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彼が飲み会の最中に天井を見続けたわけ発達障害支援の根っこにあるものとは?

2018年7月28日

大阪出張中。6月に開所したKaien大阪天六は2ヶ月でついに満員御礼となり、これからは利用まで少しお待ち頂く案内をしないといけなくなりそうです。とはいえまだ一人も就職はしていないので、これから1、2ヶ月で就活が進み、Kaien大阪天六第1号・第2号の内定者が出てくるのを期待しています。(厳密に言えば訓練生の内定者は既に出ているのですが、その会社に就職が決まったわけではありませんので、めでたく修了!!となる第1号・2号を早く出したいということです。)

現場は傷を癒やしてくれる

今朝は久しぶりに仕事への気乗りがしない朝でした。「仕事が趣味」の僕にとっては珍しいことです。会社経営というのはすべてがうまく行くことはありません。毎日のようにネガティブになるニュースが入ってきます。社長の仕事の多くはネガティブな情報にどう向かうかなのか…。今週は次から次へと後ろ向きの対応をする必要があり、そんな気持ちになるこの1週間でした。

それに加えて合宿や大阪出張の疲れがたまっているのでしょう。鬱々とした気持ちの中、ホテルから一駅のKaien大阪天六へ。午前は利用説明会。そして午後はガクプロでした。でも当社の利用を希望する方々とお話をしているうちに気持ちが前向きになり、ガクプロ生や体験セッションの人たちと交わっていると楽しくなってくるのは不思議なものです。

リーダーにとって現場は実情を知り、アイディアと情熱が湧く場所だけではなく、隠れて傷を癒す場所でもある。

宋文洲さんの言葉です。本当に僕は発達障害の人に救われていると思います。特に今日はいろいろと面白いことがあったのですが、その中でもピカイチのものをご紹介します。(個人が特定できないようにやや脚色を加えます。)

女の子の胸の谷間が気になる…

今日のガクプロ生のお悩み相談は「前に座った女の子と話すときの目のやり場」でした。

あるガクプロ生が飲み会デビューしました。大学のクラスの飲み会だったので参加しやすかったようです。でも同性の友達も少ないのに、目の前に座ったのは女の子だったのこと。もじもじしてしまったというのがお悩みでした。

「どのように話したら良いのかわからなかったの?それとも話題がなかったの?あるいは無視されちゃったの?」と聞くと、「話しかけてもらったからそれはない」とのこと。

「じゃあ何に困ったの?」と聞いたら、「僕は目は合わせられない(注:自閉症スペクトラムの特徴ですね)。だから話すときは相手のアゴをみるようにしている。でもアゴを見ると、谷間が気になっちゃうので、飲み会の中ずっと天井をみていました。」とのこと。「鼻を見ればよかったのに」と尋ねたら、「鼻を見ると今度は目が見えてくるのでやりづらい」とのことでした。

これをみんなの前でまっすぐ話してくれる彼に感動するとともに、他のガクプロ生もいろいろなアイデアを出してくれて、会話がとても盛り上がりました。料理を盛り付けるなど手を常に動かして料理を見ていればよかったのではとか、1対1で話さなくて他の人を入れて複数で話して他の人を見ればよかったのではとかです。

僕がアドバイスしたのは、「実は女の子は胸をチラチラみられるのは慣れていると思うからそんなに気にしなくても良いよ。アゴを見て、時々目が胸に行っても、その程度なら怒られないよ」ということ。

ガクプロにはご家族(主に母親)が見学で参加されていることもありますので、アドバイスの前に一瞬躊躇しましたが、相談主さんには納得がとてもいったようで、大きく頷いて安心した表情をしてくれてとても良かった。今日の僕のハイライトでした。だから支援は面白いです。

支援≠魔法

ホテルに帰りながら今日の支援をいろいろ振り返っていたら、ふと最近の当社の空気について思い至りました。そう、朝僕を苦しめていたネガティブ情報の一つが社内の働きやすさでした。

最近当社のサービスは「発達障害と言ったらKaienさん」「TEENSさんは独自性が強いですね」と言われることが多くなっています。それはそれでありがたいのですが、そのプレッシャーで肩肘張った感じになってしまっているのかもしれません。あるいは現場のスタッフがKaien流、TEENS流にしなくてはと萎縮し始めているかもしれません。

「誰でも良い支援を出来るように、プログラムを標準化しないといけない」とか、「しっかりと研修をして、ミッション・ビジョンを全社員に落とし込まないといけない」とか、そういう息苦しさです。それが社員に伝わって働きづらくなってはいないか。自分自身もMUSTと思うことが増えて、苦しくなっていないかということですね。

本来支援なんて、経典に書いてあるようなものではない。どこかで苦労して体得する魔法のようなものでもない。どこにでもある日常のやり取りが支援になるのだと思います。根っこには相手に対する興味・関心・共感。それがあればどんな支援も最終的に成り立つというような、アタリマエのことを最近意識していなかったかもしれないなと思いました。

「前にいる女の子の胸の谷間を少しぐらい見ても気づかれないよ、あるいは気づかれたとしても相手はあなたよりも大分ませているだろうから無意識に目が行っちゃうぐらいならば怒られないよ」なんていうアドバイスは、発達障害の支援者の本にあるはずはありません。その場で、その男子学生の人となりと特徴や性格と、自分の人生経験や常識感を、ふんわりと混ぜて出てきたものが支援なのであって、標準化とかミッション・ビジョンとかそんなんじゃないよなと思ったわけです。

もちろんまったく指針がないと返って人は動きが止まりますし、発達障害の基礎知識がないとアドバイスしたつもりが逆効果ということも十分にありえますので、知識や研修・指摘が無駄なわけではない。でも現場の支援者が、前向きに楽しく自由にできていると錯覚するぐらいじゃないと、良い支援というのはできないよなと。現場の社員が良い意味で自分の感覚で動くのではなく「Kaienってこういうふうに支援することになっていたよな」と頭の中の辞書をめくっているような支援をさせてはいけない、伸び伸びと支援にあたれる会社にしていかないといけない、思ったわけです。

現場に出るって本当に貴重です。いろいろなところに宝が落ちているような気がします。明日も午前だけですが現場があります。台風一過の大阪でまた宝探しをしてきたいと思います。

Kaien・TEENS 採用関連情報

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