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2年前に書いた『MBAと起業(4)』

2011年4月28日

今年7月の母校ケロッグ(米国イリノイ州にあるビジネススクールのケロッグであり、コーンフレークのケロッグではない)の学校説明会に出席することになった。時間のある連休中に学生時代に何を考えていたのかなぁと当時の自分のブログを読んでいたら、予想以上に秀逸なブログに、「昔の俺、頑張ってたな」と思ったので、そのまま転記します。MBAを目指す人には良い文章だと思います。原文(といっても日本語)はこちらから。時制は2009年です。

+++5回シリーズの4回目+++

前回までは私たちのビジネスプラン、またこれまで戦ったビジネスプランコンペティションについてご紹介してきました。今日は学生の間でしばしば話題になる「MBAで起業が学べるか」について書いていこうと思います。

(私たちのビジネスプランKaienについてはこちらから http://www.kaien-lab.com)

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先日(4月25日)Kelloggから合格通知をもらったばかりのadmitted students向けのイベント、DAKことDay at Kelloggが開かれ、私はEntrepreneurship Clubのパネリストとして参加しました。といっても文字通り末席を汚す感じでの参加でしたが・・・。イベントの最後のQ&Aで驚いたのは、多くの人がKelloggまたはビジネススクールに起業の手助けをしてもらおうと期待しているように感じられたことでした。

個人的な感想をいうと正直MBAを経たからといって起業家になれる道が極端に拓けた気はしません。一方で失敗するリスクは下げられた気がしましたし、何かベンチャー企業でおかしなことが起きたときに原因を探る方法はある程度学べた気がします。

私が考える、MBAを経ることによる起業への影響は(MBA流にPros とConsを仕分けると)次のようになります。私の場合MBAを経てしまったので、すこしバイアスがかかっているかもしれませんが。。。

Pros 1: 時間
いくらHBSのなが―いケースを読む必要があるとしても、フルタイムで働いているときよりもMBA生の時間は自由です。やはり起業に向けてリサーチをすることは必要ですので、自分の時間が取れるということはプラスに働きます。ただ私の場合それでも時間が足りず、ビジネスプランを書き始めてからKelloggの授業への参加は最小限度に抑えていますので、あまり参考にならないかもしれません。。。(一つの学期に履修する授業数は通常4-5ですが、私の場合は2-3しか履修していません)

Pros 2: 学生という身分
また「学生」という不思議な身分は活用できます。というのも競合相手のリサーチなど、不思議とやりやすくなるのです。(「Kelloggの学生で業界について研究しています」というのと、「(会社名)のものですが業界について教えてください」というのと、相手の対応が全然違います)また学生の間は卒業生や教授の支援もなぜか受けやすくなる傾向があるように思います。

Pros 3: 授業での学び
期待が低かった分でしょうか、案外と授業での学びもあります。とはいえ、こうしたら成功する法則を学べることはなく、こうしたら失敗する可能性が高いですよとリスクマネジメントを学ぶという感じだと思います。授業についてはKelloggに限って、また私のこれまでの経験に限ってですが、以下のものが役立っています。初めの2つの授業については、2年生あるいは1年制MBA生のみが履修可能です。

• Professor Rogers のEntrepreneurial Finance
Kelloggに来た場合、この授業をとらないと価値が半減すると感じるほどためになる授業です。授業の内容はほぼ著書でカバーされているのですが、一言一言に重みがあるというのはこのこと。会社を起こす際のポイント、落とし穴が私の中でかなりクリアになりました。30歳前後のMBA学生が、Professor Rogersのシンプルでパワフルな講義を目をきらきらして聴いている様子や、時にProfessorからの執拗な質問攻めにあって声を震わせながらも懸命に答えようとしている様子は多少異常かなぁとも思いますが、それだけ多くの人にValue addしてくれる授業ということなのでしょう。
• New Venture Formulation
Kelloggにおけるインキュベーションの場。1学期間を通じて4、5人のチームでビジネスプランを書き上げていくためだけのクラスです。ただただ教授から励まされるだけの毎日が続きます。私たちもこの授業を利用しましたし、One Acre Fund(次回触れる予定)もこの授業から巣立ちました。ビジネスプランを書くということは曲がりなりにも一つのビジネスを360度カバーすることになりますので、起業には結びつかなくても多くの学びが得られる授業といえます。ちなみに私はProfessor Merkinの授業をとりましたが、他にも有名な先生方がいます。
• Enterprise Technology for General Managers
テック系のプロジェクトを管理する手法を学びます。ITバックグラウンドがないもののITの起業をしたい私としては大変参考になる授業です。Kelloggはこのような非常に細かな要望にこたえる選択科目が山のようにあり、いくつかはあまりに専門的過ぎて個人的にあまり好きではないのですが、ストライクゾーンど真ん中にくるこのような授業を取るとKelloggにきてよかったなぁと素直に思います。
• Research Methods In Marketing
Marketingの授業です。Kaienのプロジェクトではほとんど使いませんでしたが、特にB2Cの起業の場合は市場調査がとても重要になります。ビジネスプランを書く上で「○○%の人がこの商品を是非購入したいと答えた」という一文があると格段に信憑性が増すからです。Research Methods in Marketingの授業では必ず市場調査をグループで行うことになっているので、Kelloggの優秀な人材を無料(!)で使って自分の商品やサービスの可能性を探るという人がかなりいます。(卒業生もこの授業をつかって学生に市場調査させてたりします。学生にとってはプロジェクトのネタを探す必要がないのでWin-Winなのです)

Pros 4: ネットワーク
どこのMBAでも同じだと思いますが、まずは同級生で仲間を探せるところがとても大きいです。Pros3と少し重なりますが、特に在学中はタダで使える元コンサルタントや元バンカーがわんさかいます。また卒業生ネットワークは非常に頼りがいがあります。資金調達のため、クライアントを探すため、従業員をさがすため、など様々な活用方法があります。このほかKelloggにはLarry and Carol Levy Instituteというセンターがあり、ここでEntrepreneurship and Innovation専攻の授業や授業外のさまざまなプログラムが運営されています。

Cons 1: 資金面
MBAはお金が掛かりすぎます。1回の授業あたり200-300ドルほど掛かりますので、卒業後まず借金を返すことから始めないといけない学生がほとんどであることは事実です。多くの人が卒業後すぐの起業を断念するのは明らかにこのためです。ですのでせっかく起業の準備をしてもタイミングを逸する可能性が高いように思います。

Cons 2: 地理的な面
私は日本で起業することを考えていますので、リサーチは日本、関係者の多くも日本にいます。アメリカにいるから得をすることもありますが、日本との物理的な距離感はやはり大きな障害になりえます。私たちの場合もこれまで2回にわたって日本に帰り、フィールドワークをしなければなりませんでした。

前回も書きましたがベンチャーが成功する確率は10%ほどです。繰り返しになりますが、MBAは私たちを可能な限り良い発射台に運んでくれるとは思いますが、そこからは個人やそのチームの力量、また運の良し悪しなどMBAとは関係ないところで成否が決まるように感じています。

次回は最終回

+++

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