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2018年の発達障害支援を予想する 第4話 新制度の就労定着支援事業定着支援のポイントは?就職前から決まっている部分と就職後の3つのポイント

2018年1月2日

第4話は、2018年4月から障害者総合支援法のもとで新しい制度となる「就労定着支援事業」の話題です。

一体どういう制度かまだわからない「就労定着支援」

就労系はすでに、当社が行っているような「就労移行支援」の他に、「就労継続A型」、「就労継続B型」という3つの制度があります。

就労移行支援は、障害のある人が就職するために2年を時限に支援する事業所です。その就労移行支援で一般企業に就職することが一般就労と言われています。一般就労でないゴールが「就労継続B型」で、こちらは以前の作業所に近く、特に利用期限なく作業(つまり最低賃金以下で行うので”労働”ではなく”作業”)を行う場所となります。”労働”と”作業”のハイブリッド事業所とも言える所が就労継続A型で、半数以上の人が”労働”者としての契約を結び、それ以外の人が”作業”者としての契約を結ぶところになります。

長くなりましたが2018年4月からここに一つ加わるのが、「就労定着支援事業」です。就職して半年間は「就労移行支援」のスタッフが定着支援をしますが、その後の3年、つまり就職してから3年半まで定着の支援をする制度になります。

就職はさせるものの、特に精神障害の人を中心に離職率が高い状態が続いています。これでは就職させる意義が薄まるということで新制度が出来るわけです。強引に就職先に押し込むような数字だけを目指した支援をしないでねということかもしれません。

この制度については、現段階でまだ固まっていないというのが実際のようです。そもそも何をすれば定着支援と言ってもらえるのか?結果(定着率など)を出すだけでよいのか?でもそうは考えづらいですので、どの程度定期的に訪問する必要があるのか、どのような書類の提出が必須になるのかなど、具体的に知らされている部分はまだありません。

このため行政の方に聞くと、おそらく2018年4月から認可される事業所は出すのはスケジュール的に難しく、数ヶ月遅れるのではないかと言われています。当社もある程度体制を整えていますが、実際に開所できるのは初夏のあたり、運営が軌道に乗るのは秋ぐらいかもしれません。いずれにせよ1月上旬ぐらいに何らかの方針が出てくるのかなぁと予想しています。年明けはとてもバタバタしそうです。

『来年度(2018年度)から始まる就労系福祉サービス「就労定着支援」って何?』(Kaienスタッフブログ)

発達障害と就労定着支援事業の相性は?

そもそも「就労移行支援」でも半年の定着はこれまでもする必要がありました。

実際当社は無期限で定着支援はしていますが、定期的に訪問するのは半年後まで。この定期訪問の期間が長くなるともちろんより定着率が高くなると思います。昨年末に行った、当社の就労移行支援をこれまでに受けた人たち1000人へのアンケートでも、定着支援の延長を望む声は強くあります。

が、すでに当社の場合は半年後の定着率はほぼ100%。一年後で見ても95%が定着しています。(全国平均ですと半年後の定着率は80%、1年後だと60~70%台でしょう。)どうしてこれだけ高い定着率なのか?

発達障害の人の場合は、そもそもご自身の特徴を理解し、強みを発揮し弱みが見えづらい求人を紹介し、受入企業にも発達障害の理解をしてもらえれば、就職前に定着支援の必要性の多寡が決まるというのが当社の持論です。つまり定着支援の成否は入社前に決まっているともいえます。

発達障害に理解ある求人を独自開拓 内定率が高く就職後も安定

発達障害の人にとっての定着支援における”地雷”

では、発達障害の人に就労定着支援事業はあまり必要ないのか?物事はそれほど簡単ではありません。

数年前に分析した結果ですが、発達障害の人は1年後、2年後、3年後となるに連れて、離職率が徐々に低くなっていく(つまり職場に慣れていく)ことがあまりなく、何年経っても離職率が変わらない、という特徴があります。分析をすると、何年か経つと必ず起こる変化である、上司が変わる、仕事内容が変わるなどに、相変わらず弱いということが有ると思います。換言すると、会社や職場の雰囲気や文化に適応していくということは少なく、常に常に具体的な人や環境に影響を受けているということになると思います。

もう一つご自身の考え方や心身の変化に気づきづらい、セルフモニタリングが苦手ということも有ると思います。周辺は変わらなくても人は内的にも徐々に変化します。その振り返りが十分にできていないと、いつの間に職場の軌道から外れているということも起こりえます。

つまり定着支援では、発達障害の人ならではの難しさに対応するような方法がやはり求められるでしょう。地雷がどこにあるのかを察知する力、またご本人が見える化・言語化できていない変化を支援者が見通せるか、ということがポイントになりそうです。

発達障害×定着支援の型

発達障害×就職支援の型は、①様々な仕事を職業訓練で体験してもらい自身の特性を理解してもらう、②その人の強みが活かせ弱みが目立たない仕事を紹介する、③企業に発達障害の啓発をして構造化・可視化・単純化・反復化を徹底してもらう、という”3本の矢”がほぼスタンダードになっています。

実際このあたりは当社が7・8年前に言いはじめたところ、いつの間にほとんどすべての支援機関が同じようなことを言っていることからも、業界では常識になってきた部分でしょう。定着支援についても、当社がデファクトスタンダードを作っていきたいところです。

その時の肝は、①人と環境の変化を外部の支援者としてどう把握していくか、②ご本人の内的な変化をどう可視化するか、は既に述べました。もう一つは③モチベーションの維持だと思われます。

これは発達障害の人だけではないと思いますが、特に就労移行支援からつなぐ先である障害者枠は仕事内容や賃金に大きな変化がおきづらいものです。加えてそもそも日本のこれからの経済は全体的に斜陽的であり、若者世代の賃金が上がっていくという神話が社会全体でなくなっていくともいえます。この中でどのように働くモチベーションを維持していくのかが定着の課題でしょう。

個人的には同じ会社で10年、20年と働く世の中では日本全体がなくなりつつ有ると思いますので、定着支援というよりもキャリア支援をする事業という考えで、つまり場合によっては会社を上手に渡り歩くこともアドバイスするような広い視野で事業を作っていきたいと思っています。

というわけで年末年始の空き時間を使った2018年の予想はこれにて終わりです。お読み頂きありがとうございました。

 

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