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ADHDの衝動性

2013年7月20日

当社は発達障害がメイン。ASD(Autism Spectrum Disorders=自閉症スペクトラム、すなわちアスペルガー症候群や広汎性発達障害と診断されているタイプ)が多い。が、ADHD(Attention Deficit and Hyperactivity Disorders=注意欠陥・多動性障害)という診断がある人もいる。自己診断の人も多い。最近はADHDの傾向を考える機会が多かったので、このエントリーで就労支援の流れにおけるADHDを短くまとめてみたいと思う。

ADHDというと『多動』のイメージが強い人が多いようである。しかし、各種研究によると、大人になるとADHDのHの部分は少なくなる。つまり、成人では、いわゆる『不注意優勢型』のADDが非常に多くなると思う。実際、TEENSで見ていると多動の部分は小学校高学年ぐらいから感じにくくなるような気がするし、大人向けサービスのKaienでは一層少なくなる。

なので、大きくなってまずケアすべきは『不注意』のところだ。ミスが多いタイプもいれば、いろいろなものに関心が移ってしまって集中がしにくいタイプの人もいれば、自分の得意な・好きなもの以外は極端に関心が薄れるタイプもいる。僕の言葉で言うと、ONとOFFの注意・集中スイッチがなかなかコントロールしにくいタイプだ。ADHDの人は注意・集中のコントロールが他の人のように自在には行かないようである。(※例えを上げると、多くの人が(呼吸はコントロールできるが)心拍はコントロールが難しいのと似ていると思う。)

ただし、このADHDの『不注意』の部分は仕事について極端な難しさになることはそれほど多くなく、環境や職種が合えば、むしろ発想が豊かだったり、熱心だったりして、プラスに働くことも多いと思う。ADHDの傾向がうっすらとあるからこそ、稼げているケースも多いと思う。

ただADHDで苦しんでいる人は多い。その際のキーワードは『不注意』の場合もあるが、『衝動性』の場合も同じぐらいかそれよりも多いぐらいだと思っている。衝動性といっても『瞬間湯沸し器』系のすぐいらいらするタイプはわかりやすく、周囲の理解が得られれば大丈夫な場合も多いと思う。これを『短期の衝動性』と呼ぶ。

厄介なのが『中期の衝動性』である。この前お会いした児童精神科医の方も『衝動性』があると、数ヶ月単位で医療機関や支援機関を渡り歩いてしまうため、継続した治療が難しいと仰っていた。当社でもなかなか落ち着かずいろいろな機関・団体を渡り鳥のように渡っている方にはしばしば出くわす。上手に支援者同士が結びつける場合は良いが、なかなかそういった情報交換が密にできるケースは稀である。

先日読んだThe Economistによると、ADHDは米国では子どものうちの10%と言われ、診断されたうちの3分の2は薬物療法を受けているという。(つまり人口の6%というかなり大きなマーケットであり、それはそれで複雑な思いになるが、ASDに比べると医療での支援が進んでいる証左だとも言える。『中期の衝動性』にどの程度効果があるのか正直わからないが、当社も、病院との付き合いをうまくしながらフォローして行きたいと思う。

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