Kaienの文化と社風 Q&A①鼎談『社員番号1・2・3で振り返るKaien7年史』 第3回
当社の想いや現場での働き甲斐をお伝えする『懸け橋』。5回シリーズで、社長であり社員番号1番の鈴木、2番の田中正枝、昨年末に取締役・執行役員に就任した3番の須賀智美の鼎談をお送りします。
これまで管理職がいない、完全にフラットな組織であったKaienも、スタッフが150人を超え、約700人の利用者に日々サービスを提供する規模の会社になっています。更なる成長を見越し、社長に指示系統が集中する状態から、社員一人一人がより力を発揮しやすい強固な組織作りをしている最中です。
初期から在籍するメンバーが、今までどう働き、今後を見据えているか。第3回は社長からの○×クイズでKaien文化を探ります。
鈴木: ここからは〇×クイズ。札を昨日池袋の東急ハンズで買ってきたんで…。使い方わかりますよね。
仲が良い職場か?
鈴木: じゃあ用意できたので行きましょうか。まず一つ目は、うちの会社は仲が良い職場かどうか。
(札を上げる 須賀=× 田中=〇)
田中: いがみ合ったり、足の引っ張り合いはしていない気がします。
鈴木: 政治がない。誰かを出し抜いてというのがない。それこそ競争がないという意味で仲が良いと言っているのかな。
田中: そうだと思います。
鈴木: 須賀さんは×。
須賀: 仲が悪いと言っているわけではなくて、一人一人が自分で立てている感じがする。
鈴木: それぞれ自立してる大人だからね。
須賀: 前職は職場の仲間と四六時中一緒にいたし、家族づきあいなんかもあって、まさに仲良しだったんです。仕事が嫌いな分、その仲間に救われていて、仲間がいるから何とか働けていた。でもKaienでの仕事は仕事自体が楽しいから、自分自身で立ちやすい気がします。ウェットに付き合わなくてもKaienに普通にいられる。人間関係が原因で問題が起きたり、辞めるとかがない会社じゃないかなと思います。ある意味ではそれを仲の良さと言ってもいいのかもしれないですけど。だからもしかしたら〇なのかな?
鈴木: なるほどね。仲の良さがそんなに重要視されない会社ではありますね。飲みニケーションケーションがほぼないというのもあるけれどもね。一番ある拠点でも月1行っているか行っていないかくらいですね。
やりたいことに挑戦できるか?
鈴木: 次、第2問。したいことはさせてもらえるか?手を挙げたらやれるかどうか。
(札を上げる 須賀=〇 田中=〇)
須賀: これから先は分からないですけど、「あなたこれをやって」とか、「やりなさい」という形じゃなくて、「誰かやりますか?」という感じでやって来ましたよね。
鈴木: 確かにそうですね。あとは「何か新しいことないの?」みたいな。命令があまりないね。
田中: 無制限にやらせている訳ではないと思いますけれど、動機がちゃんとしているか、プランがしっかりしているか、それを実行できる能力があるかを見た上で、それがあれば任せているのではないかと。藤さんのガクプロのプロジェクトとか(注:入社面接時に、発達障害の大学生向けの支援に関心があると話していた社員が、入社後に実際にサービスを立ち上げに携わった)。
鈴木: 今のところ、僕が採用の一次面接を全て担当しているじゃないですか。だから面接で聞いたことは結構覚えていて、本人が関心のあることを任せていますね。もちろん関心が変わるかもしれないから、その後も対話しますけど。そういった部分で、したいことをさせてもらっていると思っている人は多いかな。一方で、任せてもらったけど期待に応えられていないと残念さを感じている人も多いかもしれない。
須賀: 確かにそうですね。日々の業務がすごいスピードで動いていくので、目の前の仕事でいっぱいいっぱいということもあるし、実際にやってみて任せてもらったことと自分ができることにギャップがあったということもあるし、なんとかやり続けてみたけど、期待した結果が出なくてということもある。私自身はKaienでその3つを全部経験した気がします。
鈴木: 新しいチャレンジをしたけれどまだ力が足りなかったとか、一度戦いに臨んだけれど斬られて今負傷していますみたいな。でもビジネスってその繰り返しだから、一回挑戦して失敗して、そこで学んでもう一回突撃できるかというか。挑戦するエネルギーを会社全体として与えられるかというのが結構重要かなと。
田中: 膝をついてもまた立ち上げればいいと。いろんな会社を転々としてますが、こんなに失敗を許容する会社はこれまでなかったように思います。私自身は失敗がとても怖いのですが…。
須賀: 訓練生やお子さんには「失敗OK」と言ってるくせに自分の失敗には非寛容なスタッフはまだまだいますね。私は負傷した姿も随分見せてきましたが、負傷してどうやってリベンジまで持って行けたのか、自分でも客観視できていないところがあります。
本当に残業はないのか?
鈴木: 第3問。ウェブサイトにある通り、本当に残業はないですか?
(札を上げる 須賀=× 田中=〇)
須賀: 全くなしではないんじゃないですか。
田中: でも他の会社に比べたら、Kaienは皆無に近い。
鈴木: ないね。サービス残業もないからね。
須賀: でも通常の残業というか、正当な残業はあるんじゃない?全くノー残業ではないので。
鈴木: 残業がゼロ時間ではないということね。今のデータだと一人平均月6時間。そこはちょっと難しくて、福祉業界ってある程度給料に限界がある(注:厚労省によって報酬単価や定員の定めがあり、価格や利用者数を事業者側でコントロールできないため)。だから、少し残業をして給料がほしいという要望もあるでしょうし。それに全く応えていないわけではないですが、それでも働き盛りの人の残業が一番働いている人で多くて月20時間ぐらいかな。
須賀: 必要な残業はするとして、やっぱり次の日をできる限り良いコンディションで迎えることは、Kaienで働くようになってからすごく意識しています。人に関わる仕事だから。
研修はしっかりしているか?
鈴木: 次に、研修はしっかりしているか?採用面接でよく聞かれる質問です。
(札を上げる 須賀=× 田中=×)
鈴木: おー。まあそうだよね。二人とも×。
須賀: 研修制度をきちんと作るのは、今後の私のテーマの一つですけれど。今は、現場に出て困らないように、と最低限の内容をお伝えする半日くらいの入社研修があって、あとは現場で学べというようになっちゃっているので。入社後に1週間、様々な拠点を渡り歩いて、Kaienの支援の方法を学ぶことはできるけれど、学んだものを後から振り返る機会や、キャリアの棚卸をする制度がないですね。
田中: 半日の入社研修と、その後の1週間の現場研修から学び取れる人は学び取れるけれど、皆が皆そうではないので、難しいのかなという感じ。
鈴木: 学ぶ力がないとなかなか難しいな。最近は、福祉で一人前になるのには、現場で5年・10年揉まれる必要があるという気がしていて。何を言いたいのかというと、「研修は必要なのか?」というのもちょっと感じてるんですよ。でももっと言うと、未経験者を雇ってよいの?という話にもなる。うちはこれまで未経験者を歓迎してきたわけじゃないですか。そこは矛盾しているんですよね。
ただ、今の福祉の業界って、現場の支援者が情熱を持てていなかったり、利用者と距離感があったりして、支援者の本来の力が出せていない状況だと思うんです。僕の考えは、専門的な知識はあるけど情熱を持てていない人が支援するよりも、福祉の専門性はまだないかもしれないけれど、すごく情熱があって、馬力がある人がやったほうがいい支援になるんじゃないかというものです。だからこれまで未経験者も歓迎してきた。それにKaienの場合、どのサービスでも訓練のプログラムがあって見るべきポイントもある程度定まっているので、どこを指摘すべきか分かりやすくて、素人でも入りやすいというのもある。
須賀: それもすごくわかります。Kaienの講師(注:職業指導員)はみなさん第一線で活躍されていた企業戦士で福祉はかじっていない。
鈴木:そうだね。残念ながら子ども向けの放課後等デイサービスは今年以降開設要件が厳格になって、素人が現場に入れないことになったので、今後は当社の姿勢も影響を受ける部分はありますけどね。(参照:「社長ブログ TEENSは今まで以上に拠点を増やしていきます」)。今後研修でやっていかないといけないのは、ある程度馬力・経験のある人が更に成長することを手助けすることだと思っています。2~3年目でいかに本物の支援者になれるか、5~10年目にいかに業界を変えるような革新的な支援をできるか、支援をメソッド化できるかとか。その辺は外部の刺激を受けないといけないかなと。
須賀: そうですね。5年~10年くらいのキャリアの人からは外部研修がほしいという話は挙がっています。実践だけで得られない知識や知見を外に求めるということだと思います。
鈴木: 入社1年目ぐらいだったら、職場にいい先輩がいっぱいいるんだし、半年に一回科挙制度(注:支援者としての基礎を身につけるために実施される新入社員向けの研修。受講者は事前に大量の資料に目を通し、長時間の講義を受講。最終講義後に試験に取り組むもの。)もあるでしょう。そこで頑張ろうよという感じかな。でも会社全体で見ると研修が足りないのは確かだね。
須賀: そうですね。そんなにボリュームのある研修を作らなくてはいいと思いますけれど、要所要所でちょっとあるといいかな。
鼎談『社員番号1・2・3で振り返るKaien7年史』
- 第1回 嘘は売りたくない
- 第2回 支援者と利用者は同じ船に乗っている
- 第3回 Kaienの文化と社風 Q&A①
- 第4回 Kaienの文化と社風 Q&A②
- 第5回 明日の当たり前を創る
田中正枝
Kaienの社員番号2番であり総務所属。県税事務所、メーカーでの勤務を経て、損保系会社の人事事務に。2010年にパートタイムとしてKaienに入社。翌年からフルタイムとして勤務。
須賀智美
Kaienの社員番号3番であり取締役・執行役員(経営本部担当)。大学卒業後、13年間鉄道会社に勤務。退職後、上智社会福祉専門学校、慶應義塾大学大学院へ。2010年、大学院在学中にパートタイムとしてKaienに入社。2012年、大学院修了と同時にフルタイムとして勤務。