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NHK「発達障害プロジェクト」視聴録①NHKスペシャル「発達障害~解明される未知の世界~」を前に

2017年5月18日

 NHKが来年(2018年)春まで1年かけてマラソン企画を組みます。テーマは発達障害。「NHKスペシャル」や「クローズアップ現代+」、「あさイチ」などの総合テレビ、「ETV特集」や「ハートネットTV」などの教育テレビの番組など部門横断的に、日本の発達障害を捉えなおそう、当事者や周囲の人の生きづらさを少しでも解消しようという狙いのようです。すでにプロジェクトのウェブサイトも立ち上がっています。

当事者家族 NHKの元職員 そして発達障害の支援者という立場

 僕は実は2001年から2007年までNHKで働いていました。もう10年前のことです。もしNHKで勤め続けていたら、当事者家族として、こういう企画を内部で関わったのだろうなぁと感慨深く感じます。当時は、まだ自分の息子が診断前だったということもあって、発達障害はほとんど放送で取り上げたことがなかったのですが、今職員だったらこのプロジェクトに携わりたいと上司に懇願していたことでしょう。

 今回は当社Kaienは撮影は受けてはいません。が、奇遇にもディレクターの一人が僕の仙台局時代に一緒に働いていたということで少し話をしましたし、今週末(2017年5月21日)放送のNHKスペシャル「発達障害~解明される未知の世界~」では、当社を立ち上げるきっかけになったデンマークのSpecialisterne(スペシャリスタナ)創業者、トーキル・ソネが取材されたそうです。ご本人からだいぶ前に久しぶりの連絡が来て知りました。

2008年。Kaien創業の1年前にデンマークのSpecialisterneを訪問した時の写真が残っていました。

 

 実はNHKを退職して以来、テレビを持ったことがないのです。でも、今回のプロジェクトの番組は出来る範囲内でですが、”オンデマンド”で視聴し、備忘録的に感想を自分のペースでポツリポツリと記していきたいと思っています。

放送前に予想と期待を

 これまで番組担当者や出演する皆さんから伝え聞くに、今までの発達障害のイメージを変えていく、見えづらいがゆえに生じがちな誤解を解いていく、というのがプロジェクトの狙いに思えます。ですので、『定型発達症候群』という僕も聞いたことが無い単語を使って視点を変えてみたり、感覚や認知を映像化するというこれまで発達障害の報道ではあまりなかったアプローチをまず取っているようです。

これまで発達障害の特性・存在を否定しがちな人たちに見せたい

 正直なところ、今回の放送で驚愕の事実が飛び出すということはないでしょう。支援者や研究者、熱心なご家族ならば、「まあそうだよね」という既知の情報がまとめられているものになることは予想できます。ただし期待したいのは、これまで自身の発達障害の特性を受け止められないご本人や、普通だと言い張って発達障害を理解しようとしないご家族など、これまでは普通と思い込んでいた、思い込みたかった人たちが、発達障害の世界を可視化されることで、単なる努力不足や大袈裟な表現と思っていた誤解が解ける可能性があるということだと思います。やはり映像の力は大きく、文章や口頭でいくら説明されても伝わらないものが、するっとわかる可能性があるという期待は大きいです。

発達障害の特徴を活かす方法も詳らかにしてもらいたい

 ただしそれだけでは「発達障害の烙印を押す」という感じにも取られてしまうと思います。なので、発達障害じゃない状態というのがなかなか存在しない、つまり誰にでも共感する点は有るという視点や、発達障害の特徴を活かす方法もあるというプラスの部分も詳らかにしてもらえると思います。そこで出てくるのが、おそらくSpecialisterneの事例だと思います。彼らは国連と組んで100万人の自閉症スペクトラムの人を雇うという計画を推進中です。その真髄が今回の番組で明かされることでしょう。(とはいっても魔法を使っているわけではなく、日本の福祉や雇用現場でも理想とされているところをしっかり実行しているというものだと思われます。)

当事者の生活や考えを”等身大で見せる工夫”も期待したい

 最後に、今回は当事者が生放送で出演しますし、ネットで書き込みもできるようになっているなど、当事者の生活や考えを”等身大で見せる工夫”も期待したいです。発達障害のある人は15人に一人と言われるなどどこにでもいます。今日乗った電車で隣になったかもしれないし、職場の目の前の人かもしれないし、初めて付き合った異性の人だったかもしれません。1年をかけて放送されるNHKの発達障害プロジェクトでは、発達障害の特性のある人達は、ごくごく身近にいて一生懸命に日々を暮らす喜怒哀楽を持った人たちなのですよ、社会の構成員の一人一人なのですよ、というメッセージが伝われば良いと思います。

 というわけで、当事者家族としても、支援者としても、元NHK職員としても、まず第1回の「NHKスペシャル」は気合を入れて見て、後日感想を上げたいと思います。

5/21 (日) 総合 夜9時 NHKスペシャル「発達障害~解明される未知の世界~」

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