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オリバー・サックス氏のインタビューから 相貌失認と自閉症スペクトラム

2010年11月2日

そろそろ仕事で家を出ないといけないのだが、朝聞いていたポッドキャストがあまりにも面白かったのでエントリー。

片目の視力を失った脳神経科医がその体験についてのインタビューだった。話は、彼が研究した人の顔が覚えられない、あるいは覚えにくいという症状(相貌失認)について及んだ。ハーバード大学の(おそらく日本人学者の)研究によると、米国の2~2.5%はなんらかの相貌失認の傾向があり、実はその脳神経科医もそうだと告白していた。(たとえばレストランで自分のヒゲにブラシをかけようと窓を見たら、窓の外側にもヒゲの男性がいて、窓に映るヒゲの男性、つまり自分とどっちがどっちかわからず、手で自分のヒゲを触って判別した、といっていた。)

なぜ興味深く聞いていたのかというと、顔が判別しにくいという話しを、自閉症スペクトラムの人から案外頻繁に聞くからである。顔の判別は脳のいくつかの部分が関係しそのネットワークによって行われる機能だとのこと。相貌失認はそのネットワークがうまく機能していないから、あるいはどこかの部分が上手に発達しなかったから、らしい。もっともアジア人はヨーロッパの人の顔が覚えにくい(逆もしかり)ということもあり、多かれ少なかれ、相貌失認については体験したことがあるでしょうとも言っていた。

もっと興味を持ったのが、その脳神経科医が(正しくは思い出せないが)、「私はとても変わっていて、奇妙だとか、アスペルガー症候群だと思われていたが、実は根本には相貌失認があるのかも」と語っていたところである。もちろんインタビューの中で軽く答えていたことなのでどこまで本気なのか判らないが、やはり脳機能に原因が求められる自閉症スペクトラムと重なる部分があるのかもなぁと、想像させるお話だった。

で、面白くなってインタビューを聞いたあとにネットで調べたら、この脳神経科医は、オリバー・サックスという米国の医者・作家で、「レナードの朝」の著者、また高機能自閉症の中では世界で最も有名であろうテンプル・グランディンについて書いた「火星の人類学者」の著者でもあった。そんな有名な人だったのかぁ。学会ではその記述の乱暴さ(?)に疑問がつくこともあるらしいが。。。(東大のヤマモト先生が自閉症の学会にオリバー・サックス氏へ公開質問状を送っている。こちらから。この疑問はとても数学的で面白かった!)

リンクはこちらから。
オリバー・サックス彼の公式サイト(英語)「火星の人類学者」「妻と帽子を間違えた男」「レナードの朝」

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