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発達障害における”定着支援”の難しさ

2015年7月4日

当社について。まずは利用説明会にお越しください。採用情報も下記から。

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大人向けも子ども向けもガクプロも新しい拠点の準備が始まったことや、平日のTEENSKhan Academyを模した学習・生活支援を導入しようとしていること、そのTEENSの変革でスタッフ力を上げないといけないことや、早寝早起きを普段以上に励行していること、、、などもあって、2週間ぶりぐらいのブログ更新です。

時間が無くなった理由がもう一つあり、それが当たり前ですが、定着支援がちょっと落ち着かないことがあります。

大人向けのサービスでは(1)職業訓練、(2)就職活動支援、(3)定着支援、ということで3段階の支援をするのが業界の掟です。ただ(1)や(3)は結構日陰的な作業になります。世間から見ると実績は「何人就職させられたの」、つまり(2)で見られますし、かつ行政の評価(もう少しいうと行政からの報酬)も(2)の成果に応じて支払われる部分が大きいからです。

また、(1)と(3)の比較でも、特に(3)のほうは各所で働く人たちの様々な環境を考える必要があり、非常に時間と手間がかかります。かつ、(2)のように「やった!!」という手ごたえが感じにくく、うまくいったときはいつの間に連絡がなくなって「そこそこ安定してきました」みたいな感じであり、うまくいかなかったときは眼前につきつけられる感じになり、疲弊がしやすい業務でもあります。でも、だからこそ定着支援をいかに効果的に、でも効率的に行えるかが結構大事です。

当社の修了生の場合は、9割以上の人が1年以上定着しているので、ハローワークとか業界標準に比べると離職する率ははるか低いのです。とはいっても、全体のパイ(つまり就職を支援した人数)が大きくなるほど、離職の割合は同じでも、絶対数は増えていきます。その増えている絶対数の中で、僕が担当している会社で離職の話がちらほら出ていたり、他のスタッフが担当しているケースでもなかなか重たい事例が見えてきていて、ここ最近頭を使っている状況です。

離職がすべて悪いわけではなく、僕自身もNHKから離職したので、前向きな離職はたくさんあると思います。ただ残念ながら支援している人が離職するときの離職は、前向きとはなかなか言いがたいことが多いです。

本人だけに理由があるとか、会社だけに理由があるとかは、はそれほど多いわけではなく、(A)どちらかが情報を思い込んでしまった例と、(B)何も悪い部分はなさそうだが急に勤怠が安定しなくなるケースが、目立つと思われます。

(A)における情報の非対称性というのは、○○大学を卒業しているからもう少しできると思った、とか、業務の種類がXXだと聞いていたが、実は△△なども量は少ないがあって、頭の中がパンク寸前、とか、そういうものです。この情報の非対称性は徐々になくなってきますので、お互いの状態がわかった雇用開始数か月後に、業務の内容や量を調整したり、職場環境を変えたりということができれば安定することがあります。

ただ歩み寄りは雇用主側が調整を求められることが多く、というのも労働者側の歩み寄りは、もしかしたら給与を減らすことなのかもしれませんが(業務量を調整したり新たに雇用管理が増えたりしたりするので)、それは通常用いられないので、雇用主側がある程度ゆとりがないと、ギスギスし始めます。

(B)については、これは、発達障害的に説明するよりも、精神障害的に説明したほうが分かりやすいと思いますが、大きな出来事が起きたわけでもなく、誤解が生じているわけでもないのですが、アリ地獄にはまったかのように引き出すのが難しい例です。いつの間に落ち込んでいってしまうので、周囲からも気づかれにくいという感じです。以前書いた自爆タイプというのはここに当てはまると思われます。

(B)は一瞬で解決するものではなく(1)職業訓練の時からご本人の特徴を見極めて、いわゆる”認知”を修正しやすく、事前に相談できるネットワークを作るようにすること、しかないと思っています。一方で、明らかに雇用主側に改善を期待したいケースや、(A)のケースは、もう少し当社として発達障害の傾向のある人の可能性(どのような業務が向いているかということ)や限界(過度に期待しすぎないこと)、雇用管理方法(どのようにすれば力を引き出せるかということ)について伝えることが必要なのだな、と思うので、ぼちぼち策を実行していきたいと思います。

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