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誰もが生きやすい社会を目指して~懸け橋 第1回~ TEENS エイブルシーカー 栗原侑子

2016年8月16日

 「人や社会の役に立てていると日々感じられる仕事をしたい」「自分の人生も支援する人の人生も、意義あるものにしたい」様々な想いをもって障害福祉の世界にたどり着いた私たち。発達障害の人と社会とをつなぐ”懸け橋”を作る中で、社員一人一人が大切にしている想いがどう叶えられているのか。インタビューシリーズ『懸け橋』では、現場で働く私たちの想いの原点をお届けします。

 一回目となる今回は、児童放課後等デイサービス TEENSのエイブルシーカー(支援員) 栗原侑子さんにお話を聞きました。

社会を変えたいという想いをもって仕事をしている人たちとの出会い

bridge001-03 大学卒業後、子どもの権利擁護活動をしている団体など、いくつかの子ども分野のNPO法人で10年ほど働いていました。

 そこで感じたことは子どものしんどさ。ちょうど世間では子どもへの虐待が問題視され始めていましたが、実は子どもを育てる大人が社会で生きるのに「しんどさ」を抱えていることにも気づきました。社会全体がしんどさを抱えていると、子どものしんどさは最後まで見えにくい。それは大人のしんどさが限界に達した後に見えてくるんです。だからこそ、子どもが社会からこぼれ落ちないようにする支援も必要だと思いました。子どもが生きやすい社会になれば、だれもが生きやすくなるはずだと。そのときに「子どもの支援」をベースに働きたいという軸が、自分の中ではっきりした感じです。

 当時勤めていたNPOには社会をよりよくしたいという想いで仕事をしている人たちがたくさんいて、本当にカッコよかったんです。自分もそうなりたいと思った。その後学習支援団体や海外経験を経て、改めて就職活動をしたときにKaienのサイトで、TEENSの「エイブルシーカー」という職種を知り、今に至っています。

子どもは社会を一緒に作るパートナー

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 「支援してあげる立場」というよりは「子どもの伴走者」という意識でいます。子どもの想いを大切に、子どもが生きる力を発揮できるよう、伴走者として支えたいと思っています。Kaienの社長は「カーナビ」という言葉を使いますが、目的地の設定をするのは子ども自身です。でもこの子達は最初に示された道以外にも行き方があると気づかない場合も多い。そういうときに「ここは工事中だから、こっちに行くといいよ」「渋滞中だからこっちの道もあるよ」と伝えてあげる存在という感じでしょうか。そういう意味でも、エイブルシーカー「able seeker(可能性を探す人)」という言葉に惹きつけられました。子ども達の可能性を一緒に探し、好きなこと、得意なことをもっと伸ばしたい。発達障害の子ども達は純粋で、好きなことにはとても一生懸命です。そんな子ども達と一緒に、より良い社会を作っていけたらという思いです。

失敗もポジティブに

 仕事をしていると失敗もあります。失敗には大きく二つあると思っていて、一つは単純なミス。これは自分自身の問題。もう一つは構造的な、そもそも誰がやってもなかなかうまくいかない問題が根本にあるもの。そこに気づいたら、どう改善すれば解決できるかというポジティブな発想ができ、「失敗しても大丈夫」と思えるようになりました。

 それと今は目の前にいる子どもと関わることがとても楽しいんです。昨日すごくご機嫌がよかったのに、今日はご機嫌斜めな子がいたり。人間ってそういうものだよね…と思いながら過ごすうちに、人間を知る面白さを感じ、失敗に落ち込むことも減った気がします。

日々ほどけていく、縛られた価値観

 色々な特性をもった子どもと接していますが、毎日新しい気づきがあり、そのたびに価値観が広がっていくことを実感します。この子達と接していると、思考が止まったり、価値観が定まったりしてしまうことがないんです。

 発達障害の人は「言外の意味を汲み取れない」とよく言われます。でも一方で、人の態度や声のトーンなどを敏感に察知する面もあるし、感受性も豊かです。その子の背景にどんな障害があるかを知っておくことは大事ですが、障害名だけでその子を見ることはしません。比べないで、対等な立場でその人を見る、一人ひとりとの人間としての出会いを大切にしたいと思っています。

まずは自分を大切に!

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 仕事をしている上で大切にしているのは「自分を大切にすること」。自分を大切にすることで、人を大切にすることもできると思うので。そして社会の中でのポジション、自分がどういう立場で社会に関わり、社会を変えていきたいか、という思いも大切にしています。

 また、社会を変えるにはワクワクする気持ちが大事。子ども達とどんな社会を作れるか、そういうことにワクワクしながら、これからもこの仕事を続けていきたいです。

 

栗原侑子 TEENS御茶ノ水 エイブルシーカー

大学卒業後、子どもの人権擁護活動を行う非営利団体に就職し、幅広い支援に約10年ほど携わる。その後、中間支援NPOで数多くのNPOの業務支援に従事したのち、教育関係のNPOを経て、現在に至る。

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