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8社目の正直でたどり着いた、一生働きたい場所 ~私とKaien 第9話~

2016年7月25日

『私とKaien』は当社の就労移行支援を利用していた訓練修了生や、ガクプロやTEENSをご利用中のお子様を持つご家族など、Kaienと一緒に発達障害の魅力を世の中に広げていただいている方々へのインタビューシリーズです。

第9話は、一般枠で就労するも定着できない中でご自身の障害に気付き、20代後半でKaienの就労移行支援を利用した男性に話を伺いました。Kaien求人で就職して2年になります。

8社目の正直でたどり着いた、一生働きたい場所

一般枠でうまくいかず、うつ寸前の状態に

 発達障害には、社会人になってから気付くことになりました。大学を卒業してから7年、一般枠で働きましたが、物流や製造、家電量販店、喫茶店、パン屋など、正社員や契約社員、アルバイトも入れて7社を転々とすることになりました。どの職場でもコミュニケーションの苦手さとプレッシャーの弱さが露呈しました。人が話しているところに声をかけてしまって「空気を読め」と言われたり、小さなトラブルでもかなり慌ててしまいました。

 自分は他の人と何か違うのではと初めて疑ったのは、正社員で入った4社目の整袋作業の会社ででした。食パンを入れるビニールの袋を作る仕事です。他の人が半年もあれば独り立ちする作業を、一年半で退社するまで結局覚えることができなかったんです。機械と一対一での作業ですが、僕は作業が遅くて、機械から出てくる袋がどんどんたまってしまいました。後手後手になって製品の質にも影響し、週に3~4日は夜中まで残されました。それでも、自分ができないのは努力が足りないからだと、まだ障害には気付かなかったんです。

 でも2012年、6社目の喫茶店のアルバイトで自分は他の人と違うと確信しました。フロアでも調理でも仕事の速さにまったくついていけず、3カ月でクビになりました。心療内科を受診したところ、うつ寸前の状態と言われました。さらに発達障害の疑いがあると言われて検査を受け、自閉症スペクトラム障害およびアスペルガー症候群との結果でした。診断が出たときには年が明けていました。

Kaienで、ホウレンソウの何たるかを学んだ

 診断はショックでした。障害者手帳を取ったときには、安心と抵抗の両方を感じましたね。でも、認めるのも一つの手だと思ったんです。それまでは「自分はなぜダメなのか」、出口がない問いの中にいました。でもダメなところも含めて自分の認めたことで、かすかな光が見えたんです。親も障害者枠での就労を認めてくれました。一般枠で働いていた時には叱咤激励もありましたが、緩急をつけて励ましてくれていたんだと分かります。

 「Kaienていうところ、行ってみたらどうだ」と勧めてくれたのも父でした。Kaien入所は2013年11月、28歳のとき。キャリアカウンセリング担当の藤さんと計画を立てて、3カ月間は自分の得意・不得意を知るための期間にあてました。訓練は自分のペースで、できてもできなくてもやってみようという気持ち。「できること」がノルマではない、「やってみること」が自分のノルマなんだと。Kaienが最後の砦なんだと思うと、腹が座りました。

 訓練で役に立ったことは、何をおいても報告・連絡・相談です。口頭での報告・連絡・相談を毎日したことで、体で覚えることができました。一度会社に入ればもう実践の場で、その時々で状況も違うから、ホウレンソウの基本を覚えるのは自分には難しかった。でも訓練はミスを恐れなくていい。スタッフから都度、「Iさん、今の声を掛けるタイミング違います」「今のは良かったです」とフィードバックをもらって、次に活かしていきました。

「これIさんに」、スタッフが選んだぴったりの求人

 現在働いている服飾メーカーの倉庫内作業の仕事は、「これ、Iさんに良いと思うんだ」と藤さんが提案してくれたものです。働いて2年になります。勤務先は都心にある本社とは離れた郊外にあって、輸送管理を行っている会社と業務委託を結んで運営。提携先企業のスタッフ約50人と一緒に、自分も含めた弊社スタッフ数人が働いています。僕が担当しているのは、オンライン店舗で購入された商品の返品処理です。定型業務が基本で一つ一つ確実に業務を処理していきます。速さは求められず、焦らなくていいのがありがたいです。

ノート

2年と少しの間に、ノート4冊を使った。その場で書き留めるのに使ったこの4冊のほか、清書したノートは別にある。

 倉庫に返品されてきた商品が届いたら開梱して、返品伝票に印字されているバーコードと商品のJANコードを読み込みます。Excelで作成された確認システムに「返品待ち」と出ればOK。ここまでが通常の業務です。でも最近は、返品処理の中でも難しい、イレギュラー対応を任せてもらうことが増えてきました。この確認システムに「発送済」と出る場合です。

 返品にはお客さまからの事前連絡が必要ですが、この確認システムは事前連絡がないのに商品が届くと「発送済」と表示されます。確認が必要な件は、すべて本社のカスタマーサービス部に電話で報告し指示を仰ぎます。電話は、以前は誰から何を言われるのか分からなくて大の苦手だったんですが、今ではだいぶ慣れましたね。

悩んだときには「サロン」で相談

 イレギュラーな対応ができるようになってきたのは、「怒られたくない」というプレッシャーから解放されたことが大きいかもしれません。大きい声やきつい口調が苦手で、どの職場でも怒られて引きずりミスが出てまた怒られるという悪循環だったのですが、今の上司は怒らない方で、いろいろなことを相談できます。ただし、慣れが一番怖い。仕事中はもう一人の自分と対話して、自分を客観的に見るように努力しています。「この処理終わった?」「うん、大丈夫」って。上司によると独り言が出ているようです(笑)。

 職場を働きやすく整えることにやりがいを感じています。自分が入社した当時は口頭での説明が多かったので、業務手順をマニュアル化しました。Kaienのマニュアルも参考にして、写真も入れました。上司が「いいね」と言ってくれるのがうれしいです。一般枠のパートの方の指導する時には、自分の苦労した点も交えながら伝えています。同じ職場で働く人に嫌な思いはさせたくない。自分がずっと、苦労してきたからです。

 できるだけ長く、今の会社で勤めたいんです。自分に本当に合っている企業を見つけてくれて、Kaienにはとても感謝しています。いずれ一人暮らしできればと思っています。障害者枠なので、決して裕福ではないかもしれませんが、趣味や面白いと思えることを見つけてプライベートを充実させたい。

 先月、「サロン」(金曜夜開催、修了生と訓練生が集まるカジュアルな飲み会)に行って藤さんに悩みを聞いてもらいました。ミスをしてしまうと、自分自身に少しイライラしてしまい、次に響いてしまうと。「成長したね」といわれました。緊張感を持って仕事ができているねって。「ミスをしたら謝るしかない」という答えでした。それもそうだなと。いつでも相談できる場所があるって、いいものですね。

スライド

Kaien修了生が訓練生に向けて就活の体験談を語る「ようこそ先輩」にも登壇。「客観的に自分を見る」ことの大切さをスライドで伝えた。

(取材:2016年6月)

■Iさん:31歳・男性。新卒で正社員にて就職したが定着できず、一般枠で7社を転々とすることになる。その中で自身の障害に気付き、Kaienへ28歳で入所。約半年の訓練を経て現職で約2年が経つ。

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