シリーズ「10代の発達障害を考える」② 好きな科目苦手な科目
当社で好きな教科と嫌いな教科のアンケートをとったことがある。その結果が手元にあるわけではないが、記憶に残っている大雑把なところをご紹介したい。
まず、得意=好きな教科として挙がってくるのが、社会と理科である。記憶系であり、目で見ることができることが多い具体的な事象についてなので、想像力の面で厳しさがあっても、それが目立たない教科なのだと思う。
次の集団(3位集団とでもいおうか)は、英語がやや抜けている。こちらも案外複雑さがなく、記憶でカバーしやすい教科ともいえる。そして英語を追いかける形で数学・算数や国語が出てくる。実は数学・算数、国語は得意と苦手がかなり極端に分かれる教科ではあるが、平均をとるとまあまあという 結果になっていたと思う。
一方で、そこまで差がない(統計的に言うと分散が少ない)科目は、美術とか音楽とか。そこまで好きな人と嫌いな人が分かれず、ほぼ3位集団を伺う位置に着けていたと思う。
そして最後、ダントツのびりが、体育である。これは、当社が良く言う”動的なコミュニケーション”を多用することが、球技などで多いからということもあるし、単純に運動神経が悪い(≒感覚統合などができておらず、姿勢がわるい、動作が鈍い、バランスが悪い)から、ということもあるであろう。
ただし、この苦手な体育でも、ある程度やっていけるのが、マラソンと水泳である。両方とも反復運動で、しかも個人種目。球技のような全体感を見ての臨機応変な対応は必要ではなく、型をひたすら繰り返すというのはあっているのであろう。
このような傾向を頭に入れてお子さんに接すると、その子の特徴をとらえやすくなるような気がしている。子どもの特徴は授業の成績で出る部分が多い、というか、今の日本ではその判断基準しか得られないので、成績表や問題を解くときの得手不得手など、学校の成績の物差しからその子の将来像を予測するというのが、発達障害の世界でも必要になってくると思う。
換言すると、WISCなど知能検査よりは明らかにふんだんに情報が得られるので、有用な気がしている。(といっても、当社のお仕事体験など、動的なコミュニケーションの中での振る舞いのほうがアセスメントには参考になるのであるが。。。)