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Kaien大人向け・企業向けサービス

発達障害の強み

強みを出せ、弱みを目立たない発達障害にフィットする職種を選べば、まだまだ多くの発達障害の人達が働けると思っています。発達障害の魅力はたくさんあります。人によって異なりますが

  • 着眼点が鋭い (余計な先入観がない)
  • 発想力が豊か (常識に従わない)
  • ルール順守
  • 細部に気付く
  • 争いを好まない
  • 貢献意識が高い

などなど、少数派だからこそ多数派の人間から見ると得難い、あるいは失いがちな特性を持っています。

もちろん、多くの場合、凸は他の人が羨望の眼差しを注ぐほど際立っていないかも知れません。しかしまじめにコツコツ働けるというのは目立たないですが才能です。まだまだ日本には使われていない人材がたくさん眠っています。Kaienを立ち上げて、多くの人に出会い、その可能性に気づけたのはほんとうに有難いことです。

Kaienは発達障害の特性を活かして仕事という現場で活躍してもらうことで、発達障害のイメージを変えようという会社です。もう少し攻撃的に言うと、資本主義という同じ土俵で、「健常者」と競り合うことによってこそ、初めて対等な関係を築いてもらったり、関心を寄せてもらったりできるのではないかと思っている企業です。ひとりでも多くの修了生が、周囲をはっとさせる瞬間をつくるためのお手伝いを、これからもしていきたいと思います。

強みを活かせる環境とは?

発達障害の人の管理は難しくない。これはKaienでわかったことです。一方で福祉の世界にいる支援者の皆さんの話を聞くと「発達障害は新しい障害。個々で状況が違い難しい」と言います。それはそうだと思います。なぜなら発達障害の人の管理法はビジネスでは常識でありながら、福祉ではあまり語られていなかった部分だからです。

生きづらさを抱える人達、例えば欝で苦しむ人たちや知的な遅れのある人たちへのアプローチは、個々の状況を受け止めてあげて、ニーズを汲み取り(つまり傾聴)、一緒に解決策を模索するというものでした。これが福祉の常識だったと思います。それは否定しませんし、たしかに発達障害の人たちの中でもまだ症状を受け止めていないケースや欝や人格障害など二次障害と言われる精神的な病気が出てきてしまっているケースはまず傾聴の姿勢が必要だと思います。

ただ職場で管理するケースは、そういった人に寄り添う優しいアプローチだけでは十分ではありません。ここで鍵となるのが、視覚化・構造化というコミュニケーション方法と、目標・目的の明確化・数値化です。

具体的に言うと、作業を分解して、スケジュールをエクセルに落とす。業務を区切って、例えば1ヶ月単位の売上や販売数の目標を数値化する。それを紙に刷り出してチャート化して、みんなで目標達成までの進捗を視覚的に共有する。仕事の割り振りは、誰が責任者で決定権があり、だれがチームメンバーでどういった作業を割り当てられていて、どのような成果物をいつまでに出さないといけないのかが明確になっている。ミーティングの内容はメモにされ、後でワード文書で共有され、いつでも見て確認し直せる。ちょっとした内容でもチャットやメールで文字情報化され、意思疎通のズレが生じないような仕組みになっている。このような組織です。ですので、Kaienの修了生を受け入れてもらうときには次のようなことを言っています。

「ビジネスで良いとされる方法を愚直にして下さい。誰にとっても有難い方法です。」

「ユニバーサルな管理法」を企業に伝えることが発達障害の強みを引き出す

発達障害の人を受け入れられる上司は、発達障害には関係ない他の人の管理も上手です。視覚化・構造化・明確化・数値化は誰にとっても有難い管理方法・コミュニケーション方法だからです。生活で行うと息苦しいかも知れませんが、ビジネスでは必須の方法です。私はこれを「ユニバーサルな管理法」と呼んでいます。

残念ながら日本人の管理職はこれが不得手な人が多いのが現状です。曖昧に指示し、なにがゴールかの設定をせず、仕事がうまくいかないと空気を読んでいない、意思を汲み取っていないと非難する。そういう人があまりにも多すぎるので発達障害の人も働きにくいのだと思います。

これまで日本は現場スタッフの力が国際的に圧倒していたために、下から積み上げる方法で世界経済での存在感を示してきました。しかしスピードが一層早くなる世界では、上から構造的に管理する、良い意味での軍隊的なアプローチがないと世界では勝てません。現場の力に頼りすぎ、管理の手法を教えて来なかったのが今の日本経済の地盤沈下にもつながっていると思いますし、発達障害の人の活躍の場の狭さにも影響していると思います。

Kaienの就職支援のスタッフとしては、この資本主義・企業社会の常識を、発達障害の人を受け入れる現場に思い出させることです。発達障害の受け入れ方を通じて、本来の雇用管理の方法をお伝えするということが、発達障害の人の強みを自然に引き出すことにつながるからです。

弱みを守るプロテクター

強みをいかに活かした仕事をするかと同じぐらいにアキレス腱である弱みを目立たせないことが必要です。Kaienでは弱みを強くすることは難しいと考えています。アキレス腱はいつまでもアキレス腱。必要なのはアキレス腱を強くしようということではなくプロテクターを付けることです。

プロテクターを作るために、Kaienでは独自の職業訓練のプログラムを作って来ました。技能ではなくコミュニケーションに比重をおいたプログラムであること、座学や教育ではなく擬似職場で働いている中で強み弱みを探ることに特徴があります。ある福祉の人からは「21世紀型の職業訓練」と言われました。こういった特徴はこれまでの福祉の発想ではあまりなかったそうです。Kaienは福祉を知らず企業の目線で考えているから辿りつけた強みを活かせ、弱みを補えるプログラムのようです。

独自開発のプログラムで数十種類以上の仕事を体験

具体的には、仕事が出来るということはどういうことかを考えることからスタートしました。Kaienでの仕事力は、(1)上司からの作業指示を慣習や状況を踏まえて把握し、(2)作業分解して優先順位付けしてタスクリストに落としこみ、(3)決断をしてアクションに移す作業、の三つから構成されると考えています。

残念ながら発達障害の人は、慣習や状況を汲み取るのが苦手ですし、作業分解や優先順位付けが苦手ですし、決断力が苦手です。なのでアクションの部分はできても仕事はできないと言われてしまいます。実はアクション以外の部分が段取りやコミュニケーションと言われる部分です。これを補うプロテクターは「報告・連絡・相談・質問」以外の何者でもありません。これを当社のプログラムでは徹底的に現場で教え込みます。

職業訓練では、人事や経理・総務などの事務作業から仕入れや在庫管理、販売などの店舗業務、さらには清掃や製造などの軽作業といった多様な業務をしてもらっています。この職業訓練の種類は毎年数割をあらたに入れ替え、世の中の激しい変化に即した仕事の体験ができるようにしています。これら職業訓練もすべて当社内で作成しています。

ハードスキルだけでなく、ソフトスキルを伝える

しかし、作業自体(アクション)の習得が第一の目的ではありません。そうではなく、それらすべての業務に必須の「コミュニケーション」の重要性、つまり「報告・連絡・相談・質問」のタイミングや方法についてアドバイスをしてもらっています。発達障害はコミュニケーション障害とも言われます。発達障害について真剣に考えていたらアクションではなくコミュニケーションのプログラムに自然になったのだと思います。

2~3ヶ月の訓練期間後、訓練生に感想を聞くと決まってこう応えてくれます。「ホウレンソウの重要性がよくわかりました。まだ十分でないのでこれから一層上達させていきたいです」というものです。こちらが驚くほどみんな同じ事を言ってくれます。骨の髄まで叩きこまれた「ホウレンソウ力」は、職場で自らのアキレス腱を保護するプロテクターになってくれることは、Kaienの修了生たちの活躍で証明してもらっています。

多くの「健常者」が集まる組織、プロジェクトでもこのコミュニケーションが弱いために業務が右往左往していることが多いと思います。発達障害に限らず、コミュニケーションをつける職業訓練は、今後の若年層の就職対策や組織活性化の上ででも有効だと感じています。

 

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