続・東大の発達障害学生支援室開設!!
2010年11月30日
18時から20時まで。かなり面白いシンポジウムだったのでメモから一部をご紹介したい。
(当然ながら高学歴のニオイがプンプンするところであった。が、東大がこういった組織を作るほど、発達障害・自閉症スペクトラムの人が研究の分野で特異な才能を発揮できるということだと思う。もちろん白い巨塔向きではない人もいるし、むしろ圧倒的多数だと思うので、そういった人がKaienのターゲットだと思っている。)
◇主催者である学生相談ネットワーク本部の本部長
- 東大が多くの発達障害の人を抱えるのは事実
- 支援室の開設は発達障害と共に生きる東大としての第一歩
◇東大名誉教授で昭和大学烏山病院院長の加藤先生
- 烏山病院の現状
- 烏山病院の発達障害外来の予約。予約日は、朝8時半から病院の電話10回線が埋まってしまう。
- 発達障害外来に来た人の40%が発達障害。(つまり本人の思い込みが多い) パーソナリティ、不安障害、統合失調症、気分障害がほぼ同数(5%)で並んでいる。診断無しも10%強。
- 従来型の治療ではなく、発達障害の診断の後はデイケア。ここでも延べ2000人弱が通い、数は伸びている(2010年9月)
- 診察を受けた人のプロファイル
- 男女比はアスペルガーは2:1、PDD-NOSは3:1。いわゆる古典的な自閉症で言われる4:1の比率ではない
- 女性のほうが分かりにくい。男性のほうがはっきり出る。(女性のほうが軽いように見えてしまう)
- 教育年数 アスペルガー16年 PDD-NOS14年 で大学卒が多い
- 医療機関を初めて受診した平均年齢 アスペルガー22歳、PDD-NOS 22歳
- 東大と発達障害
- 発達障害は東大の将来にとっても重要。
- 得意な能力を持っている一群。
ちなみに加藤先生や烏山病院のデイケアのスタッフさんにはお世話になっている。今夜の発表の中でも就業問題について「本学出身の方が経営されているKaienという会社と協力していて、、、」と宣伝してくださっていた。。。深謝。
◇当事者で東大薬学部出身の片岡さん(NHKクローズアップ現代でも出演されていた)
- 卒論、修論をまとめる当事者の方へ
- 研究の現実を知ろう (先行研究のレビュー、研究計画の立案、成果の解釈と発表)
- 多くの場合、期待した結果は出ない (しかし研究成果を有限な時間でまとめ、お金を出した人に発表しなければならない。研究途中でのエンドポイントの変更と不本意な結果を論文にまとめるのは研究において必須。社会に出てもこのことは一緒。)
- 研究室の先生方へ
- 求められる手技の高度さの告知 (不器用なタイプに付いて配慮)
- 研究者として残れない場合に備えた勉強をどの程度許してもらえるか (対人スキルが苦手な人が就職困難な状況で公務員試験や資格の取得の勉強が推奨される)
- 提言
- 福祉の対象とするより、企業社会で受け入れ、消費者、納税者に
- 東大は「ポスト対人スキル至上社会」に目を向けよう
- 東大で4年間、専門分野に打ち込むことは非常に重要
- 就職対策で精神的エネルギーを使い果たすことは大問題
- 失礼な専門職の復権 (そんなに対人能力が必要なの??)
片岡さんとは東京都自閉症協会でよくお会いするが、これだけまとまって話を聴くのは初めてだったので、なにより面白かった。
Kaien会社ウェブサイト http://www.kaien-lab.com
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