奨学金の延滞者問題から考える
今日は横浜で利用説明会(大人の発達障害者向けセミナー)を開いてきた。そこで、「失業はしておらずアルバイトで働いているが、きつい。。。Kaienさんで使えるサポートは?」という質問があった。
国の制度は、失業者には様々なサポートがあるが、アルバイトや契約社員で何とか働いている人へのサポートはほとんどない。(少なくとも僕はあまり知らない。)
大企業の正社員で働いている人にはわかりにくい現場感覚かもしれないが、(1)零細企業の名ばかり正社員や、(2)契約社員、(3)派遣社員、(4)パート・アルバイトで働く若者は、実は(5)失業者よりもゆとりがない人も少なくない。(※失業者であっても家族のサポートがある人よりも、(1)~(4)でありながら自分しか頼れない人とはだいぶ安定度が違うと思う)
思い出したのが最近目にした奨学金の延滞者の実情である。
平成24年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果(独・日本学生支援機構)
http://www.jasso.go.jp/statistics/zokusei_chosa/24_chosa.html
延滞者と無延滞者の人生がくっきりと二つに分かれているのがわかる。
延滞者は失業者(年収0円)が多く2割弱。年収があっても低賃金(ワーキングプアの目安である200万円以下)の働きにとどまっている人が約45%である。この45%のうち、どうやらパート・アルバイトは15%。これに派遣や契約社員(合わせて13%)を足しても30%を割り込むことから、正社員でも200万円もらえていない人が一定数(20%ぐらい)いることがわかる。普通に読むと36%の正社員の半分程度が200万円以下である。。。
一方で、順調に奨学金を返している人は、3人に2人が正社員であり、給与も200万円超がやはり3人に2人いる。(3人に2人しかいないともいえるが。。。) これをみても、延滞者が、不安定で低賃金の仕事環境にあることがわかる。
この表・データ。もちろんすべてが発達障害のケースに当てはまるわけではないだろうが、仕事につけていない人たち、仕事についても低賃金や不安定な身分である人の相当数は発達に凸凹があると推定してもよいと思っている。あるサポートステーションの人が、ニート・フリーターの4割と言っていたし、なかには7割という人もいるので、現場での印象はそれほど高いのである。
当社Kaienは仕事がうまく行かなくなった人向けにサービスをしていて、半年しっかり就職支援をすると多くの方は安定した仕事についていくのだが、逆に言うと半年ぐらいは”しっかり”職業訓練や就職活動をする必要がある。大学に費やした4年のうち半年や1年でもこちらに時間を使ってくれていればと思わずにはいられないが、、、人生後には戻れない。
訓練に入りたくても入れない、ギリギリで働きながら上を目指す人のために何らかのサポートができないか。。。今日は利用説明会で質問に答えながら考えさせられた。本当は制度がいろいろと使いやすくなればよいのではあるが、当社のできる範囲でまず頭を使ってみたいなと思う。
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