員20名くらいのベンチャー企業で12年半。その後、ベンチャー企業へ転職し、ITシステムのサービス部門で管理職を経験し、大手IT系企業で同じくマネージメントの仕事をしながら定年を迎える。最後の企業が紹介してくれた人材サポート企業から紹介を受け、現在はKaienにて職業訓練講師として勤務。

職業訓練講師/児童指導員 Tさん(大手小売店 元役員)

 訓練生が一つの目標に向かって、頑張って成果として表れる。彼らの達成感の一部を共有できるのはうれしいですね。

Kaienで働くきっかけは何ですか。

 定年退職をした後、別の会社での仕事が決まっていました。フルタイムで働くわけではなかったので、残りの時間をどうしようかと考えました。そう思ったとき、何かステップアップしたい、社会貢献とか人を育てる仕事をしてみたいと思って人材エージェントに相談したところ、紹介してもらったのがKaienでした。

現在のお仕事内容を教えてください。

 Kaienとガクプロのサービスで職業訓練講師をしています。職業訓練プログラムの講師として、訓練生に仕事の進め方、報連相の仕方など実践的に指摘をしながら指導をしています。また面接の練習や面接の同行など、就職活動のサポートも行っています。さらに、放課後等デイサービス TEENS で子どもたちの学習やお仕事体験のサポートをしています。

Kaien・TEENSで働いていて、やりがいや気づきはありますか?

 何よりも「人の成長」が見られるのが楽しいですね。面接が苦手な人たちが多いのですが、7回・8回と繰り返していくと上達していくのがよくわかるんですよ。面接が上手になるとか、一つの目標に向かって頑張って、成果として表れる。そして、日々の努力が就労という結果につながると、彼らの達成感の一部を共有でき、本当に嬉しいです。発達障害の人たちは人の気持ちがわからないとか言われることもありますが、訓練を見ていると「人を思いやる心」は散見されますよね。その反面、親に「就労訓練をしたほうが良い」と言われ、自分の意志で訓練に参加していない方がいるのは少し悲しいですね。自身の未来の方向性をしっかり見定めて「就労」という大きな人生のプロセスを乗り越えてほしいと思います。

 大人の就労支援とは別に、子どもの支援もお手伝いさせてもらっています。子どもから大人まで見ていて、子ども時代に「一緒に何かをする」「コミュニケーションをとる」という経験がすごく大切なんだなと思います。TEENSには頑張って点数を稼ぐと階級が上がるシステムがあるのですが、私たちからするとそんなことと思うようなものでも、子どもたちはとても大切にしているんですよ。点数が取れなくて泣いてしまう子がいたりするんです。でも、そうやって目標を持つこと、努力することの大切さを学び、醸成されていくんだなと思いました。

 また、一緒に何かをするということで、お互いを思いやったり、どうすると迷惑がかかるのか、一人よがりな考え方をしないという考えが育ち、人と人との付き合いの濃淡を理解して行くんだと思います。大人の支援の中で人への配慮、自分の気持ちを表現できない訓練生を見ると、子どものうちにそういう場所に出会っていればなと思うことがあります。

一週間の過ごし方(働き方)を教えてください。

 週に2-3日、Kaien/TEENSで支援をしています。残りの1-2日は別の会社に行ったり、勉強会・研究会等に参加しています。週末は、だいたい休みですが、勉強会や企業のアドバイザーのような依頼を受けることもあります。趣味は自転車で50代前半から始めたんですが、過去には埼玉から神奈川まで100kmくらい走ったこともあります

プロフィール

大学卒業後、大手百貨店に就職。その後、大手雑貨専門店に転職し36-7年勤務。営業やバイヤーを経験の地、役員まで勤め上げ61歳で定年退職。現在はKaienの職業訓練講師、他企業の社外取締役・顧問・アドバイザーなどを務めている。

職種紹介

  • 児童支援員(小中高生向け 放課後等デイサービスTEENSでの上司役)
  • 職業訓練講師(大人向け 就労移行支援事業Kaienでの上司役)
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