発達障害の人が苦手な「営業」や「電話」がリアルに体験できる本格的な職業訓練を実施
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朝から忙しい一日でした。ようやく帰れそうです。
「現場から離れて社長らしくなる」と先日のブログ(いつの間にか社員が100人を超えていて)でした宣言はどこへやら、かなり現場一徹な感じの一日でした。今日の締めくくりも、開発したばかりの新しい職業訓練プログラムについてです。
長いタイトルに書いた通り、発達障害の人は電話が苦手です。いろいろな苦手な要素(割り込み作業になる=用意ができない、内容に応じて臨機応変さが要求される、耳からの情報だけで対応しないといけない、メモ書きも通常必要で同時並行力が問われる)が考えられます。
また発達障害の人は通常営業が苦手です。こちらも色々な苦手な要素(相手に自分の商品を必要以上によく見せないといけない=嘘をつく必要がある、相手のニーズを言外から汲み取る、人によって同じ商品でも言い方を変える、自分が納得していないものも売らないといけない、とにかく上司から急かされる、数字のミスが許されない)が考えられます。
でも、やはり仕事をしていくと、電話は結構必要ですし、相手との交渉も必要、また営業職に就かないとしても売り買いの集約が資本主義の味噌ですので、どこかで商人の感覚がないと、企業の雰囲気に置いていかれます。
ということで、職業訓練でリアルに営業や電話が体験できることはできないかなと考えを巡らせていました。そしてついに先週と今週、「リアル版 営業体験ゲーム」という形で、Kaienの就労移行支援で実施しました。(※もともとは学生向けガクプロで試していたパーツをつなぎ合わせたものです。)
この営業ゲームは、ルールは案外単純。自社商品を売り、他社の商品を定められただけ購入するというもの。売上ーコスト、つまり利益が一番高いチームが優勝となります。
今回は5拠点でそれぞれ業種(雑誌・PC・複合機・弁当・バイク便)に分かれ、それぞれの業種に3社がいて、自分の商品を他企業に売りまくる、そして自分の会社も定められたニーズに基づいて一定数のものを他業種から購入しました。
営業の交渉は電話とメール。その辺のビジネスマナーをはるかに超えるリアル感で、2週間、売り買いの電話とメールが乱れ飛んでいました。発達障害の方向けにしてはいますが、正直、その辺の大学生や高校生にも良いゲームだと思います。将来的には当社以外でも使ってもらえるようにパッケージ化しようと考えています。
というのも、実はこのゲームは僕がMBAでアメリカにいた時に、マーケティングゲームという、マーケティングを疑似的な会社のやりとりで学んでいくゲームの考えを基にしたもの。MBAでもゲームを使って1,2か月かけて実際のマーケティングを学んでいっている(※学校が買ったゲームですが、結構な金額のゲームと聞いたことがあります)わけで、それが発達障害者向けの訓練でも出来ないかなと思ったわけです。当社の営業ゲームも、MBAのマーケティングゲームに追い付け追い越せと言う感じで開発しました。
実施前は、難しすぎるとか、あいまいすぎるとか、混乱が怖いとか、いろいろな意見をスタッフからもらいましたが一蹴し、とにかくやろうということで鶴の一声で行いました。結果、高値で売り付けたり、同業種で談合をほのめかしたり、余っている商品も人気で品薄とかいったり、まあいろいろとあくどいこともありながら会社って回っていますよ、みたいなことが、本当に体験できました。
これまでの職業訓練の中で一番難しいものだと思いますが、一番充実感もあったものだと思います。案外、自分電話出来るじゃんとか、若干間違っても早めに動くと商売的には良いんだとか、安心して失敗できる場だからこそ、仕事の醍醐味、面白さも感じられたのではないかと思います。就職活動の場でも、こういうことを職業訓練でやってリアルにビジネススキルや会社の仕組みを学んだというのは、プラスに評価してもらえるのではないかなと思います。
もっとも、今回の営業ゲームで伝えたかったのは、仕事って苦しいことやぐちゃぐちゃして頭がこんがらがることもあるけれども、とても面白いものだということを訓練生に伝えたかったということです。電話とか営業とか、そういうハードスキルではなく、仕事の本質ですね。障害者の支援とか高尚な部分とかを意識するよりも、仕事って本当は癖になるぐらい楽しく、充実しているものだというのが、一瞬でも、一人でも多くの人が、今回感じてもらえればなと思いました。
最終日である今日、結果をYouTubeで各拠点で発表しました。(この集計で昨夜も遅くまでかかってしまって、、、相変わらず現場から離れられていないですが…) みんな苦労した分、結果発表は各拠点で盛り上がった模様です。1位は池袋拠点のチームでした。優勝賞金は1万円。チームでささやかに一杯飲めるぐらいでしょうか。おめでとうございます!!
次回は12月下旬。そのころには今回、営業ゲームを体験した人たちの多くは当社を修了・就職している、いてほしいと思います。
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