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NHK「向精神薬」ドキュメンタリー 視聴後の感想

2010年11月27日

今夜の「追跡!AtoZ」良かった。”心の病の薬に何が 向精神薬乱用の実態”という回。

NHKのサイトによると、『「不眠」や「うつ」などの治療に使われる向精神薬。ストレス社会を背景に、より身近なものになっている。しかし今、この向精神薬が乱用され、危険な状態に陥るケースが急増している。その一方で、病院でしか手に入らないはずの向精神薬が市民の間で密売されていることも分かってきた。(略)身近な薬にいったい何が?急速に広がる向精神薬の乱用の実態を追跡する』ストーリーだった。

良いと思ったのは、厚労省や病院や暴力団や患者という個別の問題ではなく、現代社会の生きづらさがあるというまとめ方。もちろん取材者としては安易で、どこからも文句を言われない取材後の感想ではあるが、正直本当に現代社会のひとつの結果であり、何かを変えてもどうなるものでもないと僕も思う。人口バランスも良く、景気も良く、労働者の権利もきちんと確保され、家族の問題が地域で上手に解消し、、、などという社会だったら、どんなに悪意がある人があってもここまで問題が広まらないと思うからだ。

でも、なお、この番組では取り上げられなかったところに限定して、システム上の改善点や課題を考えると下記のようになると思う。

  • 生活保護が、実質上のミニマムインカムになりつつ有り、身近な、多くの人が利用するものになりつつあるのに、どうもこの制度をどうするかという議論がなかなか始まらず、現在の利用状況に必ずしもあっていないベネフィットがあるように思う
  • 今の精神科での診療ポイント制度だと、5分程度で患者を回さないと病院経営が成り立たない、と言われる。(簡単に言うと精神科医というのは、患者の人生や苦労をおう、非常にタフな仕事にもかかわらず、儲かりにくいと言われる) 例えば1ヶ月に5分しか会うことができないと、どんな優れた医者でも患者の状態が十分に把握できないし、さらには薬で安定化させたほうが扱いやすいと多めに処方するケースは、悪質だが出てくるであろう
  • 製薬会社にとっても、抗精神薬というのは、まだまだ開拓が進んでいないところであるし、市場が圧倒的に伸びているところであるので、儲けに対するインセンティブが働いている分野である。営業はどんどんかけられているし、実際新薬もどんどん出てきている。
  • の割には、抗精神薬というのは、完全にはどうして効くのか解明出来ていないものもある。(解明が十分でない脳に働きかける薬なので当然ではあるが。。。)なので非常に曖昧な薬であり、これが正しくこれがダメという線引きが難しい
  • また精神疾患というものも、診断が非常に難しい。かかる医師によって診断が異なることはやはり現実にあるし、薬の処方の仕方も非常に幅広い。
  • 医者に多くの権限が集中している。臨床心理士などに医者のできる範囲が少しでも広がるともちろん医者ももう少し医者でしか出来ないところに集中してリソースを注ぐことが出来る (もちろん医師会の反対もあるだろうし、そもそも現状が、医者しか出来ないことをやっている、と言われてしまうだろうが、英国などでは医療費を削減するため、医者以外に作業を如何にまわせるかが議論になっているという)
  • 日本ではカウンセリングに保険が適用されない。このため悩みを通える人は、病院に行くことになるし、薬に頼ることになる

とまあ、僕の理解を書きました。事実と違うところがあったらぜひ教えてください。

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