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自己愛と自尊心の違い発達障害の人の支援で重要なのはどちら?

2019年11月16日

今日は武庫川女子大学(兵庫・西宮市)で講演でした。座長は武庫川女子大学の中井先生、基調講演が早稲田大の梅永先生、またシンポジウムで一緒に登壇したのが関西を中心に当事者活動をしているDDACの広野さんでした。

TEENSのロゴが三日月なわけ

沢山の方にご来場頂きありがとうございました。その中に当社の就労移行支援を修了して、今ある職場で働いている修了生が来てくれていました。

講演の最中はまったく気づかなかったのですが、駅で電車を待っていたら、声をかけてくれて、おーーっとなり、帰りの電車で30分ほど話しました。

わざわざ休日を潰して来てくれていたのが、「Kaienは僕の母校ですから、最近の話を聞きたくて」とのこと。

よく聞くと、その修了生は元々関学出身。関学は三日月のロゴ。満月にこれからなる、成長途中の三日月らしいです。そのロゴを体現しようと学生時代から自分も満月になろうと努力したがなれなかった。そしてその過程で発達障害にも気づいたとのことでした。

そんな折、TEENS(当社の放デイ)のロゴを見た時にハッとした。同じ三日月だが反対側の欠けゆく三日月。でもこれで良いんだと知った。等身大の自分を受け止める。自分はこういう生き方・考え方をしよう。それから混乱が収まって、Kaienに通い、今働けている。なのでKaienは母校なんです、いつまでも頑張ってくださいということでした。

会社を作ってよかったと思う瞬間はやはりこういうフィードバックをもらった時ですね。Kaienはそういう人たちの思いを一緒に形にする仕事だと思います。でもそれには同じぐらい、私も含めたスタッフが当事者と変わりゆく社会を学ぶためのエネルギーを持って行動しないといけないと思いました。

TEENSのロゴは、太陽じゃなくても良い、他の人の力も使いながら輝く月のようになれればそれで良い。それに満月でなくても欠けていても良い。欠けたところがむしろ尖りに感じてもらえるぐらいで良い、という意味を込めて作りました。

 

自己愛と自尊心

また修了生と話をしていて、自己愛と自尊心について考えさせられました。

遡れば、哲学者・教育思想家のジャン・ジャック・ルソー(仏)にたどり着きます。自尊心は人と比べたときの自分。自己愛は自分を大切にする心。どちらが重要かと言うと自己愛だとルソーは言っています。

実はTEENSは3つのテーマ「コミュニケーション」「段取り」「自尊心」があります。1年ほど前ルソーのはなしを聞いた時にしまったと思いました。自尊心の前に自己愛はその通りだなと思ったのです。他人と比べる前に自分を大切に出来ないといけない。TEENSや当社のテーマも自尊心の前に自己愛にしないといけないと思ったわけです。

なのでそれ以来、TEENSはもちろん、ガクプロや就労移行など、当社サービスを通して、まだ自己愛を得られていない人には、安心安全の中でそれを獲得してもらうフェーズを意識するようになりました。そういうのが出来たら初めて自分の凸凹も受け止められるし、初めて自分の職場での力にも気付ける(自尊心に近づく)。それをいつの間に支援できていたのが、今日来てくれた修了生なのかなぁと思いました。

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ちょうど今日のシンポジウムでも広野さんが、その趣旨(他の人と比べず、自分を大事に)ということを話されていましたし、タイムリーでした。改めて一人ひとりの”物語”をしっかりと紡ぐ支援することの重要性を感じた次第です。久しぶりに聞いた梅永先生の笑いたっぷりの話も勉強になりました。

最後に宣伝。この後11月・12月はやや講演多めに終始します。ぜひお越しください。講演の予定はこちらから。

 

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。星槎大学共生科学部 特任教授 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴社長ブログ一覧

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