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コミュニケーション障害と呼ぶのはやめて下さい

2010年10月8日

今日の職業トレーニングは、4日に1度僕が担当する日。といっても講義形式ではなく自主プロジェクトをスーパーバイズする形が主。SNS関係とウェブ関係の2つのプロジェクトが動いているんだけれども、どちらも本格的な感じで1ヶ月半後の訓練終了時の成果が楽しみである。

さて、夜は打ち合わせ。Kaienの職業トレーニングについては、いろいろな学会で論文として発表していくつもり。これには福岡教育大学の教授で精神科医の納冨先生と、NHKの猪瀬さんに関わってもらっている。

猪瀬さんは僕がNHK鹿児島時代にお世話になった別部署の方。5年以上音信不通だったが、ひょんなことから、論文執筆団の一員に入っていただいている。猪瀬さんは鹿児島時代に社会人入学して障害者雇用で博士課程(!?)を取られていて、Kaienの事業内容について論文にまとめるには本当に適した方。Kaienのミッションにも共感してくれているし、なにより鹿児島で一緒に焼酎を飲んだ仲である。

いつもはNHKにお勤めなので、論文を書くのは深夜か土日。直接会う機会はなかなか取れなかったが、なんとか今夜は都合をつけてもらった。というのも、論文の方向性として若干2人の間でズレを感じたからである。

特に僕が主張したいのが、「アスペルガーや広汎性発達障害は、俗に言うコミュニケーション障害でない、あるいはその障害レベルが感じられない場合が多い」こと。これを論文のメッセージにして欲しいと今日は頼み続けた。

コミュニケーション障害というと、まったく話が通じない相手のように思われてしまうけれども、多くの場合、程度の問題。大体「健常者」でも、コミュニケーションスキルに自信がある人ってどれだけいるのだろうか?多かれ少なかれ誰でも上手にコミュニケーションできない経験は毎日のようにするし、苦手な人と話すときはなかなか意思疎通が難しかったりするもの。コミュニケーションが優れた「健常者」ばかりだったら、そもそもこんなギクシャクした社会であるはずがないし。。。

もちろん自閉症スペクトラム(アスペルガーや高機能自閉症など)と診断された人の中に、俗に言うコミュニケーションが難しい方もいることは理解している。が、Kaienのところにくる方々に限っていうと、業務上は特に認識の齟齬を感じない方がほとんど、というのが現状である。コミュニケーションに関してはいかに「障害者に接している」という過剰な配慮を取り去り、普通に接してもらえるかが鍵となる場合が多い。

もちろん若干の理解・配慮が必要とされる場面もあるが、職種や職場環境次第で多くの部分は目立たなくなる。そして今僕が読んでいる神田橋先生の本にもあるように、「発達障害の人も当然発達する」わけである。

僕らが書く論文で「アスペルガー=コミュニケーション障害」のような短絡的な、誤解を与えやすい定義が早く無くなればいいと思っている。

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