親から始めるアセスメント<ご家族向け>10代以降の発達障害を考える『就職準備勉強会』
ケース会議は親からスタート
当社では月1回、ケース会議というのを行っています。就労移行支援や生活訓練、ガクプロ(学生向けプログラム)、TEENS(放課後等デイサービス)の各事業所で、通っている方の現状と今後の支援についてスタッフ間で打ち合わせる場です。
ケース会議自体は他の福祉や医療機関でも行われていますが、当社や結構独特です。(と、同席したドクターに言われたことがあります。)
というのも、ケース会議の時に冒頭でご利用者の状態像をすり合わせるのですが、当社は大人向けのサービスの場合も、子ども向けサービスの場合も、まずは親御様のアセスメントをした後、ご本人のアセスメントをすることを徹底しています。
つまり発達障害云々、IQ云々、ご本人の希望云々の前に、やはり親御様がどういう方でどういう想いをもって育てられたかが、ご本人の特性にも大きな影響を与えると信じているからです。
今日も、放デイ2拠点、ガクプロ、就労移行1拠点のケース会議を梯子しましたが、毎回毎回、発達障害も多様ですが、親も多様だなぁ、と感じます。
どうしてもスタッフは親御様よりも年下のことが多く、日本では”専門家”とも言えども、どうしても親御様に気おされてしまうこともあるようですが、そこは支援者として伝えないといけないところは伝えましょうということで、今日もご本人だけではなく親御様に伝えるメッセージなどを検討していました。
子も多様 親も多様
これに加えて、当社ではペアトレという事業も行っています。<ご家族向け>10代以降の発達障害を考える『就職準備勉強会』としている通り、ネット社会においても、なかなか鮮度の高い、わかりやすい、わが子目線の情報が入らない中、10代の発達障害の進路進学に特化した勉強会を親向けに行っているものです。
今のところは私一人だけで企画をし、セッションをし、個別相談もし、という月1回だけの孤独なサービスなのですが、親御様の悩みや希望に支えられながら事業を続けられています。そして普段はどうしても現場に入ることが少なくなった社長の立場でも、リアルに接することができ、アイデアをいただく貴重な場でもあります。
先週末個別相談をしたお三方は、北海道、甲信越、中部地方と地方もバラバラで、相談内容も、告知のことから、障害福祉サービスのことから、就職の地域のことまで、さまざまでした。知識だけでは答えられないことがあるので、支援をするときのベースとなる考え方を使って、一緒に考えていく、組み立てていくことになります。
この時に、日々のケース会議で様々な親御様のタイプや想いをアセスメントしていると、この方はこういうタイプかな?という仮説がいくつも出てくるので、短い個別相談でも落ちついてお話を聞ける気がしており、その自分への安心感が親御様にも伝わるようで、おおむね納得して時間を過ごしていただいているような気がします。まああくまで自己評価ですが…。
ペアトレ 次は1月から第7期
ペアトレの次は第7期。2021年1月から7回シリーズです。(第7期ではありますが、前回まで事業所で受ける口座とオンラインで受ける講座の期を分けていた関係で通算では10期目となります。) これまで200超の親御様にご参加いただいています。
徐々に改良を重ねていますので、その時の最新の話を織り交ぜながらとなっています。ご関心のある方はぜひ下記のリンクをクリックしてみてください。(過去のセッションをまとめたダイジェスト動画も20ぐらい見られます)
文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS、大学生向けの就活サークル ガクプロ、就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。星槎大学共生科学部 特任教授 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴