働く楽しさを伝播するには発達障害支援企業の管理職とは 第4回
当社の想いや現場での働き甲斐をお伝えする『懸け橋』。4回シリーズで昨年末にエリアマネージャーに就任したメンバーの対談をお送りしています。今回は最終回の4回目です。
これまで管理職をおかずフラットな組織であったKaienも、スタッフが150人を超え、約700人の利用者に日々サービスを提供する規模の会社になっています。更なる成長を見越し、昨年末に、社長に指示系統が集中する状態からエリアごとにマネージャーを置く組織体制となりました。
これまでになかった新しい役職に就任し、社員一人一人がより力を発揮しやすい組織のあり方を模索し続けているエリアマネージャーに、新体制での試行錯誤に焦点を当てながら、当社で働くとは?を考えます。
発達障害の強みを活かすという輪を広げていきたい
穂刈)2周目に入りますか。(紙をめくるが既にでているものと同じテーマが続く)
大野)ノーテーマでいいんじゃない?僕が気になってるのは、皆入社したタイミングでAMとかなると思ってないじゃないですか。
穂刈)思ってないですね。
大野)この2、3年後の展望ってどんな感じなのかなと思って。具体的な展望を持っている人はいないと思うんだけれど、どう在りたいかって言うとどうですかね。
穂刈)やっぱり仕事を楽しくやっていたいっていうのは、大きいですね。どうありたいというより、仕事をするのは基本的に好きなので。ちょっと楽しくない時も時々ありますけど、でも楽しいなっていう風に一人一人が思えるといいかなとは思います。
大野)楽しい人が増えていけば事業の規模も広がるわけで、
水口)11月の社員合宿でも話題に挙がったけど、僕は会社を大きくしたいんだよね。現場の楽しさだもそうだし、仕事の楽しさそのものが味わえる会社だから大きくしたいし、東京とか首都圏だけじゃなくてもう少し広げたい。我々のいいサービス、自信を持っているサービスを大勢の人が味わえるようにしたいんです。今は今で精一杯なんだけど、もし2、3年後に自分ができることがあるんだったら、それは良いサービスを広げることだってすごく思っています。目の前のお子さんとか訓練生を大事にすることだけでなくて、より仕組みを作って、パートナーシップで仲間を増やしていくとか、求人開拓をもっとして仲間を、共感してくれる企業を増やしていくとか、発達障害の強みを活かすという輪を広げていきたいなって思うんですよね。
大橋)そうですね。まだまだ当社を知らない人もいっぱいいるじゃないですか。でも近くにあったら行きたいとか、来たら成長できるとか、そういう当社にはまる子ももっとたくさんいると思いますね。
水口)そのためにAMもいると思っていて。今はスタッフが百数十人じゃないですか。でもすべての政令指定都市に拠点を出したとしたら、おそらく現地の人とかも入れれば500人とかになるでしょう?
穂刈)うんうん。
水口)パートナー(注:全国のパートナー企業・団体がKaienのプログラムを行う地域パートナーシップ制度に加盟されている団体のこと)も入れれば、もしかしたら1000人規模になるかも知れないですよね。そうしたら社長が一人いて1000人の従業員ってありえないでしょう?もう少し社長になり代わって動ける人が必要になってくるから、1000人規模になるための第一歩がAMなんだと思う。100人を1000人に桁を変えていく時に必要な人。最近は自分はパイオニアなのかなと感じています。自分をこう何ていうか、、、
大野)鼓舞するみたいな?
一同)笑
水口)そうそう。Kaienで誰もやったことのないことをやっているから、自分たちはそこに選ばれたんだというような視点で考えています。
大橋)「選ばれたんだ」っていう感覚って大事だなって思うんですけど、自分はその感覚はあまり無くて。飯島さん(注:当社執行役員)にも「大橋さん、AMに選ばれたんだよ?嬉しくないの?」って言われて、「いや…そんなに…嬉しかったのは初めの2日くらい…」って。
水口)僕も最初はもちろんそう思いました(笑)。
大野)言ってた言ってた。「勘弁してくれよぉ、現場やりてえんだよ俺ぇ~」みたいなね(笑)。
水口)今はそうは全く思ってないんだけどね。自分が役に立てる場所がここにはある。会社の理念とか発達障害の強みを広めていくというところに役に立てる場所はここだって思ってる。自分の目先の楽しい楽しくないっていう欲求はもちろんあるんだけれども、今のAMの役割というのは会社に必要だし、役に立てる場所であるから自分の糧にしようっていう心のサイクルに今はなってますね。
大野)なんていうか、自分がAMにふさわしいかどうかはわかんないけど、AMが必要なのはわかるじゃん。
穂刈)それはすごいわかります。AMがいなかったらもっと悪くって言うんじゃないけど、ちょっと良くなかったのかなとはすごく感じます。決して今自分が上手くできてるとは思わないけど、でも必要な存在なんだなっていうのは思います。やっぱこれだけ会社も人数が増えてきたし、まだまだ増やしていきたいと思うから、本当に必要な存在なんだなって思いますね。
楽しさをシェアする
大野)僕がちょっと心配してるのは、「現場の人たちを楽しくするためにAMがいる」みたいな苦しさが生まれて、自分たちの楽しさみたいなものが削がれていって不健康になっていったら、それは本当に違うなぁと思っています。
水口)そうですね。
大野)俺は苦しくなったらAMをやめようと思ってる。自分がちゃんと楽しめているか、他の人たちを楽しまさせられているかみたいな。そちらのバランスも超大事です。
穂刈)あ~、そうですね。
水口)特にこう利用説明会で人前で話す時とかも、「自分が楽しめてるかどうか」ってすごい伝わるじゃない。
大野)そうなの。自分のその時の仕事の楽しみの健康度で、全然パフォーマンス違うんですよ。
大橋)現場の支援をしていても、パフォーマンスに現れるよね。
大野)楽しいふりしてる人と、本当に楽しんでる人は全然違うからね。やっぱり理想は、拠点にいて雑談をしてる時に、穂刈さんがお仕事体験してるようなテンションでずっといるとか(笑)。
一同)笑
大野)まぁでも、飯島さん(注:当社執行役員)然りですけど、楽しいところに人は集まりますけれどね。
穂刈)本当にそうだと思います。楽しいことは皆好きですからね。楽しくありたいです。
大橋)確かにそう。だから2、3年後に、自分も周りも、より生き生き働けるようになってたらいいなっていうのは、強く思いますね。
住岡)こういう話をするたびに、僕は自己中心的なんだと思うんですけど。今はプライベートとのバランスがある程度うまく取れていて、それが続いて生活が回っていればいいっていうのが、自分の中でどんっとあるので。その上で、この会社でできることがあったらいいなとは思ってますけど、それぐらいの感じです。大丈夫かな?
一同)笑
大橋)プライベートが充実してるんですね。
住岡)まぁそういうことなんですかね。
大野)でも、スミは(結婚して)住環境変わるから、状況も変わってくるよね。
住岡)そうかもしれません。それはプライベートですけどね。まぁその時はその時で考えますっていう生き方しか僕はできないので。そうやって人生続いていくのかなって思いますけどね(笑)。
大橋)水口さんはお子さんがいらっしゃるじゃないですか。お子さんだったりとか、家庭とのバランスとか、どうですか? ご家族と過ごす時間とかしっかり取れていますか?
水口)AMになってから、考え事をしたり悶々とする仕事が増えちゃったなっていう気はするんですけど。ただ、嫁さんに言われたのが、「あなたが仕事の話をこんなにいっぱいしてくれるってのははじめてだ」って。仕事の話すごいするわけですよ、ウチの中で。こんな訓練生がいたとか。すごく面白いとか。就職しちゃったよ、すごい!とか。
一同)笑
水口)前職ではほとんどしてなかったです。それこそ自己開示の話かもしれないですが、家族に対しても、自分がやってることをすごく堂々と話すことができる。
大野)福祉の業界は、一般企業から転職するとどうしても給料が下がりますからね。水口さんの下がり感とか半端なかったと思いますよ。そこに理解を得て応援してもらうために、自分のカミさんに伝えるのは大事ですよね。
穂刈)そうですよね。
水口)なので、子どもも嫁さんも、仮に土曜日にシフトが組まれているような時も「いってらっしゃい」って、すごく優しく送り出してくれて。そこも変わったんだね。今まではなんかこう、「大変ね」だったのが「いってらっしゃい」みたいな。
大野)楽しそうに行くからだろうね。土曜のガクプロとか楽しいでしょ?俺も楽しいんだよね~。
一同)笑
大橋)なんでそんなことを聞いたかっていうと、自分もできればやっぱ子どもがほしいなと思っていて。でも、子どもができて、子どもと過ごす時間もちゃんと取りたいとなった時に、その辺も上手くやっていけるのかなみたいな。不安みたいなのがちょっとあって。
大野)それでいうと、家に帰ってきて父親が一言目に何を言うかで、子どもが将来に希望を抱けるかどうか決まるんですよ。
穂刈)何をいえばいいんですか?
大野)今の世の中で子どもたちが、将来の夢を聞いても契約社員だけでギリギリみたいな。そういう将来の夢とか、そういうこと書くわけですよ。なんでかっていうと、お父さんが帰ってくる時に、ガチャって扉あけて子どもの前で「あ~、疲れた」っていうんですよ。だから、大人になったら疲れるんだみたいなイメージになっちゃう。そこに希望はひらけないじゃないすか。「あ~、今日も楽しかった~」って、俺は本気で言ってますから。半分本気で半分意図的にですけど。それは、子どもができてから超大事だと思います。水口さんの子どもが、「お疲れ様。大変だね」から、「パパいってらっしゃい」に変わったのは、やっぱり帰ってきて水口さんが楽しいって言うからですよ。
水口)子どもも感じるんじゃないかなって。
穂刈)人と人とってそうですよね、やっぱり、さっきも仰ってましたけど「楽しい」って思うところに人は集まるし、希望も持てるということだと思うので。私は子どももいないし、結婚もしてないですけど。でも今話をしていて思ったのは、対スタッフに対してももちろんそうだし、TEENSに来てくれてる子どもに対しても、あぁそうなんだろうなっていうのは思いました。
大野)なんかちょっと前に「雑談する」みたいな話が社内でよく挙がっていましたけど、楽しさをシェアするみたいなことですよね?
穂刈)そうですね。そんな感じです。
大野)あとは僕らがいかに仕事を楽しむか。楽しさを伝播するっていうね。そういうことですよね。
穂刈)そうですね。まずは仕事を楽しむこと。え~、まとめでよろしいでしょうか?
一同)おつかれさまでした。
発達障害支援企業の管理職とは 4回シリーズ
- 第1回 現場が好きでKaienに入った
- 第2回 利用者支援とスタッフ支援の違い
- 第3回 自分自身の凸凹との向き合い方
- 第4回 働く楽しさを伝播するには
大野 順平
就労支援事業・神奈川エリアマネージャー。人材派遣会社にて、法人営業・登録スタッフ管理等を約10年間担当。2014年、Kaienに入社。
穂刈 久美子
教育事業・神奈川エリアマネージャー。劇団四季にて、営業・公演企画・イベント運営等を4年間担当。2014年、Kaienに入社。
大橋 完司
教育事業・東京エリアマネージャー。中学受験の塾にて教室長を担当。2014年、Kaienに入社。
住岡 弘士
就労支援事業・西東京エリアマネージャー。大学の学生課で事務職員として勤務。2014年、Kaienに入社。
水口 大悟
就労支援事業・東東京エリアマネージャー。建設会社やインターネットプロバイダにて約10年間人事を担当後、不動産サイト運営会社の管理部門責任者に。2016年、Kaienに入社。