“空の宅配”サービス Amazon Prime Air 発達障害関連への衝撃
2013年12月3日
衝撃以外の何者でもない。Amazonが発表したAmazon Prime Air。まずはどういうサービスなのか、記事でご確認頂きたい。
“空の宅配”サービス普及か アマゾン、ドミノピザ…無人機の平和利用 以下、記事を引用する。
///記事抜粋 ここから///
「オクトコプター」と名付けられた小型無人機は、モーターで駆動する8つのプロペラを備え、搭載したGPS(衛星利用測位システム)で目的地まで自律飛行する。物流センターから半径16キロ以内ならどこでも注文から30分以内に配達できるという。搭載荷物は2.3キロまでだが、アマゾンで取り扱っている商品の86%が対象になるとしている。
ベゾス氏は番組で実用化時期について「4~5年後」と説明したが、すでに技術的な問題はクリアしており、FAAの商業利用解禁に合わせたサービス開始が可能だという。実際、アマゾンが公開したデモンストレーション映像(鈴木注:リンクはこちら)では、倉庫でスタッフが商品をランチボックスのような黄色の箱に入れると、ベルトコンベヤーで運ばれ、機体下部に自動装着。倉庫から飛び立ち、注文者の自宅の玄関先に着陸し、箱を降ろす様子が紹介されている。
///ここまで///
何が衝撃なのかというと、Amazon Prime Airが実現・発展すると、既存の小売業が要らなくなるだけでなく、流通業もなくなるのである。MBAで習ったオペレーションの基本をいうと、Last One Mile(最後の1マイル)は非常にコストと人手がかかるので、小売店が成り立ったり(※つまりお客に最後の1キロ分を自分の足・時間で来てもらうのでスーパーやコンビニが成り立つ)、宅配業が成り立ったり(つまりドアまで自分で運ぶのが面倒だから人にやってもらったり)するのであるが、それが今後無くなる可能性がある。
Amazonサイトから Prime Airのロゴ |
いやいや、食品は鮮度が大事だからという人もいるだろう。Amazon Prime Airを特集した米CBSの看板報道番組 ”60 MINUTES”(以下の動画)でも取り上げられているが、Amazonは米国でAmazon Freshという生鮮食品を宅配するサービスを既に始めている。これらが組み合わさる日は近いかもしれない。
つまり、僕がショックだとおもったのは、やはり”60 MINUTES”で指摘されているように、Last One Mileで大量の人が雇われていたのが、機械に置き換わってしまうということである。多くの失業が発生するだろうということである。もちろん時代の流れであり、Amazonがしなくてもどこかの企業が機械での配送を行うであろうが。
発達障害の人の「はたらく」ことを支援をしていて、流通業や小売業の労働集約的な部分は、大きな可能性だと思っていた。日本ではとくにこれから労働人口が減少する中で、発達障害の人が出来る部分も多いと思っていた。が、それが大きな脅威にさらされている気がする。
もちろんAmazon Prime Airのような社会がいつかは訪れると思っていた。が、それがわずか数年後という可能性までは考えていなかった。別の記事によると、日本社会は鳥瞰図で見ると、賃金を減らすことで雇用を何とか維持してきた。それもそろそろ限界に来るかもしれない。
///記事抜粋 ここから///
国税庁の調査によれば、2012年の給与所得者数は4556万人と、ここ10年で2%近く増加しました。一方、給与総額は逆に7.2%減少しています。日本は20年間不況が続き経済は横ばいですから、給与の原資を増やすことができません。雇用を維持するためには給料を下げるしかなく、結果としてどんどん賃金は下がっていきました。
///ここまで///
働いている人が少数ということはすぐにはないだろうが、働かない人(※賃金をもらっていない人)がかなり増えるような気がしている。働かなくても胸を張って、人生を楽しむ道を社会としては多くの人に提供しないといけないかもしれない。
日本の失業率は3~5%で中期的に安定している、とも言えるが、今まで人じゃないと無理と思われていたような流通や小売がなくなっていくと、日本の失業率も一部の欧州の国家並みに20%などに上る可能性もないとも思えない。
誤解を受けるかもしれないが、例えば、これまでは”主婦”という立場は賃金労働をしなくてもしっかりと社会的に認知される立場であったと思う。実際に職業欄に”専業主婦”という選択肢が今でもあると思う。
働きたくても働けない人が今後増えると思われる中で、どのように無職の人の矜持を保つシステムを作るか。”主婦”のようにしっかりと社会に認知される役割はあるのか?そういったことを、そろそろ真剣に考えたほうが良いのではないか、と感じさせるニュースであった。
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