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コミュニケーションですれ違いが生じるとき

2010年11月1日

コミュニケーション障害と呼ぶのはやめて下さいのエントリーについて色々と意見を頂いた。

「なるほど。そういう考えもあるのか」というものもあったが、「分かっていない。危うさを感じる」というものもあった。たしかにあれだけの短い文章だと、誤解されるおそれもある。僕の文章力の問題や構成力による問題が多いのは百も承知。ただ今回はコミュニケーションがすれ違う例に(折角?)自分の力で(あるいは力不足で?)出会えたので、日頃思っている以下の論を展開したい。

ポイントは3つ。

まず前提の問題。議論がずれるときはここがずれている時が多い。たとえば僕は今回、「・・・やめて下さい」のエントリーの中で、いわゆる定型発達者(自閉症スペクトラムと診断を受けていない人)でも以心伝心なんてことはほとんどなくコミュニケーションのズレはつねに生じるという前提に立っていた。ここを理解していない場合、あるいは全然違う前提を持っている場合は当然議論がずれていく。大学院でケーススタディを行ったときに、恐ろしいまでに前提をチームやクラスで確認していくことがあったが、それは議論を組み立てるときに、前提がずれていると、いくらどちらが頑張っても最終的にはずれる運命になるからだと思う。

次に複数存在する論理の問題。同じ仮説・前提でもいくつも論理的な考え方は出来るということ。僕は自己論理と他者論理といっている。ある状況ではひとつしか論理的な筋がないと考えると、自己論理が揺ぎ無いと、他者論理の存在そのものを否定しがちである。(なお、政治の世界というのはこのゲームを意識的にやっているようにしか思えないことがある。。。)

最後に共通を見出すか差異を見出すかということ。これは投資銀行などでの交渉術でいわれることらしいが、共通の部分を見つけてから議論に入る場合と、違う部分を見つけてそこをなくそうとする入り方では、前者のほうが議論がうまく行く、つまり交渉が成功する場合が多いとのこと。一見違うことを言っていると思える両者でも目的や状況認識は一緒な場合が多い。その土台を確認したあと議論するとコミュニケーションもずれにくくなるはずということである。これをせずにコミュニケーションが感情的にすれ違っていくケースがなんと多いことか。。。ああ、自戒の念も込めてである。

たしかに自閉症スペクトラムの人は、心を通い合わせるのに時間がかかる場合がある。だが、上記のポイントをきちんとお互いに実行してから、それでも上手くいかないときに、はじめて自閉症という特性の存在を考えるほうが健全だし、よりストレスのない関係を築けるケースが多いと思う。

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