採用情報

実践障害児教育 2019年1月号 発達障害の子の将来の就労を考えて 必要な力を育むためにできること

今後、確実に増える障害者雇用。一方で課題も多く、離職を繰り返し働けなくなるケースも珍しくありません。就労に向けて育てておきたい力、その力を身につける手だて、本人の希望の実現に向けた進路指導などを考えた特集。当社代表の鈴木が、将来を考えて学校や家庭で接する上でのアドバイスを寄稿しています。

  • 出版日: 2018年12月
  • 出版社: 学研教育みらい
  • タイトル: 実践障害児教育 2019年1月号 「発達障害の子の将来の就労を考えて 必要な力を育むためにできること」
  • 価格: 680 円(+税)
  • 出版社リンク: http://www.gakken.jp/human-care/jsk/app/index.php
  • 購入サイト: 同上

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TEENS(ティーンズ) 発達凸凹のある小中高生向けの放課後等デイサービス

社長の鈴木が説明しています Kaienの採用説明会 Kaien社長ブログ

先日TEENS(当社が運営する発達凸凹のある小中高生向け放課後等デイサービス)に行ったら初めて会う子から「社長さんなの。暇そうだね。」と言われた鈴木です。

当社も今年10年目を迎えました。社風やらしさが出てくる一方で、体に例えるとどんどん筋肉も関節も固くなり、血流もドロドロしてしまう年代に入ってきたと思います。

昨年(2018年)は、思いもよらないハプニングが起きたり、発達障害が一般化していく中で当社の物珍しさも薄まってきたりで、当社の存在意義を再確認せざるを得ないことが多く起こりました。このため、こわばりつつあった体をほぐし流れをスムーズにするために、ストレッチや新しいトレーニングを始めたところです。

その変革が実を結ぶことはもう少し先になりそうで、プランを具体的にお披露目できるのは今年(2019年)春以降になりそうですが、新しい事業を展開する上で、仲間を増やす必要があります。この人手不足の中で、ある意味ブームになってしまってパイオニア感が薄れた発達障害の支援ではあります。

が、昨日も今日も明日も、発達障害と気づいたり診断されたりして混乱したり落ち込んだりする当事者や親がいるでしょう。また就職がしやすくなったからと行って、まだまだ理解が進み力が発揮される世の中には遠いことを日々実感します。(今日も大阪の事業所で、理解する企業があれば戦力になるのになぁと思う人のキャリアカウンセリングに同席して、すべきことの多さを思うことしきりでした。)

特に若い世代、まだ学生、大学院生、あるいは第2新卒の人には、発達障害というテーマで、福祉、企業、行政、マスコミ、ウェブ・IT、国外…などなどのキーワードで新しい切り口のサービスを一緒に作って欲しいなと思っていますし、ちょうど私(1977生)ぐらいの年齢の人は、これまでのキャリアの経験を用いて、そういった若者の鮮度を形にするリーダーシップを取れる人を探したいと思っています。

東京でも大阪でも、月1回、採用に関する会社説明会を開催しています。実はほぼワンオペ。鈴木が一人で運営しています。

「社長が喋るとは意外でした」とは何度も言われるのですが、今からの日本で企業運営をしようとしたら、採用活動に力を注ぐのは当たり前な気がしますので、まさに社長がすべきことだと思っています。(別にその分、子どもを含め利用者の前で暇そうにしているわけではありません。スマホを見たりしているので遊んでいるように見えるのかもしれませんが、スマホでも仕事をしているのです…。)

説明会前のプリントの印刷やその後の資料の整理、機材の片付けなども自分でするのですが、一つ一つの事業所は数人で運営している福祉の世界では一人何役もするのは当たり前だと思っていますし、当社の社風を喋りだけではなくて、その他の動きでも伝えようという意図でもあります。開催が土曜なので、他の社員がなかなか休出してくれないというのもありますが…。

採用のページ。なかなか新調ができず、1・2年ものの内容ですが、よろしければ是非ご確認の上、ご興味を持ったら、まずは説明会にお越しいただけるとありがたいです。会社説明会・職種紹介 → https://corp.kaien-lab.com/recruit/recruit

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴社長ブログ一覧

2019年1月オープンしたばかりのTEENS本八幡(千葉・市川)に行ってきました Kaien社長ブログ

新年1月4日(金)オープン。開所3日目のTEEN本八幡(ティーンズもとやわた)に行ってきました。当社8拠点目の放課後等デイサービスで。千葉県内には初めての拠点となります。(TEENSの拠点一覧

JR・都営新宿線の本八幡駅や京成八幡駅から5分ぐらい。建設中の市川市役所の本当に「目の前」ですし、本八幡の由来であろう葛飾八幡宮も目と鼻の先です。ちょうど初詣の季節なのでお参りをした後、TEENS本八幡へ。

 

実は個人的には初めての訪問。これまでスタッフに任せていて、オープン後に拠点に初訪問するというのは、過去になかったことです。まだ備品の購入が間に合っていないところも一部ありましたが、セッション自体はいつものTEENSの雰囲気・流れでした。通っていたお子さんも初めてのお子さんばかりで緊張感はあったものの、わちゃわちゃしながら、最後は「楽しかったー」と帰っていきました。

TEENSは今年もいくつか拠点を増やしていきたいと思っています。院生・大学生のインターン、そして児童発達支援管理責任者・エイブルシーカーのフルタイムとも採用活動をしています。TEENSは大人向けのサービスに比べると仕組み化が進んでいて働きやすいと思いますので、ぜひご検討下さい。(当社の職種紹介

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴社長ブログ一覧

発達障害は最も就職支援が簡単な障害になったのか? 2018年社会的価値リポート Kaien社長ブログ

 

年末です。30日は早めに年末年始の休暇を消化し、大晦日ではありますが仕事始め的な印象です。2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、当社ではその設立背景もあり、ウェブサイトでこれまでの社会的価値を掲載(「会社概要」の下部)しています。そして毎年年末年始の時期に、当社が社会にとってどの程度の経済的な価値をもたらしているかをデータと共にまとめています。本ブログはその2018年版です。

【参考】昨年のレポート → 社会的価値が10億円の大台へKaien社会的価値 ~2017年を振り返る~

年間2.2億円を社会に還元

結論から言いますと、2018年は2.2億ほどの価値を生み出した計算となります。これまでの9年間を合計すると12.7億円になります。下記がファクターです。

  • 今年も200人以上(220人 ※就労移行支援だけではなく大学生支援のガクプロ含む)を就職に導けたこと。
  • 就職者が1,100人を越えた「納税者」となった人たちが増えていること。そして定着率が1年後でも95%程度と高いこと。 
  • 給与が全体的に上がっていること
    • 修了生が順調にキャリアを積んで平均給与が上がってきていること。全体で1万円/月の昇給がデータで確認できていること。
    • 半数が給料1ヶ月分程度(20万円程度)の賞与も受け取り始めていること。
  • 一部の人は就職することで生活保護から抜け出している人も引き続き多いこと。(親に生活を頼っている人が就職する経済的価値に比べて、5~10倍も生活保護(つまり国)に頼っている人が就職する経済的価値は高いのです)
  • Kaienが法人として法人税や従業員の給与を通じて社会に還元していること。(今年も無事に納税ができました)

これらを合算することで今年は2億円、そして総額は12億円超を、グロスではなくネットで返納している(つまり当社は障害福祉事業者なので税金を使って支援活動をしているのですが、その分を考慮に入れても過去10億円を優に超える額を国庫に返納していることに等しい)ことになります。

定着率NO.1 「1年後も70%」の衝撃

ではこの2億や12億という数字をどう評価するか。高いのか低いのか、意味があるのか無いのか。(実は同業他社の数字も入れてみたことがあるのですが、多くはマイナスになります。なのでプラスの数字が出ている事自体に意味があるかもしれませんが、その先を考えたいというわけです。)

ある統計をご紹介したいと思います。それが今年前半に私が知ることになった「障害者の就業状況などに関する調査研究 」(2017年 JEED)です。それによると当社で支援した人たちの定着率よりも低いものの、発達障害というのは障害者雇用の中ではもっとも定着が期待できる、語弊を恐れずに言うと最も支援が簡単な障害ということになります。人事ご担当者様向け 障害者雇用無料セミナーでもご案内しているとおり、”発達障害推し”じゃなくても、これから雇用するならば身体障害でも知的障害でも他の精神障害でもなく発達障害が良いというのはデータから読み取れる結論となります。

1年後定着率 研究結果(2017年 JEED)

  • 発達障害 71.5%(参考Kaien実績:95%)
  • 知的障害 68.0%
  • 身体障害 60.8%
  • 精神障害 49.3%

当社が創業した2009年は「最も難しい障害と言われた」のが発達障害です。それが10年もしないうちに最も簡単になるというのは嬉しいことでもありますし、一流の支援ではなくてもそれなりに就職や定着の支援ができるようになったということでもあると思います。今回の文脈で言うと、いくら2億円、12億円という数字を出そうが、それはどの業者でも簡単に出せるのではないかと思われかねないということです。

社会的価値を更に向上させるため Kaienの2019年

ですので、今後は当社はもう少し数字に現れないところを強化しないといけないと思っています。具体的には下記のことを考えています。そして実際に手をうち始めています。

①さらなる月給UPを果たす

現在は当社の場合3割程度である月給20万円以上の人の数が多くなることです。

一般枠のほうが高いことが多いですので、今は10%程度の一般雇用の比率を高めることも一つの手でしょう。実際、今年開設した、当社ではじめての首都圏以外の拠点であるKaien大阪天六では5人の就職者のうち4人までもが一般雇用での就職でした。あくまで通っている人の希望に沿ってナビゲートはしていきますが、首都圏でもこの方向性が強くなると予想しています。

あるいは障害者雇用でもIT・ウェブ・デザインなどの専門職がより求められるようになっている時流に逆らわないことも重要だと思っています。当社もクリエイティブコースでITやデザイン、マーケティングなどの創造性が求められる部分を強化していこうと思っています。

②就職を目指す人を増やす

現在障害者雇用率は上がっているものの、障害者のある人(障害者手帳がある人と定義)で18~64歳の「現役世代」は400万人ほど。しかし働いているのは50万人ほどです。(参考 厚労省 障害者の状況

相当数がクローズド(障害者手帳を持ちながらも一般枠で障害を告げずに働く)と考えても、2割程度しか働いていない状況であり、この課題に寄与することは重要でしょう。

つまり空前の人手不足、特に障害者雇用はその傾向が強くなっています。今まで働けないなと思っている人も、実は能力的には十分。足りないのは、これまでの失敗経験で働く意欲が出てこないメンタル面という、なんとももったいない状況が今の日本では頻繁に出会う光景です。二次障害で苦しむ発達障害の人にも希望を感じてもらえるような雇用事例、あるいはそういう人をスモールステップで支援する専門性、このあたりを当社がつけていきたいと思っています。

③そもそも二次障害になる人を減らす

が、本来は二次障害で苦しむ人が少なくなれば②の問題も減少する(つまり大人になって働く意欲が出ないほどまでにならない)はずです。そこで考えたいのが子ども時代の療育です。

先日、当社取締役で教育部門の責任者である飯島が、TEENS(当社の放デイ)のブログで言及している通り、実は2億円や12億円という数字には、まだ教育事業は貢献していません。というよりもコストとしてしか計算できていません。というのも、納税者になるということで直接に国庫に還元できる大人向け事業と違い、子ども向け事業の社会的な価値はあいまいで今のところ算出をしていないからです。

違う言い方をすると子ども向け事業がなければ、今年だけで4億、累計ですと20億円近い数字になっていたはずですが、子ども向けのポジティブな側面を数値化出来ていないために、それぞれ2億、12億という数字に落ち着いてしまっているのです。つまり、2018年の数字では2億円は子ども事業をするうえでの負債になっています。逆に言うと、2億円の価値があればTEENSの事業は社会的に存続させることが合理的になります。

仮説を重ねる形になりますが、簡単な計算で2億円の価値があるかを考えてみましょう。下の飯島によるまとめでは、「TEENSに通うと二次障害の発生率が80%も減少する(42%の発症率が9%未満になる)」となっています。

【参考】 二次障害発生率に5倍の差!子どもの発達障害 支援の社会的価値は?

TEENSに今年通い始めたお子さんを120人とすると(大体600人ぐらいが今通っていて、平均5年間通っているとすると今年通い始めた数は理論的に120人になります)、120人のうち33%(42-9で33)のお子さんの、将来的な二次障害発生を抑えられたとすると、120×33%=40人分が2億円と釣り合う必要があります。一人500万円ですね。

大人になって二次障害が出ず働ける人が純粋に40人増えるわけではないのですが、一定数はまったく働けないのが働けるになったり、働いている人も医療費や福祉の費用が低くなったり、を考えますと、将来の価値の毀損を未然に防ぐということは計算値として出しても良い気がしてきます。このあたりの計算式である程度納得できるものが作れれば、2019年の当社発表の社会的価値は大きく跳ね上がるかもしれません。

④雇用増に繋がる仕組みを提案 企業をエンパワメントする

もちろん本人向けのサポートだけではなく、企業の取組のサポートも必要です。雇え雇えと言っても戦力にならなかったり、あるいは二次障害をひどくするばかりで自尊心を落としてしまうような雇用ならばしないほうがましといえます。(※官公庁の にわか障害者雇用 がそうなるのではないかと恐れています)

80%ほどとも思われる、障害者手帳を持つけれども働いていない「現役世代」を減らしていくためには、企業の雇い方の分野でも間口を広げる必要があります。本業で忙しく、なかなか障害者雇用を安定させられていない会社でも、比較的容易に導入できる仕組みを提案することで、当社の社会的な価値も高まると思っています。ここはまだ発表できないですが、動き始めている部分であり、良い成果をご報告したい部分です。

ちなみに、学校へのサポートも2019年にスタートさせる予定です。これによって、放デイの中だけではなく、学校の中(そしてそこが多くの場合、二次障害を発生させる場所になっているのですが)での居心地の良さに繋がっていくと思います。

2019年はどんな年に

2019年。Kaienは10周年を迎えます。

Kaienは3歳だった息子の診断をきっかけにはじめました。彼もなんと受験生。時の経つのは速いものです。

発達障害界隈の動きも非常に速い。当社も価値を更に高め、斬新な視点で業界を引っ張る一員となれるようがんばります。

2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴社長ブログ一覧

柳家花緑師匠と夢の共演 落語に見るニューロダイバーシティ&インクルージョン

「ニューロダイバーシティ&インクルージョン」という、カタカタ語形のイベントのタイトルと、メインゲストが落語家という和風な枠組みが、一体どうなのか・・・と心配していったシンポジウムですが、とてもおもしろかったです。

イベントのポスター。筑波大学のウェブサイトから借用。

ディスレクシア(発達障害の一種の識字障害)を公にされ、今年のNHKの発達障害特集でも引っ張りだこだった柳家花緑 師匠。今日、筑波大学と東大の共催で行われた「発達障害学生支援プロジェクト公開シンポジウム」で初めて生でお見かけしました。

文字が読めないことを無筆(むひつ)というらしく、落語でも無筆の噺がいくつかあるとのことで、今日はそんな落語も交えながら90分近くにわたって発達障害とご自身について講演を聞きました。

めちゃくちゃ面白くて、実はシンポジウムの後半で私自身も話題提供として登壇したのですが、ああ言う場では初めてに近く緊張しました。あれだけ面白くてためになるものを見せられた後に、一体、一人の支援者が何を言えるだろうという感じでしたので…。

無事?なんとか?終了。早速Kindleで師匠の本を購入しました。帰宅途中に読むとします。

読まざるを得ませんが、やはり本より実際の落語を聞くとその面白さと芸の細やかさ深さにとにかく驚きました。

発達障害の理解の速度が一段と上がったのだなぁと、実感させられるイベントでした。関係者の皆さん、どうもありがとうございました。

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴社長ブログ一覧

「明日へ」第59号 東京人権啓発企業連絡会

東京人権啓発企業連絡会が発行する人権啓発の広報誌「明日へ」。「発達障害と就労」の特集『実見!就労移行支援の現場 Kaien新宿を訪ねて』で当社の就労移行支援が取り上げられました。

  • 出版日: 2018年11月
  • 編集/発行: 東京人権啓発企業連絡会広報委員会
  • タイトル: 発達障害と就労 「実見!就労移行支援の現場 Kaien新宿を訪ねて」

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Kaien 発達障害の方向け 就労移行支援

10年目のKaienが役員候補を募集するわけ Kaien社長ブログ

Kaienでは役員候補を募集しています。

当社は2009年に創業しました。来月には10年目の年を迎えます。なぜ今役員を必要としているのか?

 

まず現在当社の役員から。常勤は私と飯島の2人。(二人の対談はこちら)そして社外取締役が2人で構成しています。

これでは200人のスタッフをリードしていくに十分でありません…。3人目の常勤役員が必要です。

 

今いるスタッフは役員には不向きなのか?

いえ。でももう少し時間がかかりそうです。彼らが4人目、5人目の常勤役員になれるぐらいまで会社を発展する仲間が必要です。

 

新しい役員候補に何を期待しているのか?

鈴木や飯島に刺激を与えてくれること。具体的には障害福祉における就労支援を良い意味で降り出しに戻してくれること。あるいは鈴木や飯島がそれらの新しさに力を入れられるように、これまでの障害福祉サービス事業をスモールステップで発展させてくれること。

 

どの部門か?

就労支援部門を想定していますが、それほどこだわっているわけではありません。

 

ポジションは?

はじめから役員になるのはさすがに難しいかと。ですので役員候補としてまずはフルタイムスタッフとしてエリアマネージャークラスからのスタートを考えています。

 

具体的な条件は?

フルタイムスタッフの給与水準(年収400万円ほど)を下限に、上限は1000万円ぐらいです。が、他の業界でもらっているよりは下がると思います。(他の業界で2000万円貰える人が福祉の業界では1000万円ぐらいの年収に当たるかもしれません。)ですので、そこそこ暮らせるぐらいは出せますが、お金をメインに考える方では難しいかなと思います。採用条件

 

福祉の経験、発達障害支援の経験は必要?

いえ。でも支援者へのリスペクトは大変重要です。むしろビジネス感覚、リーダーシップとしての敬意を集められるかが重要です。

 

他の会社との違いは?

他の会社を知らないのではっきりとはわかりませんが、、、スピード感はこの業界としては異常です。発達障害愛も異常かと…。内省の強さも異常かもしれません。プライドの高さももしかしたら…。他は実際にいらして確かめてください。

 

もっと詳しく話を聞くためには?

ぜひ採用説明会にお越しください。次は2018年12月15日@新宿です。

 

 

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴社長ブログ一覧

クローズアップ現代+ NHK総合テレビ

  • 放送日:2018年11月26日
  • 放送局:NHK総合テレビ
  • 番組URL:https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4215/index.htmlblank_blue
  • 内容:“企業が注目!発達障害 能力引き出す職場改革”という番組の中で当社が取り上げられました。

15人に1人ともいわれる発達障害。高い能力を持っていてもコミュニケーションが苦手なことなどから職場で孤立しがちだった。しかしいま、人手不足に加え、きちんと能力を引き出せば大きな戦力になることから企業のニーズが高まっている。なかには発達障害の人材活用に成功し業績アップにつなげるIT企業も現れた。ポイントは、障害の特性にあわせて社内環境を変えたり柔軟に休暇が取得できたりする多様な働き方を受け入れるきめ細かな配慮だ。他にも、特定の仕事だけを担当させられたりして意欲を失う人が多かった反省から、キャリアアップの道を開いた衣料関連の会社も登場するなど、能力を引き出すノウハウが蓄積され始めている。企業で潜在能力を発揮し始めた発達障害者の姿を紹介する。(番組ウェブサイトより)

農業・漁業・観光が主産業の地方で出来る発達障害のキャリア支援とは? Kaien社長ブログ

東京からはバスやJR(特急)で2時間強かかる南房総市。千葉県の南端にある町村合併でできた人口3~4万人の市です。

Google Mapより。館山市を取り囲むような南房総市。
地方で考える「発達障害と就労」

南房総市は合併の後、教育に力を入れています。11月第3土曜日が条例で定められた市の「教育の日」とのこと。今年は今日11月17日がその日。市の中学校で終日イベントが開かれました。その特別講演に招かれ、”発達障害”について話をしてきました。

南房総市の教育モデルは全国的にも注目されているとのこと。たとえば一箇所に保育園・小学校・中学校を固めて設置。シームレスに教育ができるようにしています。

会場の嶺南中学校。保育園や小学校の他、大きな校庭の他、両翼100メートルの野球場もあるなど、一大教育集積地という感じでした。

他にも地産地消や日本一おいしい給食ということで米飯中心の食育をしていて、今日もその給食をいただきました。発達障害関係では通級などで教員を通常よりも厚めに配置していると聴きました。できるだけ多くの子どもが将来働けるようにという狙いがあるそうです。

食堂レストランという場所で本日頂いた給食。市の高校生が考えたメニューとのこと。
ITや介護、障害者雇用以外の可能性は?

講演では色々と偉そうに「発達障害と就労」について話をしてきましたが、個人的に勉強になったのは地方での発達障害の方の就職環境についての現場の声です。

いま都内ですと、人手不足が圧倒的で、ITや介護分野などは売り手市場。発達障害でややコミュニケーションに難があっても、所作が不思議だったり落ち着きがない雰囲気だったりしても、いくつか受けていけば内定を得やすい状況です。その上、障害者雇用では、官公庁の水増し問題も有り、過去最高の売り手市場と行ってもいい状態となっています。

しかし、地方にはまだその波は来ていません。農業と漁業・環境が主産業だったり、かつ生活を支えるだけの収入のある仕事が見つかりづらかったり、つまり地方では、働く選択肢が限られている状況はまだまだ変わりません。

講演で交通費と講演料を頂きながらですが、地方の自治体・地方に生きる人達としていかに税金を納められる人材に育てられるかという、切実な状況について勉強する機会でもありました。行き帰りの送迎の車や、講演後の質疑の中で、可能な限りで色々と情報交換をさせていただきました。本当にありがとうございました。

農業

たとえば農業は大きな可能性はあると思うのですが、地元にいればいるほど農業の厳しさを知っていて否定的な意見が聞こえてきます。確かに多くの場面では発達障害の人の強みが発揮できる分野かどうかは疑問符がつくかもしれません。(ちなみに、今雨後の筍のように増えているのは、ほとんどコンピュータ制御になっている水耕栽培の”農業もどき”で障害のある方を雇用するモデルです。)

しかし本質的なことが農業でも出来るのではないかという期待感は個人的にはあります。例えば、果樹や花卉は付加価値が高く、そういったところでは今外国人をやとうなども農家もあるとのこと。発達障害の人が力を発揮できる可能性がありそうです。

リモートワーク、サテライトオフィス

また障害者雇用にしても、今や都内では人材難。採用に苦戦する企業が急増しています。その点、地方にはたくさん働きたい人たちが残っている状況です。企業がサテライトオフィスをつくったり、テレワークで個人を在宅で雇ったりというのが今後広まる可能性があります。

地方ではITで働くなどは夢のまた夢であるようですが、そこで発達障害とリモートワークをいくつかの市町村で組み合わせられれば、大きく世界が動く可能性もあります。

おみやげに頂いた白牛酪サブレ

もちろん都内でもまだまだ就職に悩む人たちがたくさんいます。なにしろ障害者手帳がある生産年齢人口の中でも約85%が失業状態というデータもあるぐらいですから…。Kaienとしては引き続きそうした人たち(つまり都市部の方々の課題)のサポートをしていくことになるでしょう。

でも個人的にはまだ解決が程遠い問題にそろそろ手を挙げないといけないと思っています。

例えば「起業家や部課長クラスのビジネスパーソンでありながら発達障害で苦しむような人材をサポートするサービス」や、「都市型の労働では苦しみを感じてUターンやIターンをしたい発達障害の人たちに新たな生き方/働き方を提案する枠組み」や、「限られた産業しか無い地方・田舎に生活の基盤がある人が都会に行かずにも就職できるモデル」です。

ただしやってみたい気持ちはあるのですが、そういった仲間が少ないのが実際です。ぜひ鈴木と協働したいという方がいましたらお声がけくださればと思います。

職業リハビリテーション学会誌 第32巻№1 障害学生支援における就労移行支援事業所の取り組み

障害学生支援の関心は、入学や修学における支援から、卒業や就職などのキャリア形成などの支援へと比重が移行しています。キャリア支援では学内の資源だけでは支援が不十分なことが多いため、学外機関と連携しながら質の高い支援を実現していくことが求められています。

本誌では大学外で最も発達障害の学生を受け入れている民間機関である当社の「ガクプロ」や「就労移行支援」事業での経験を元に、今後福祉機関として求められる点をまとめました。

 

  • 出版日: 2018年11月
  • 出版社: 日本職業リハビリテーション学会
  • タイトル: 障害学生支援における就労移行支援事業所の取り組み 「職業リハビリテーション学会誌 第32巻№1 「障害学生支援における就労移行支援事業所の取り組み」
  • 価格: ー
  • 出版社リンク: http://vocreha.org/committee/backnumber.php
  • 購入サイト: ー

関連サイト

Kaien 発達障害の方向け 就労移行支援

中日新聞 発達障害「生かせば戦力」 金沢で職場考えるセミナー

当社横浜事業所リーダーの安間が講師を務めた「発達障害のある人が働きやすい職場環境を考えるセミナー」について中日新聞で取り上げられました。

セミナーはNPO法人ワンネススクールが金沢市の委託を受け、同市の県女性センターで行われました。企業の人事担当者ら約70人の参加者に対し、発達障害全般の特性やASD/ADHDそれぞれに向く仕事について説明されたこと、「その人の強みを生かして働ける職場なら、ものすごく戦力になる」と、障害の特性に応じた配慮を呼び掛けたこと、などについて紹介されています。

  • 掲載日: 2019年09月21日
  • 掲載: 中日新聞
  • ウェブ記事: こちら
  • 内容: 県女性センターで9月14日に行われたセミナーの報告記事。講演の趣旨と内容(障害の特性や適職など)。
関連ページ

発達障害に向く仕事・働き方 一般雇用と障害者雇用

メディア掲載情報

新聞・オンライン記事

発達障害の人の「私たちの就活」 河出書房新社

発達障害の人たちの就労移行を支援する人や会社の役割と実際のプログラムについて、また特性を持つ人たちが就職するために行なってきた工夫や暮らし方の実際についてのムックです。当社川崎事業所が取材協力し、Kaienの就労支援についても詳しく紹介されています。

  • 出版日: 2018年8月30日
  • 出版社: 河出書房新社
  • タイトル: 発達障害の人の「私たちの就活」
  • 著者: 発達障害者の自立・就労を支援する会:編 編集協力:宮尾益知
  • 価格: 1,300円+消費税
  • 出版社リンク: 河出書房新社
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関連サイト

Kaien 発達障害の方向け 就労移行支援

発達障害の人の「私たちの就活」 河出書房新社

発達障害の人たちの就労移行を支援する人や会社の役割と実際のプログラムについて、また特性を持つ人たちが就職するために行なってきた工夫や暮らし方の実際についてのムックです。当社川崎事業所が取材協力し、Kaienの就労支援についても詳しく紹介されています。

  • 出版日: 2018年8月30日
  • 出版社: 河出書房新社
  • タイトル: 発達障害の人の「私たちの就活」
  • 著者: 発達障害者の自立・就労を支援する会:編 編集協力:宮尾益知
  • 価格: 1,300円+消費税
  • 出版社リンク: 河出書房新社
  • 購入サイト: Amazon

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Kaien 発達障害の方向け 就労移行支援

障害者雇用水増し問題 官公庁も特例子会社を導入すべきでは 実質的に「チャレンジ雇用」が『特例子会社制度』に近いものに既になっているのです

前回のブログでは、数多くの中央省庁と都道府県を中心に長年行われていた『障害者雇用の水増し問題』について、いくつかの観点から考察しました。

前回の考慮ポイント

①障害者雇用は必要なのか?国別の考え
②障害者雇用促進法って良い法律?時代にあっている?
③「働くために障害のある人」の定義と「幸福追求の手法」の議論
④「障害者雇用水増し」問題というよりも「行政内部の都合の良い法令解釈」問題

です。【参考】官公庁 障害者雇用の水増し問題 ~発達障害 就労支援の現場からの考察~

特例子会社を官公庁にも!!

今回のブログでは、「官公庁も特例子会社を導入できるように法律を作る」ことを提起したいと思います。

まず結論を書くと、

「官公庁で上手に、今の職場で、正職員で雇えるなら雇って欲しい。でもそれができないから、つまり雇入れが現実問題難しい状況があるのではないか(だから水増しをせざるを得ないのではないか。)」
「官公庁は、民間に認められている特例子会社の制度が使えない。なので一気に雇用数を増やすことが難しいのはたしか。」
「だからこそ、”チャレンジ雇用”の有期雇用の制度があるともいえるが、それでは不十分だったことが今回なことで明らか。かつ”チャレンジ雇用”は、3年までの不安定な雇用を提供することになってしまっている。」
「それだったら官公庁でも特例子会社を作れるように法制度を改正すればよいのではないか。」

というものです。

行政は障害者雇用の“後進地帯”

障害者雇用率は通常の企業の場合2.2%です。官公庁はさらに上積みが期待されていて、国・地方公共団体等 2.5%、都道府県等の教育委員会 2.4% という定めになっています。

なぜ官公庁は高いのでしょうか?

今回の件ではまったく逆になっていて見る影もないですが、一般社会・企業の”模範”として障害の有る方の力を活用していく為、と個人的には考えています。

例えば10年以上前から、官公庁では(既述の通り)『チャンレンジ雇用』が行われています。民間に任せたままではなかなか雇われない障害程度の重い、仕事の経験が乏しい人たち(チャレンジド)を率先して雇い、力をつけることで、一般企業への就職につなげようというものです。

【資料抜粋】チャレンジ雇用とは、知的障害者等を、1年以内の期間を単位として、各府省・各自治体に おいて、非常勤職員として雇用し、1~3年の業務の経験を踏まえ、ハローワーク等を通じて 一般企業等への就職につなげる制度です。平成 19 年 12 月 25 日に策定された、新たな「重点施策実施5か年計画」(障害者施策推進本部決定)において、平成 20 年度から全府省で実施する こととされています。 なお、非常勤職員の雇用は、各府省の予算の範囲内において、それぞれの業務の必要性も考 慮しながら対応するため、チャレンジ雇用の期間も1~3年になります。

ただ、実際のところはチャレンジ雇用ではまったく充足していなかったということが今回明らかになりました。民間のお手本になるどころか、民間の方が障害者雇用は進んでいるという、福祉で働く人間としたら当たり前の現状が今回世の中に知られるようになったことからもおわかりいただけるでしょう。

正職員(普通の仕事を普通の環境で)は理想だが…

もちろん正職員の、通常ルートで障害のある人を採用するということが理想的です。

が、そもそも知的・精神障害の人が、例えば東京都の職員に応募ができるようになったのは、昨年(2017年)のことです。それまでは障害者枠といっても、正職員の場合は身体障害者しか受けられなかったわけで、それ以外はチャレンジ雇用に頼っていたのが行政です。しかもそもそも東京都の施策ですら行政では画期的な先駆事例でした。正職員の道でたくさんの職員が雇用されるのは時間が掛かるでしょう。

また、もちろん発達障害の方の就業支援をしている身からすると、障害のある人の正職員が増えるとそれは喜ばしいことなのですが、一市民としては、様々な予測不可能な環境の中で有能な職員になれる方が合格すべきであり、それが出来るかできないかは障害の有無にかかわらず、フェアに計られるべきです。通常ルートの正職員の障害者枠であれば、下駄を履かせる必要はないと思います。という原理原則論を考えると、発達障害・精神障害・知的障害の人に、通常の正職員の道が開かれても、これだけで法定雇用率が満たせるほどにならないでしょう。そもそも民間よりも雇用率は高いという壁もあり、より抜本的な対策が必要そうです。

【参考】知的・精神障害もついに応募可能に 東京都職員採用 ~公務員の障害者枠に風穴が開く!~

チャレンジ雇用は”有期雇用”であるところが残念 だけどヒントが有る

ではチャレンジ雇用を増やせばよいのではないか。答えはYES/NOです。もちろん、就業経験のない人のチャンスが増えることは良いかもしれませんが、その契約は有期契約。どんなパフォーマンスが高くても1年後や3年後にまた労働市場に戻る必要があるのが現状です。

そして1~3年の有期である上に、「チャレンジ雇用」は30時間/週を超える契約でないことも多く、手取りも少なめ…。このチャレンジ雇用で雇用数を拡大したところで、どの程度、社会的な意義があるのでしょうか。 

一方で「チャレンジ雇用」には別の意味でヒントがありそうです。それが今チャレンジ雇用で省庁が行っている業務内容です。チャレンジ雇用で働いている人が担当している仕事は、公務員(正職員)の周辺業務の業務を切り出していることが多いです。実は民間の特例子会社と一緒です。民間の特例子会社では、ビル内の郵便物配達・備品補充、総務・人事・経理系の事務補助など親会社の周辺業務をまとめて請け負っていることが多いのです。

つまり、省庁の「チャレンジ雇用」は「(有期雇用しか無いものの)事実上の特例子会社」ともいえます。実質特例子会社にしているならば、有期契約ではなく無期契約も結べるようにして、特例子会社の制度を公的機関も採用できるようにするのが、みんなハッピーではないかというわけです。

精神論はともかく、気持ちよく雇える仕組みになっているのか?

もちろん個人的には、前回のブログでもお伝えしたスウェーデンのサムハルのような国営会社を作ってみても面白いと思います。ただし、大きな制度の変更が必要だと思われ、ここ数年で実現することはないでしょう。だとしたら、色々な精神論や複雑な理想論はともかく、気持ちよく雇え、気持ちよく働けることが、民間である程度証明されている、かつ既にチャレンジ雇用で部分的に導入している特例子会社を省庁にも拡大すればよいのではないかと思うわけです。皆様どうお考えになりましたか?

長めな文章になってにもかかわらず、やや散漫な内容になってしまいました。そういえば、自分の事業である発達障害支援の立場からどう考えるかを書き忘れました。また、今回まだ水増しはないようですが、 教育委員会も民間よりも多くの障害者雇用が必要で、達成に向けて苦しんでいるところが多いと聞きます。 時間があれば、次回はそのあたりをまとめて論じたいと思います。

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Kaien・TEENS 採用関連情報

SDGsの取組事例 当社発達障害者支援事業が外務省ウェブサイトに掲載 国連サミット「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の達成に向けて

Kaienは「発達障害の方を応援する企業」として、これまで1,000人以上の成人、600人以上の大学生・専門学校生、1,000人以上の小中高の子どもたちに、職業訓練プログラムや就職支援、学習支援を提供してきました。

この度、当社の取り組みが「持続可能な開発目標(SDGs)」の取組事例として外務省ウェブサイトに掲載されることとなりました。

「持続可能な開発目標(SDGs)」とは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っており、これらの目標を達成するために、企業の参画・貢献も期待されています。

2009年の創業以来の精神を発展させ、今後もSDGsの達成に寄与すべく、発達障害の特性により学習や就労、社会生活に様々な困難を抱える人々が、その個性と能力を発揮し社会に貢献することで、自尊心を育くみ経済的安定を得るためのサービスを提供してまいります。

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官公庁 障害者雇用の水増し問題 発達障害 就労支援の現場からの考察

 官公庁の障害者雇用が水増しされていた問題。当社内でもスタッフや利用者・ご家族から「残念だね」という声が上がっています。日々発達障害の方の就職支援をしている身からするとこのタイミングで自分の考えを発信するのは躊躇する面もありましたが、せっかく世間の関心が高まっているようですので、そもそも制度の意義から検討してみたいと思います。

障害者雇用は必要なのか?国別の考え

 そもそも障害者雇用というのは必要なのでしょうか?現状は国によって様々です。

 欧州(フランス・ドイツ)や日本の制度を参考にした台湾などは障害者雇用という特別枠の考えがあります。それぞれ●%の雇用率という点が日本と似ています。一方で、アメリカは(障害者への差別が禁止されているのはもちろんですが)機会平等の観点からむしろ「特別枠が差別的」ということで一般の職場へのインクルージョンが推奨されています。またスウェーデンは国営企業サムハルで多数を雇用するモデルです。

 特別なサポートがある環境の方が本人の能力を発揮できるという考えも納得できますし、特別扱いせず普通の職場で自然なサポートをする方が理想という考えもまったく間違いとは言えません。民間ではなく国が率先して動くということもありえるでしょう。障害のある人によってどのような形を望むかは変わりますし、経営者や人事の考えでも違うでしょう。弱者へのサポートのためどうしても国が出てくる領域であり、法律の作り方で国の考え方の違いも反映されるところです。

障害者雇用促進法って良い法律?時代にあっている?

 日本で障害者雇用が必要としても、制度の細部への考えも人それぞれです。法律で決まっているんだから守るべきという人もいるでしょう。一方で雇用率を守っていても、最低賃金ぎりぎりの契約ばかりだったら、そもそも法の精神を曲げている印象があります。

 そもそも「障害者雇用促進法」は1960年にできた「身体障害者雇用促進法」を改正してできている法律です。傷痍軍人の支援から日本の国としての障害者支援は始まっていますし、その後は育成会など知的障害の子のいる親の活動によって障害の範囲が広がってきています。発達障害など精神障害の人たちまで法律の幅広がってきたのは歴史的には最近で今世紀に入ってから、すなわち2,000年以降のことです。

 上記のように範囲が広がったり、合理的配慮(障害のある人の配慮を、事業主や学校側で先ぎめするのではなく、一人ひとりに合わせて後ぎめするような考え方)という概念が入ったり、時代とともに進んでいるところがある一方で、実は雇用率の考え方は時代が進む中でほとんど変わっていません。例えば、下記のようなことはみなさんはどう思いますか?

  • 【障害者雇用に換算されるために 長時間働く必要がある】 1週間に30時間働くと1ポイント(一人分)、20時間以上30時間未満は0.5ポイント(半人分)、20時間未満だとそもそも雇用率に換算されない。障害のある人にとって20時間働くということ自体が障害(体力面、通勤面)になりえる。
  • 【障害の程度はあまり考慮されず “普通に近い”人が好まれがち】 障害の程度が画一的。知的障害が重い場合など「重度」(二人分)になることもあるが、認定されるのは稀とも言える。実際は「軽度」であればあるほど受かりやすい。つまり障害者っぽくない人が受かりやすい。
  • 【雇用関係があれば良いため “分離”した仕事場・作業であることも】 例えば通常の部署や職種で雇うのが難しい場合は特例子会社という制度があり、別の建物や別の作業をしていても問題ない。更に進んで、自社の既存社員を異動させず、業者に採用・仕事選定・オフィス選定までを任せ、ほぼ委託状態にすることも実質可能である。
  • 【官公庁は有期雇用が多く 安定した雇用とは言いづらい】 問題となっている官公庁の障害者雇用。多くは「チャレンジ雇用」で3年以内の有期、また30時間/週を超える契約でないことも多い。(実際、今検討されている対策は、チャレンジ雇用の人数拡大や、”1ポイント”扱いできるように就業時間の拡大であり、正規職員として現場で雇う形になるかは大きな疑問がある。)

 法律が出来るとそれを守らないよりは守ったほうが良いのは確かです。しかし守ることが目的になって、なんだか不思議な事がたくさん起きているのが現在の障害者雇用ですし、それの一つの課題の吹き出し方が官公庁の障害者雇用水増し問題やそれに次ぐ議論になっている気がします。これを機に障害者雇用って何?という議論を始めたいです。

「働くために障害のある人」の定義と「幸福追求の手法」の議論

 ではどのように議論を始めるべきか?それには、障害をどう定義するかということで、障害者雇用への考え方も変わってくるわけです。かわいそうな人なのか、支援があれば職場でも戦力となる人なのか、支援があっても戦力となるのは難しくて(語弊を恐れずに言うと)ある程度の「下駄を履かせる」方が良い人なのか、ということです。身体・知的・精神・発達という障害ではなく、その他の働きづらい人(高齢者やひとり親、高齢者介護を抱える人等)は障害に入らないのかという引いたところから考えるべき問題かもしれません。この「働くために障害のある人」をどの程度まで含めるか、その中での色合いの違いをどのように考えるかが一つです。

 そして2つ目に、定義した障害にあたる人たちが仕事を通じてどのように幸福追求できるかの手法の問題だと思います。一つ一つの官公庁に任せるよりも大きな障害者雇用の公的特例子会社を設立したほうが良いのか、企業に負担を強いても一つ一つの企業に就職をして貰う形が良いのか、そしてその時の制度設計でどの程度柔軟に雇用を認めるべきかも議論に登るべきところだと思います。

「障害者雇用水増し」問題というよりも「行政内部の都合の良い法令解釈」問題

 ただし今回の水増し問題は、(たしかに障害者雇用を現代日本でしていくときに生産性や経済合理性の難しさを感じさせる面も少しはありますが) むしろ行政が民間には法令解釈を狭く、原理原則を押し付けることが多いのに対して、内部では解釈を自己都合で自分勝手にしていて、しかもその状態を公表すらしていなかった、という残念な体質にあるのだろうなと思いました。

 もちろん、ひとりひとりの公務員の方が悪いというわけではないでしょう。個人個人と言うよりも日本の行政組織ってそんなものかなぁという諦めみたいなものを感じさせます。財務省の公文書書き換え問題とか、金融庁の情報漏えい問題は、政治家や統治者が絡む部分でしたが、そういったことがなくても法律を遵守すべき役人が組織的と思われても仕方ない、自分たちに甘い行動をとっていたのは民間の立場からするとがっかりします。まずはここを質してほしいと思います。

 そういえば文科省の複数幹部が関わったと思われる入試・贈賄問題、財務省幹部のセクハラ言動問題も記憶にあたらしいところです。今回も障害者雇用の無理解と言うレベルの手前で、日本の官公庁って法令遵守大丈夫なの?どうやって国民は行政と向き合えばよいの?という信頼問題というわけですね。

 官公庁がどのような障害者雇用がありえるかについてはまた次のブログで書こうと思います。今回はあまり報道されていませんが、教育委員会は民間より高めに障害者雇用率が設定されていて学校の現場での障害のある人の活用方法はこれを機会に話し合いたいですし、官公庁は先に書いた通りチャレンジ雇用を進めるのか他の方法があるのかについても検討していきたいです。

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当社社員の最低賃金引き上げ 月給22万円+ボーナスへ

今日は当社のガクプロ(発達障害の傾向のある大学生・専門学校生向けの就活プログラム)に5年通い続けた大学院生が無事内定を取得したというニュースが入ってきました。院で学んでいる専門性も活かせるいわゆる一般雇用のようです。個人的に最も頻度高く個別相談をした男子学生だったので感慨もひとしおです。当初はやりとりが返ってくるまで1・2分を要することもあった、やや緘黙傾向の強い学生だったのですが、きちんと素材の良さを見てくれる会社さんはあるものですね。

年収300万円~に引き上げ & 消費増税を見越して

さて、本題。今月当社は従業員の給与に手を付けました。これまで新卒の場合は20万円~(当社内での障害者雇用の場合は18万円~)が下限だったところ、今月から給与を22万円~に変更しました。最大で4万円の月給UPになります。

当社はボーナスは1.5ヶ月分が標準です。このため13.5ヶ月分が年収となります。計算すると22×13.5=297万円が今後の最低年収となります。子ども向け事業(放課後等デイサービス TEENS)のスタッフは平日夜のシフトの場合は夕食代として夜間手当(5000円~1万円/月)を既に導入済み。このため新卒のほとんどはベースの部分で考えても300万円を超すことができました。もちろんこれらに残業代+その他手当が加算されます。

当社は2009年にできた会社です。そろそろフルタイムスタッフだけでも100人になります。とはいえ人事制度はまだまだ整備中。今回も1年半に導入した制度で改善すべき点を考えている中で、社内の最低賃金を引き上げよう、ということになりました。今月はじめの執行役員会で決め、即日導入しました。

今まで放置していた感が拭えません。やや機械的に給与テーブルを定めすぎていたと反省しています。これで若者がより元気よく働いてくれることを願います。

ちなみに皆さんなんとなく忘れているようですが、来年(2019年)10月には消費税率が上がります。その時も給与は2%は難しいかもしれませんが、上げていくつもりです。このまま事業が順調に進めばですが…。

福祉+αの難しさ

現在当社はほぼ純粋な福祉企業。制度に頼った公費で運営されています。「介護職員や保育士の月給が10万円台で暮らせない」というニュースが度々入るように、当社も同じような報酬制度で運営していますので、無い袖は振れないところはあるのです。

しかも今年度から障害福祉サービスの報酬単価は落ちています。今までどおりだと1割程度売上が減ることが予想されています。幸いなことに当社は上場企業ではありません。市場にさらされる良さもあるとは思うのですが、こういった決断は非上場の良さを活かして利益水準を見ながら正しいと思えることをしていきたいです。

障害のある方を就職させることは下の記事に以前書いたとおり、むしろ国の財布という観点からは経済合理性があることです。ですので当社のように実績を残しているところはもう少し給与を上げる手当をしてほしいと国に訴えていきたいと思いますし、それが社長の役割の一つかもしれません。

【参考】社会的価値が10億円の大台へ Kaien社会的価値

ただ国に頼ってばかりでもいけません。公費に頼らなくても、お客様に納得感のある、つまりお金を払っていただけるサービスを提供すべく、いろいろチャレンジしていく必要があります。例えば今年度も、発達障害のある方の転職サイト「マイナーリーグ」や、発達障害のある子ども向けの専門塾「まなびTEENS」を立ち上げています。

先行投資のためにも利益が必要ですし、そのためにも良いスタッフを集めないといけません。僅かな給与増ですが、これが少しでも採用活動にプラスになればなと考えています。

Kaien・TEENS 採用関連情報

自分と向き合うことでたぐり寄せた幸運 ~私とKaien 第16話~

 『私とKaien』は当社の就労移行支援を利用していた訓練修了生や、ガクプロやTEENSをご利用中のお子様を持つご家族など、Kaienと一緒に発達障害の魅力を世の中に広げていただいている方々へのインタビューシリーズです。

 第16話は、思春期から季節的な気分の波に悩まされつつも、就職を決め既に3年目。仕事もプライベートも日々進歩を心がけるAさんにお話を伺います。

高校生の頃から働けるかどうか不安でした

 中学生くらいから冬場は鬱っぽくなりましてね。高校に上がっても休み休み、何とか通っていました。将来、本当に週5日フルタイムで働けるかな、って不安がありました。大学に進学してからは、車の免許を取ったり旅行をしたり楽しく好きなことやっていたように思います。勉強は好きなんですよね。本当は大学院に行きたかったんですが、妹が芸術学部に行くのでお金がかかるから、ということで諦めました。社会に出るのに少し不安もありました。社会人になると立派な大人のイメージ。悪い人もいるし。僕なんかうーん、だまされちゃう。罠に落とし込まれるんじゃないか、って感じで。

 就職は、都内のタクシー会社に事務職で入りました。募集要項では8時半始業なんですが、僕が配属されたハイヤー事業部の支店では慣例的に7時半に出勤です。早出1時間は残業としての請求ができない。終わりは新卒で早く帰れても8時、9時。先輩は夜11時過ぎまでです。入社して3か月くらいで参ってしまいました。喘息が昔からあるもので、医者から無理ですよ、と言われました。

 その後保険の勧誘営業をして、市役所職員だった叔父の勧めもあり会社を辞め一念発起して公務員試験に挑戦しました。これは上手く行きませんでしたね。若年トライアル雇用で入った会社も、社長から営業向いてないよ、って言われて。その後は塾の先生のバイトをやったりして、最終的には生活保護世帯の教育支援の仕事に就きました。家庭訪問をするとほとんどがシングルマザーや外国人。こんなに悲惨な話があるんだ、というお宅も沢山ありました。能力的にも人間関係的にもきつかったですね。その時に支援員向けの研修があり、もしかしたら僕自身が発達障害かも、と思ったんです。親からは精神科は世の中の偏見もあるので、できたら受診して欲しくない、と言われて。それで自宅から少し離れた自分に関係のない場所にあるクリニックを見つけ、発達障害と診断されました。

自分の得意と苦手に徹底的に向き合ったKaien時代

 Kaienは発達障害についてネットで調べていて見つけました。他の事業所もいくつか見学しましたけど訓練のレベルが低く就職できる気がしませんでした。Kaienは発達障害専門だし、Kaienにつながれば何とかなるんじゃないか、安定した就職へのきっかけが掴めるんではないか、という思いがありました。

 訓練では「週替り」(週単位で別の仕事を体験するプログラム)や「こしょこしょ」(オンライン店舗で実際に古書を売る)をやって、正直な所、今更なんでこんなビジネスマナーみたいなことやらなくちゃならないんだろう、と思ったこともありましたが、自分は何が得意か。働く上で障害になることは何か、に徹底して向き合いました。こしょこしょで店長をやってみると周りの訓練生の特性が見えます。「この人はここは得意だけど、急に振るとパニックになる」とか。「なるほど、じゃ、自分はどんな特性があるのかな、仕事する上で何に気をつけなくちゃいけないのかな」と気づくようになりました。

 一番印象に残っているプログラムは営業ゲームですね。疑似的に営業をして、仕入れをして色々な人とやり取りをして、売り込んで・・・、という中で「へえ、発達障害の苦手にしてるところを教材にするんだ」と驚きがありました。みんなで頑張って取り組みました。チームワークってあまり得意でなかったんですが、身についてきたように思います。

 世間では発達障害について知識のある人は限られている中で、Kaienのスタッフは医者とは違う専門家集団でした。つどつど有意義なアドバイスをいただきました。自信喪失だった僕を褒めてくれたことも良い想い出です。スタッフのMさんからは「朝の挨拶が中堅みたいだから、もっと元気よく入ってきては?」と言われたんです。それからずっと爽やかな挨拶を心がけていたら、今の職場で「朝の爽やかな挨拶がいいね」って褒められたんですよ。

意外だった本当の適職 偶然の出会い

 就活は決して順調ではありませんでした。ハローワークの合同面接会もKaien求人にも応募しましたが、職歴が長くて2年、他は3か月ずつとかかなり入り組んでいるので、書類選考で落とされました。過去は消せないので、職歴だけしか見てくれないのは悔しいなと。

 今の会社は大手総合商社の特例子会社です。ここに入れたのは本当に幸運でした。Kaien合同面接会(Kaienの訓練生限定の面接会)にも来ていたのですが、応募が遅くて受けられませんでした。でもスタッフの方からは「この会社好みの人物像なので、最後の切り札に持っておくといいよ。」と言われていたんです。他社の書類選考も上手く行かない中、実習だけでもさせてもらおう、ということになりました。12月の年末調整の時期でしたね。帳票の数字をチェックする、という仕事は相性が良かったようです。書類の細かなミスを沢山見つけ、担当者から「丁寧な仕事で助かった」と言っていただきました。

 「さて実習は終わったけど、就職困ったな・・・。」となっていたら、ちょうど、今、僕がいる経理のポジションで退職する方がいて、それで僕に声が掛かりました。実は経理は合わないかもしれない、ずっと数字を見るのは注意力も集中力も求められるし体力的にきついだろうな、と思っていたんです。だけど、たまたま空いたのが経理の職でした。

 今は「こんなに経理にはまるとは」という感じです。経理の面白さですか? 様々な経費を自分で集計して、(総勘定)元帳と合わせてみても一発目は大体合いません。この数千円、時には数十万円、集計と元帳で合わないのは何かな、と地道に調べて行くのですが、最近は慣れてきて、すぐ分かるようになって来ました。色々調べてピタっとはまったとき、パズル解くような楽しさがあります。

力を蓄えて、自分らしく働きたい

 人に「東京の大手町で経理やってます」というとカッコイイじゃないですか(笑)。自信を持って会社の名前を人に話せる点も働くモチベーションになっています。今はまだ嘱託ですけれど、前職の一般枠時代と同じ月給をもらっていて、待遇の面でも満足、それ以上に職場のみんなが親切で優しいところに大変助けられています。

 一番嬉しいのは、伝票をどう起票したらいいですか? これ間に合いますか? 期限までに支払えますか? この契約書は印紙要りますか? などなど、日々様々な相談や連絡が僕のところに来て、千手観音のように、こっちに返事、あっちにも返事、その間にメールや電話の対応も・・・と言う感じで、僕の周りに沢山の人が集まってきてくれていることです。「頼りにしてくれている」それを思うと風邪をひいている暇もなくて、この半年間、病欠はゼロです。

 今後は簿記だけでなく税務も勉強して、どこの会社ででも通用する経理マンになる、ということが目標です。「過ちは素直に認めて直す」という心がけで日々の進歩を大切にして行きたいですね。

 Kaienの訓練生には、尊敬する松下幸之助の言葉「わるい時がすぎれば、よい時は必ず来る。力を蓄える者には時期が来る。あせらずに時を待て」を送ります。発達障害の人って、ある分野にとても詳しかったり、特定のことだったら集中が凄かったり、本当に面白い。ベタすぎて使いたくない言い方ですが、みんな違ってみんないい。種の多様性が保たれているんですよね。発達障害だからダメとか、どうせ、っていじけない。自分で制限をかけないで、自分らしく、個性や特性を生かせる職場で働く、そういう生き方をして欲しいと感じています。私は怒られるのが苦手で、障害枠であればそういうこともおそらく少ないし、安心して働けるのではないか、と考えました。そういう働き方も含めて、自分らしく働けるって大切だと思います、ええ。

趣味のカメラ。訓練帰りに秋葉原のカメラ店に立ち寄っては「就職して、欲しいレンズやカメラを買う」と誓ったそう。
「春を待つ心で力を蓄えること」を教えられた松下幸之助の本。

Aさん:教育支援の仕事で受けた研修から自身の発達障害を疑い診断を受ける。Kaienの訓練を経て経理の職に。中学・高校の国語教諭免許、簿記3級、Microsoft Office Specialist、衛生管理者1種免許、個人情報保護士、アマチュア無線技士3級、他全部で12の資格の持ち主。現在、危険物乙類第4種取扱者免許、第2級特殊無線技術士免許に挑戦中。趣味は旅行、カメラ、アマチュア無線、写経、短歌作りなど。

  • 取材: 2018年7月
  • 性別: 男性
  • 年齢: 33歳
  • 診断: 2015年 発達障害(ADHDかASDか不明。自分ではADHDだと思う。)
  • 業種: 大手商社の特例子会社
  • 職種: 経理を中心に契約書など文書管理の他、社内労災予防も担当

彼が飲み会の最中に天井を見続けたわけ 発達障害支援の根っこにあるものとは?

大阪出張中。6月に開所したKaien大阪天六は2ヶ月でついに満員御礼となり、これからは利用まで少しお待ち頂く案内をしないといけなくなりそうです。とはいえまだ一人も就職はしていないので、これから1、2ヶ月で就活が進み、Kaien大阪天六第1号・第2号の内定者が出てくるのを期待しています。(厳密に言えば訓練生の内定者は既に出ているのですが、その会社に就職が決まったわけではありませんので、めでたく修了!!となる第1号・2号を早く出したいということです。)

現場は傷を癒やしてくれる

今朝は久しぶりに仕事への気乗りがしない朝でした。「仕事が趣味」の僕にとっては珍しいことです。会社経営というのはすべてがうまく行くことはありません。毎日のようにネガティブになるニュースが入ってきます。社長の仕事の多くはネガティブな情報にどう向かうかなのか…。今週は次から次へと後ろ向きの対応をする必要があり、そんな気持ちになるこの1週間でした。

それに加えて合宿や大阪出張の疲れがたまっているのでしょう。鬱々とした気持ちの中、ホテルから一駅のKaien大阪天六へ。午前は利用説明会。そして午後はガクプロでした。でも当社の利用を希望する方々とお話をしているうちに気持ちが前向きになり、ガクプロ生や体験セッションの人たちと交わっていると楽しくなってくるのは不思議なものです。

リーダーにとって現場は実情を知り、アイディアと情熱が湧く場所だけではなく、隠れて傷を癒す場所でもある。

宋文洲さんの言葉です。本当に僕は発達障害の人に救われていると思います。特に今日はいろいろと面白いことがあったのですが、その中でもピカイチのものをご紹介します。(個人が特定できないようにやや脚色を加えます。)

女の子の胸の谷間が気になる…

今日のガクプロ生のお悩み相談は「前に座った女の子と話すときの目のやり場」でした。

あるガクプロ生が飲み会デビューしました。大学のクラスの飲み会だったので参加しやすかったようです。でも同性の友達も少ないのに、目の前に座ったのは女の子だったのこと。もじもじしてしまったというのがお悩みでした。

「どのように話したら良いのかわからなかったの?それとも話題がなかったの?あるいは無視されちゃったの?」と聞くと、「話しかけてもらったからそれはない」とのこと。

「じゃあ何に困ったの?」と聞いたら、「僕は目は合わせられない(注:自閉症スペクトラムの特徴ですね)。だから話すときは相手のアゴをみるようにしている。でもアゴを見ると、谷間が気になっちゃうので、飲み会の中ずっと天井をみていました。」とのこと。「鼻を見ればよかったのに」と尋ねたら、「鼻を見ると今度は目が見えてくるのでやりづらい」とのことでした。

これをみんなの前でまっすぐ話してくれる彼に感動するとともに、他のガクプロ生もいろいろなアイデアを出してくれて、会話がとても盛り上がりました。料理を盛り付けるなど手を常に動かして料理を見ていればよかったのではとか、1対1で話さなくて他の人を入れて複数で話して他の人を見ればよかったのではとかです。

僕がアドバイスしたのは、「実は女の子は胸をチラチラみられるのは慣れていると思うからそんなに気にしなくても良いよ。アゴを見て、時々目が胸に行っても、その程度なら怒られないよ」ということ。

ガクプロにはご家族(主に母親)が見学で参加されていることもありますので、アドバイスの前に一瞬躊躇しましたが、相談主さんには納得がとてもいったようで、大きく頷いて安心した表情をしてくれてとても良かった。今日の僕のハイライトでした。だから支援は面白いです。

支援≠魔法

ホテルに帰りながら今日の支援をいろいろ振り返っていたら、ふと最近の当社の空気について思い至りました。そう、朝僕を苦しめていたネガティブ情報の一つが社内の働きやすさでした。

最近当社のサービスは「発達障害と言ったらKaienさん」「TEENSさんは独自性が強いですね」と言われることが多くなっています。それはそれでありがたいのですが、そのプレッシャーで肩肘張った感じになってしまっているのかもしれません。あるいは現場のスタッフがKaien流、TEENS流にしなくてはと萎縮し始めているかもしれません。

「誰でも良い支援を出来るように、プログラムを標準化しないといけない」とか、「しっかりと研修をして、ミッション・ビジョンを全社員に落とし込まないといけない」とか、そういう息苦しさです。それが社員に伝わって働きづらくなってはいないか。自分自身もMUSTと思うことが増えて、苦しくなっていないかということですね。

本来支援なんて、経典に書いてあるようなものではない。どこかで苦労して体得する魔法のようなものでもない。どこにでもある日常のやり取りが支援になるのだと思います。根っこには相手に対する興味・関心・共感。それがあればどんな支援も最終的に成り立つというような、アタリマエのことを最近意識していなかったかもしれないなと思いました。

「前にいる女の子の胸の谷間を少しぐらい見ても気づかれないよ、あるいは気づかれたとしても相手はあなたよりも大分ませているだろうから無意識に目が行っちゃうぐらいならば怒られないよ」なんていうアドバイスは、発達障害の支援者の本にあるはずはありません。その場で、その男子学生の人となりと特徴や性格と、自分の人生経験や常識感を、ふんわりと混ぜて出てきたものが支援なのであって、標準化とかミッション・ビジョンとかそんなんじゃないよなと思ったわけです。

もちろんまったく指針がないと返って人は動きが止まりますし、発達障害の基礎知識がないとアドバイスしたつもりが逆効果ということも十分にありえますので、知識や研修・指摘が無駄なわけではない。でも現場の支援者が、前向きに楽しく自由にできていると錯覚するぐらいじゃないと、良い支援というのはできないよなと。現場の社員が良い意味で自分の感覚で動くのではなく「Kaienってこういうふうに支援することになっていたよな」と頭の中の辞書をめくっているような支援をさせてはいけない、伸び伸びと支援にあたれる会社にしていかないといけない、思ったわけです。

現場に出るって本当に貴重です。いろいろなところに宝が落ちているような気がします。明日も午前だけですが現場があります。台風一過の大阪でまた宝探しをしてきたいと思います。

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