シリーズ「10代の発達障害を考える」⑥ 発達障害の長所
発達障害の長所。前回 シリーズ「10代の発達障害を考える」⑤ ギフテッド で書いた通り、長所=天才的な何か、であることはとても少ない。ただし、長所は様々にある。長所を考えるうえで、重要なのは、WhatではなくHowに注目することだと思う。
お子さんの成長を願うとき、親はつい、どの教科が得意か、どの職業に結びつきやすいか、どの習い事がよいか、などを考えがちだと思う。それは、英語で言うとハードスキルであり、Whatの部分であると思う。これも前回書いたが、「発達障害だとすべからくITが得意」という”神話”は、見えやすいものを見たいと願う心から生まれる誤解だと思う。
しかし、多くの発達障害の子どもや大人と接していて、(ちなみに僕に限るとこの5年間はおそらく健常者という人よりも多く接していると思うのだが)、その良さは、なによりもHowにあると思う。どのように物事を考えるか、とか、どのように行動するか、とか、そういう部分である。
僕が、一般向けの講演で使う「発達障害とは何か?」というスライドでも、おおむねHowの部分にフォーカスしてお話ししている。改めて3つにまとめてみた。
(1)嘘をつかない
嘘をつけない、と言った方が良いかもしれないし、嘘をついてもすぐばれるということかもしれない。何よりも純朴で、自分目線であるため、勘違いということも多いのであるが、あくまで自分の目線で語るというのは接していてとても安心感がある。
(2)着眼点がゆたかである
逆に言うと常識や当たり前が乏しいということになるのだが、子どもの頃の固定観念のなさが大人になっても続いている状態ともいえる。それはとてもうらやましいことであり、はっと気づかされることが多い。もちろん、常識というのはかなりあると生活が楽になるので、それが乏しいと日々疲れるというマイナス点もあるのではあるが。。。
(3)手を抜かない
いい意味でも悪い意味でも、頃合いがわからないといえばわからないのであるが、ストイックである。バーのすぐ上を越せばよい、という発想がないのか、バーが見えにくいのかわからないが、日々全力疾走である。10代というのは大人に向けて発射台を設置するような時期だと思う。周囲が上手にナビゲートしないと、ストイックさは場合によっては大人になってから苦しい道でもがくことにつながりかねない。
もちろん、一人一人で出方は違うのだが、幹の部分、根っこの部分は同じような気がしている。
7回目。次は最後になるかもしれないが「10代における男女差」 を考えてみたい。