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「きょうだいの場合は10倍」 自閉症スペクトラムの発症率推計

2014年5月5日

スウェーデンで行われた過去最大の調査。200万人もの調査からだされた推計だという。Autism Speaks(世界最大の自閉症啓発団体)が伝えている。

Large Study Suggests Genes & Environment Contribute Equally to Autism Risk  - 大規模調査により自閉症発症率が遺伝と環境要因の二つに同程度影響していることが推測される
http://www.autismspeaks.org/science/science-news/large-study-suggests-genes-environment-contribute-equally-autism-risk

Autism Speaksのサイトにあったリンクから研究の要旨(Abstract)も読んだがこちらは環境要因のことは触れられていないようで主に遺伝要因のことが書いてあった。

The Familial Risk of Autism - 家庭内での自閉症発症率
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1866100

この記事を和訳しようか、紹介しようか、はじめ悩んだが、やはり調査は調査として理解したほうがよいかなと思うのでお伝えしたい。ある自閉症の人との関係で、どの程度通常の自閉症発症率に比べて発症確率が何倍高いかというのが以下の数字。

  • 一卵性双生児 153倍 (統計的に確からしい幅は、56.7から412.8倍 以下同じ)
  • 二卵性双生児 8.2倍 (3.7-18.1倍)
  • きょうだい 10.3倍 (9.4-11.3倍)
  • 母親が一緒の兄弟 3.3倍 (2.6-4.2倍)
  • 父親が一緒の兄弟 2.9倍 (2.2-3.7倍)
  • いとこ 2.0倍 (1.8-2.2倍)

153.0 (95% CI, 56.7-412.8; rate, 6274 for exposed vs 27 for unexposed ); for dizygotic twins, 8.2 (95% CI, 3.7-18.1; rate, 805 for exposed vs 55 for unexposed); for full siblings, 10.3 (95% CI, 9.4-11.3; rate, 829 for exposed vs 49 for unexposed); for maternal half siblings, 3.3 (95% CI, 2.6-4.2; rate, 492 for exposed vs 94 for unexposed); for paternal half siblings, 2.9 (95% CI, 2.2-3.7; rate, 371 for exposed vs 85 for unexposed); and for cousins, 2.0 (95% CI, 1.8-2.2; rate, 155 for exposed vs 49 for unexposed).  数字は上述の The Familial Risk of Autismから。

Autism Speaksの記事では、「遺伝要因と環境要因は同じだけ影響」していて、「どちらかが影響する(either or)のではなく、どちらも(working together)影響している」とある。

なお、環境要因としては、以下が挙げられている。
・親の年齢
・出産時の合併症?困難?(どなたか訳を教えてください)
・妊娠時の食事
・脳発達の初期段階での公害・汚染からの影響

In scientific terms, environmental factors include a broad range of influences. In autism, these can be as varied as parental age, birth complications, maternal nutrition at conception and exposure to pollution during early brain development.

ただし、Abstractのほうでは、 to what extent this is caused by genetic factors or shared or nonshared environmental factors remains unresolved. とあり、家族関係により発症率が高まると思われる要因が遺伝要因なのか、環境要因もなのか、どの程度なのかはわからないとなっていて、そこはAutism Speaksのまとめと異なっている。どちらが正しいことを言っているのか。僕が英語を読み間違えているのか。研究論文のもとの文章をよめばある程度わかるのか。。。

なお、Autism Speaksのほうの記事では10年前はほぼ遺伝要因が100%と思われていたとあるが、今回の調査でどの環境要因がというところまで特定されていない中で、遺伝の数字だけが出てきてしまった。これまではこれほどくっきりとした違いはないという調査があったように記憶しているが、今後、妊娠・出産を考えるときに世界各国でこの調査が影響しそうな気がしている。

調査の規模は過去最大ではあるようだがあくまで一つの調査なので参考にする程度にしたい。それにしても10倍という数字は覚えやすく、そのために、独り歩きしそうではある。

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