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発達障害の周辺領域

2013年6月18日

先日、「最新医学」という、医師向け雑誌の発行会社に呼ばれて、山の上ホテルへ。昭和大学烏山病院の加藤院長と、国立精神・神経医療研究センターの神尾部長との鼎談のためである。「特集・発達障害」の9月号の巻頭に載るらしい。

鼎談を振り返って印象に残るのが、発達障害の周辺領域である。鼎談では主に自閉症スペクトラムの話(つまり同一性の保持や客観視の弱さ)やADHD的な要素(衝動性、不注意)を見逃すと、二次障害といわれる他の疾患への対応が難しくなる、というような議論が何度も繰り返された。精神科医としては、発達障害を理解することは今後とても重要になってくるであろうということであった。

今後DSM-Vで発達障害との切り分けがより明確に行われるであろう、社交不安障害、についてもお話をした。これはどちらかというと僕が持ちだした話題である。社交不安障害に診断されても良いんじゃないかなぁという人が発達障害と診断されるケースは、Kaienの個別相談で何例も見ている。うっすらとした発達障害に見えやすく、あるいは発達障害をベースにしているケースが多いのかなぁというのが、(医療関係者でもないが現場で見ていて)僕が感じるところである。

子どもの頃におとなしかっただけでこだわりやズレの体験が少なく、本人に会っていても表情や仕草や注意・関心の向け方が、発達障害の強い人は車で言うとマニュアルっぽく見えるが、 社交不安障害の傾向が強いという人はオートマチックに見える、という違いが僕の中では思いつく。自分が発達障害じゃないかと不安になる層はこのタイプが多いと思う。(※逆に周囲が早めに気づくが本人が納得感がないのは発達障害のケースが多いかと思う。客観性の弱さという特性故に自分の特性に気づきにくいないからである。)客観視をしすぎているタイプとでも言おうか。

ただし、不思議なのは、当社には、社交不安障害(の要素が強いのではないかと僕が思う発達障害の診断を受けたタイプ)の人も、楽しく通っているようで、しかも当社のプログラムがあっているらしいのである。ADHDも含め、自閉症スペクトラムであろうと、社交不安障害であろうと、物事を構造化して、特にコミュニケーションを構造化して、時間軸と作業の手順の見通しをつければ、(またその手段を訓練すれば)、多くの場合より安定して働けるのではないかなぁと思っている。診断が異なっても基本的な対応を変えていないということについては加藤先生もかなり驚かれていた。もちろん、個別事情に応じて当然調整は必要なのではあるが。。。

医療系の方は、かなり分厚くなるであろう、脳科学、薬物、福祉、雇用、教育、家族など20人以上の専門家による特集号を読んでいただければと思う。

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