採用情報

ベネッセ教育総合研究所でお話をしてきました CO-BO 発達障害のある人たちの就労に関わる問題

 今日は新宿の貸会議室でベネッセ教育総合研究所さんに招かれ「発達障害のある人たちの就労に関わる問題」についてお話をしてきました。

 なんでもベネッセ教育総合研究所さんでは社会問題の理解とモデル化を目指し高校生などの若者に考え、行動するきっかけを与えるために行われているそうです。外国ルーツの子どもの社会問題や、貧困層の子どもの社会問題、発達障害の子どもの社会問題というテーマを年単位で取り上げ、今年は発達障害の就労問題とのこと。

 僕の前には、東大先端研の近藤武夫先生がお話しされています。合理的配慮から始まって、学校から社会にどう送り出すかという視点ですね。ちょうど記事になったばかりとのこと。参考になると思いますのでぜひご一読ください。「発達障害のある人たちの就労に関わる問題」東京大学先端科学技術研究センター 近藤武夫准教授編【前編】

 僕に期待されていたのは、世の中を俯瞰しながらも、就労支援の現場から見える社会課題を、行政の観点から、当事者の観点から、支援者の観点から、教育現場の観点から、そして企業の目線から考えるようなヒントを与えることだったようです。大層な期待ですが…。

 あまり希望的なことは言えず、非常に現実的な、時に大きな壁に気おされる印象もあるという率直な話をしてきました。今日お話ししたものは年明けごろ記事として公開されるそうです。ぜひご期待ください。

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アスペルガー症候群 vs. 自閉症スペクトラム 根強いアスペルガー症候群 自閉症スペクトラムの浸透はまだまだ

 数週間ぶりとなる社長ブログです。今日は「アスペルガー症候群 VS 自閉症スペクトラム」について。

”アスペルガー症候群”って古い?

 アスペルガー症候群という言葉は、日本で主流な診断基準である『アメリカ精神医学会の診断基準』の最新版、DSM-Vで削除されています。2013年のことです。削除されたということは、基本的にもう使わない、使うのは古いということになります。

 まだ国際的に通用するもう一つの基準『国際疾病分類(世界保健機関 (WHO) の分類)』の最新版、ICD-10では残っており、完全に過去の基準とも言い切れないのが厄介ですが、医療や福祉の現場では、「アスペルガー症候群」というと「遅れているね」と言われかねません。

 ということもあり、当社では自閉症スペクトラムで統一しているのですが、、、アスペルガー症候群という名前の強いこと強いこと。。。ついに当社もしばし屈することになりました。というのも、、、

ネットの世界ではアスペルガー症候群が圧勝!!

 3年前から今日までの、グーグルトレンドを以下に画像でご紹介します。グーグルトレンドとは、ネットでの検索数の推移をみられる無料のサービスです(こちら)。青が発達障害、赤がアスペルガー、黄色が自閉症スペクトラムです。最近になってアスペルガーの検索数はやや減って来てはいるものの、発達障害に次ぐ検索数を維持しています。

googletrend

 一方で自閉症スペクトラムはまだ地を這う程度の検索数。。。いったいいつになったら市民権を獲得するのかという状態です。これまで当社の”こだわり”で自閉症スペクトラムを主に使ってきましたが、多くの方にウェブサイトに来てもらうためには、アスペルガー症候群という表記をしばらくはしっかりと押し出していく必要がありそうです。

 この辺りは読んでいる人にはどうでも良いことだと思いますが、医療や福祉の内部にいるとつい無駄にこだわってしまう部分だなぁと反省しています。アスペルガー症候群は根強く、自閉症スペクトラムの浸透はまだまだですね。

 早速、「アスペルガー症候群」で新しい記事をKaienの就労移行支援のサイトにある「大人の発達障害Q&A」のページに書きましたので、ぜひご一読ください。

【大人の発達障害Q&A】大人のアスペルガー症候群 
就職に必要なコミュニケーション力を磨くには? アスペルガー症候群の特徴と働くための道筋を考えるblank_blue

 ▽アスペルガー症候群の基本、自閉症スペクトラムとの違い、ADHDとの違い
 ▽アスペルガー症候群の強みと弱み 向いている仕事と向いていない仕事
 ▽コミュニケーション力を磨くには?
 (企業が求めるコミュニケーションは”発信”ではなく”受信”、受信力を高めるために)
 ▽アスペルガーの人が定着しやすい職場

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採用説明会を開催 発達障害の「強み」を生かすインターン! (川崎勤務可の方を歓迎します)

TEENSのインターンは、発達に凸凹のあるお子様の学習支援や生活支援に入るだけではなく、お仕事体験での上司役や、プログラム作成、営業など、個々の興味・能力に応じてビジネスと福祉の両方の最前線を体験できる、要求度の高いインターンです。お客様を「満足」させるだけではなく、「感動」レベルまで高めることを目指す学生を募集しています。特に川崎拠点で働ける方を歓迎します。

インターンへの応募はオンラインフォームから随時可能ですが、応募の前にまずしっかり話を聞きたい、現場を見たいという声にお答えし、インターン採用説明会を開催します。インターンから正社員への採用も毎年複数名行っていますので、将来TEENSでフルタイムで働きたいという方は特にこの機会にご参加ください。

図1

インターン採用説明会 2016年12月

  • 日 時: 2016年12月4日 (日曜) 13:30~15:00
  • 場 所: TEENS 川崎 (アクセス地図
  • 内 容:
     Kaienの会社説明、TEENSのサービス説明(20分)
     発達障害体験ゲーム(30分)
     現インターンとの座談会など(30分)
     質疑応答・面接の日取り決め(希望者のみ)
  • お申込みフォーム: こちら

TEENSインターンで得られる経験

  • 発達障害支援の最前線に携われる経験
  • 子ども達の成長を間近で見られる経験
  • ソーシャルベンチャーの中で0から1を作り上げる経験
  • 基本的なビジネススキルが身につけられる経験
  • ビジネスと福祉のバランス感覚を感じられる経験
  • 試行錯誤(トライアンドエラー)しながら事業を作り上げる経験
  • ソーシャルベンチャーの第一線で活躍する上司と一緒に働ける経験

内容・条件

詳しい職務内容は採用サイトのインターン特集をぜひご覧ください。

  • 内容:平日の学習支援 週末の”お仕事体験”アシスタント 経営企画他
  • 給与:1,000円〜1,500円/時(※実績に応じて変化します) 交通費支給
  • シフト:平日15:00〜20:00 休日9:00〜18:00 
  • 歓迎:週1以上シフトに入れる方 半年以上勤務できる方 を特に募集しています
  • その他:インターンを経て正社員への登用制度あり

再掲 ご応募

  • 今回のインターン採用説明会へのご参加 → こちら
  • 説明会を経由せず、直接インターンにご応募 → こちら
  • その他、TEENSの採用情報(含・フルタイム情報) → こちら

人工透析と身体障害

社会保障費を見てみる

 長谷川アナが炎上狙いで提起した人工透析の医療費問題。大きくショックを受けたり怒ったり、言いたいことはわかると言ってみたり、僕もネットニュースで情報を取るタイプですので、避けようと思っても記事が目に入ってきます。長谷川アナが炎上上等!という感じで提起していただいた問題である社会保障費は日本人なら真面目に考えたくないぐらいに膨れ上がっているのは確かですね。

 出典などはすいません、はっきり覚えていないのですが、医療・介護・障害福祉という3分野から見た社会保障費が、税金・保険・自己負担の3つの財布からどう出ているかを、当社でまとめたものが下の図です。半年前ぐらいに30分ぐらいでネットから寄せ集めた情報をくっつけて、一部仮定を置いて作った内部資料なので、いろいろ間違っていそうですが、大きな感覚はつかめるかなぁと。

 

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 これ見ると、医療費ってバカでかいなぁ、と思いますし、たしか伸びはとにかく3分野でナンバーワンだったような気がします。つまり医療費って一番大きいパイであるとともに、伸びも一番だったはず。背景には”終末医療”や、今回話題になった人工透析なども含まれると思われる”高額医療”が絡んでいることは明らかです。

 今回のように「殺せ」みたいな言葉で注目を集めるのはとてもメディアの仕事とは思えないですが、厚労省系の予算規模をただただ雪だるまのように増え続けさせて言ってよいはずはないです。命の考え方や死への考え方、医療や福祉をどの程度社会として負担するのか、個人の自己責任に任せるのかなど。事業主としても一人の国民としても避けては通れないなと日々思っています。

 ちなみに当社(障害福祉事業者)は頂いた税金以上に社会に返しているという社会的価値を計算しています。詳しくは以下ブログを読んでいただきたいですが、税金を浪費しているだけではなく、むしろ国庫を豊かにしています。

 福祉の中でもリターンが出やすい事業とそうでない事業があるので、リターンがあれば素晴らしいかというとそうも言いきれないのですが、ただただ税金として一方的に使われているだけではないということを理解してほしいということです。

身体障害に含まれる内部疾患

 さて、本題。長谷川アナが炎上させた流れの記事のうち、いくつかを読んでいて思ったのが、人工透析を受けている人が障害者枠で働いているというところでした。そうなんです。僕もこの世界に入るまではあまりピンと来なかったのですが皆さんがイメージする身体障害って目や耳の障害だと思うのですが、実は内部疾患など他の障害が多いのです。

 Wikipediablank_blue によると身体障害は『 1) 視覚障害、2) 聴覚障害・平衡機能障害、3) 音声・言語障害(咀嚼障害を含む)、4)肢体不自由、5)心臓・腎臓・呼吸器・膀胱・大腸・小腸・免疫等の内部障害の5種類』に大別されるとのこと。

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 これも当社の内部資料ですが、実は身体障害の人は年齢が上がるごとに増えるのです。なぜかというと、病気や事故で内部疾患が多くなるからと言えます。人工透析もその一つですし、実はHIVポジティブの人も身体障害の手帳が取れるので、この統計の中に入っているはずです。身体障害の定義って本当に幅広いのです。

 ある企業では、人工透析の患者をメインに、障害者枠で雇用しているところもあります。HIVポジティブの人を偏見なく雇用しているところもあるでしょう。その他、難病と言って治療法が確立されていない病気でも障害者手帳が申請できますので、そういった人たちも障害者枠で働いています。たしかに医療費はかかるのでしょうが、働いて少しでもお返しするという気持ちがないはずはありません。

 弱者をピンポイントで攻撃して医療費を削るムーブメントを起こしてもおそらく意味がないと思います。様々に働きづらい人、社会に溶け込みづらい人は、古今東西、一定程度出てくるものだと思いますが、そういう人に自己責任を負わせて突き落としても負の連鎖をうんで、かえって社会コストが高まるのではないかなと僕は思っています。(米国を見ていても、1%の富める者はどんどん豊かになりますし、底辺の人はどんどん貧しくなっています。それでどんどん社会保障費が膨らんでいっています。)

トップ10%とボトム10%

 個人的には、トップの10%(つまりリーダー層)が社会を引っ張れるか、部下の能力を上手に使えるようになるか、そういったリーダー層を教育で企業で育てていけるかが重要だと思っていますし、ボトム10%に落ちがちな人たちをいかに底上げできる、エンパワーメントできるかが社会コストを減らすうえでは必要だと思っています。ちなみにトップとボトムに挟まれた80%は、ボトムから突き上げがあって、トップが上手に引っ張れば勝手に良い人生を送れるようになるはずです。それが今回のようにトップ10%がボトム10%を蹴落とすようなことではね、、、結局みんなにとって損だと思うのですが。。。

 僕が障害のある人が働くことに伴走する、支援する仕事で充実感を得られるのは、やはり社会に適応するときに仕事って本当に大きいのですよね。いわゆる障害のある人、病気にかかった人は、誰だって社会のお荷物になっていると思いがちで、それを働くという社会を支える役割にするというのは、純粋に楽しい仕事だと思っています。

 障害者雇用で、よく僕が言うのは、障害のある人など働くのが難しい人を雇用管理する力は、他の人の雇用管理にもつながるということです。なかなか能力が発見しづらい、適材適所を探しづらい人の良さを考え、弱みを出ないようにする、上司の力は、障害のない人のマネジメントにもつなげられるはずという考え方です。子育てをした人がマネジメントが勝手に上達するという話はよく聞きますが、それと同じで大人の勝手に、こちらの常識通りに動かない人をどう動かすかは、すべての管理力に通ずるという感じです。

 何が言いたいかわからなくなりましたが、社会保障費の増大は確かに大変だけれども、今回の炎上事件で働きづらさがある人を改めてみた気がしますし、解決策としてはそういう人であっても上手に働かせるのが社会コストの低減に結局つながるし、実はそういった人たちを働かせることで組織を束ねる能力も高まるのでは、ということを言いたかったのだと思います。

今秋・冬の家族会や行政主催セミナーでの登壇予定 岡山・名古屋・東京(武蔵野市/江東区)・大阪・島根でお話しします

 金・土と凹むことが多かったですが、本日は比較的のんびりとTEENSのお仕事体験のセッションを見ながら過ごせています。オフィスの端っこで行っている作業が、講演資料の準備です。

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講演資料の一部

 

 もしかしたら他にも当社が受けているセミナーがあるかもしれないですが、概ね僕が(登壇するなどして)理解しているもので秋から冬にかけての講演を以下にまとめています。

 名古屋のイベントは非常に大きなホールしか取れなかったということでいくらでも収容できるのではないかと予想していますので、ぜひいらしてください。イベントまでちょうど1か月です。

10/29 一般社団法人日本児童青年精神医学会 第57回総会(岡山・岡山市)
10/30 愛知県自閉症協会つぼみの会 平成28年度 高機能自閉症向けセミナー(名古屋市)
11/07 しょーとてんぱー(東京・武蔵野市)
11/11 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 第24回職業リハビリテーション研究発表会 パネルディスカッションⅡ「発達障害者の就労支援を進めるために ~支援の手助けをするツールの活用~」(東京・江東区)
12/01 学生支援機構・筑波大学 「発達障害学生支援における修学支援とコンプライアンス」(大阪市)
12/11 島根県東部発達障害者支援センター「ウィッシュ」(島根・出雲市)

 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の毎年恒例の一大イベントである『第24回職業リハビリテーション研究発表会』は実は職業センター出身の当社スタッフが登壇。〆切が1週間後に迫った日本児童青年精神医学会の『第57回総会』はガクプロ関係を鈴木でない当社スタッフがお話しする予定です。

 もともと自分は医学・福祉素人ですので、専門的なイベントになればなるほど、現場スタッフに今後は出て行ってもらおうと思っています。もし講演のご依頼があれば関連ページにあるお問い合わせのメールアドレスからご連絡ください。

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障害のある息子・娘のいる親の「就活力」 親の力が問われる”お受験”ならぬ”お就活”について

 明らかに日本語としてはおかしいですが、”お就活”について。

問われる親の「就活力」

 当社では発達障害のあるお子さんたちが通うTEENS(放課後等デイサービス)や、発達障害のある大学生・専門学校生向けのガクプロを運営しています。また就労移行支援という障害のある大人向けの就活を支援する就労移行支援Kaienも運営していて、その利用者も20代が多いです。そのような年代の就活を支援していて思うのが、親の「就活力」です。

注)本ブログではなにか個別具体的な例を指しているわけではありません。あくまで一般論です。

 6月がピークだった就活も徐々に終息を迎えつつあるのは(A)大企業の一般枠。一方でいよいよこれからというのが(B)零細企業の一般枠や、(C)大企業を中心とした障害者枠です。当社に通う利用者たちの多くは、現実的に(B)や(C)の就活を行うため、既に内定をもらって就活を終えた一部を除いては、秋冬が本番ともいえます。

 中途の就活と違って新卒の場合は売りとする経験が少ない。このため紙一重の戦いになりがちです。特に発達の凸凹があると、就活でも壁にぶつかることが多いのは確かだと思います。例えば、業種・企業選考が苦手ですし、自己分析が苦手ですし、志望動機などの抽象的な文章の作文も苦手です。この為当社のような支援機関の意義があるわけですが、それだけでは足りず、親御さんのサポートが必要になる場合も多いです。

特別支援学校任せの就活から、親主導の就活へ

 これまでは障害児の就活支援は、主に特別支援学校の高等部で行われてきたと思います。このため公費が投入される中で充実していたわけです。しかし昨今は障害の定義が広がり、普通高校や大学、専門学校に進学する方が一般的ともいえ、学校任せではいかなくなりました。特に障害者枠ではご家庭の安定性を重視する企業も多く、親の力が必要になっているともいえます。

 名門幼稚園、名門小学校、名門中学校では、子どもの学力よりも、むしろ親の受験力が重要だという話は聞きます。同じように、障害児(大学・専門学校生含む)の就活支援でも親の存在はとても重要だと思います。”お受験”ならぬ”お就活”という感じでしょうか。

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面接の現場はサポートできないが、事前に事後にサポートできる部分は確かに大きい

 

熱心な親ほど注意したい ”お就活”で求められる親がすべきこと、すべきでないこと

 ではどういう親の対応が望まれるのか?

 当社サービスを利用される中で、本ブログを読んでいる就活生の親御さんも多いため、あえて細かくは触れません。が、少なくとも、①就活の時に親が関わらないことはこの業界では不利になるということは確かだと思います。周りにどういわれようが積極的に介入してよいと思います。20歳過ぎたからその子に任せるべきだ、では今の複雑怪奇な就活、特に情報が得られにくい障害者枠の就活を戦い抜くのは至難の業です。

 でも、一方で、②自分の子どもを信じ、必要以上に苦しめないことが重要で、当社につながる熱心な親ほど②の罠にかかることが多いです。あまりにも介入しすぎると、ご本人の気持ちをそぎ、親を満足させるための行動しかしなくなります。これではなかなか生活リズムが安定せず、精神的に落ち着かず、就活で受けられる企業数が減ってしまうことが予想されます。

 就活は最終的には人と人のフィーリング。ご縁です。もう少し言うと多少面接が下手でも、多少作業力が劣っていても、学力的に低くても、「可愛げ」がある方が好まれます。「可愛げ」を最大限に引き出すために、①の介入は重要なのはもちろんですが、②のポイントを押さえていただき、息子さん・娘さんの良さをつぶさないことは本当に大事にして頂きたいと思います。

 ②で失敗する親の多いこと…。自分の子どもを信じる力が”お受験”でも”お就活”でも必要なのではと感じています。

関連サイト

 

 

 

Kaien設立7周年 あまり変わらぬ過去3年に気付く

 Kaienの創業は2009年9月18日です。今日で7周年となります。2日前まで忘れていました。スタッフの指摘で気づきました。

 ちょっと調べたら毎年この記念日にブログを記していました。我ながら律儀です。

 読み返したら、4年目以降は大して言っていることが変わりませんね…。はじめの3年は頑張っている感が本当にありますが、そこからは成長がないなとよくわかりました…。そりゃあ創業日を忘れるわけだなぁと。今日も一生懸命には働いていますが、今のところ平凡な一日です。

 この1年も仕掛けたことがあるつもりです。また会社の規模は大きくなって(去年に比べると川崎と三鷹に事業所が増えて、当社のサービスを全国で行ってもらうパートナーシップ制度も東北や北陸、九州で始まって)います。がしかし、自分がやっていることは大して変わらないようです。

 8周年はもう少し充実した振り返りと前途を記せるような動きをしていきたいと思います。ある程度自分自身で課題はわかって動いているつもりですが、中途半端で、かつ殻を破れていないようですので。

NHK Eテレ バリバラ 『発達障害のある人の就労』 が放送されました NHKの看板番組!にKaienと利用者が登場

 昨夜バリバラが放送されました。ちょうどスタッフ全員合宿のため、19時からの放送は多くのスタッフが疲れて見られなかったようですが、皆さんどうお感じになりましたか?

 当社の利用者も大阪のスタジオに呼ばれて出演するなど、当社のスタッフ・利用者が全面協力する内容で、内向きには盛り上がりました。この界隈では大変有名なモデルの栗原類さんがゲストで登壇されていましたし。

 見逃した方も①再放送(木曜深夜、つまり金曜0時)がありますのでぜひご覧ください。また②バリバラのウェブサイトで放送内容はテキスト化されています。僕は家にテレビがないので、②で我慢する予定です。

 最初に「雑談の練習」ということで取り上げられていますが、正確に言うと雑談ではなく、もう少しオフィス内での目的のある会話の練習なのですが、説明すると違いがやや長くなるので省略します…。

番組サイトから転記
番組サイトから転記

 

 ネット上では、「こんなうっすらとした特徴の当事者だけではない」、「Kaienは知的に高い人だけ」という声もあるそうです。うっすらとした人はたしかに苦労しない部分もありますが、逆に一見わかりづらく配慮が受けにくいという苦しさもありますし、また当社も創業当初(5年ぐらい前)は確かにIQが高い人が多かったですが、今は本当に様々になりましたということはお伝えしておきたいと思います。

関連サイト

NHK Eテレ「バリバラ」でKaienが取り上げられました

2016年9月10日の放送回「発達障害のある人の就労」で、発達障害に特化した就労移行支援事業所として、Kaien秋葉原の事業所風景が撮影されたほか、利用者がスタジオでのトークに参加しました。

関連サイト

NHK Eテレ 「バリバラ」 ”発達障害のある人の就労”の放送回にKaienが登場

見た目ではわかりにくい発達障害。就職活動や職場で悩みを抱えている当事者は少なくない。また周囲もどう接していいかわからない、という声も多い。番組では、全国でも珍しい、発達障害のある人たちの就労を専門にサポートしている事業所を取材し、当事者が自分の苦手な部分やつまずきに気づくためのヒントを紹介。また、どうすれば発達障害のある人を社員として活用できるか、ある会社の取り組みをもとに考える。

番組サイトから転記
番組サイトから転記

グリー特例子会社が『障害者雇用職場改善好事例優秀賞』を受賞 グリービジネスオペレーションズ社はKaienが設立からサポートしている特例子会社です

 今から5年ぐらい前。ようやくKaienの職業訓練を経由して20人ぐらいの雇用が広がったころ。そろそろ大きな企業に複数雇用してもらいたいと思っていました。ちょうど急成長中のグリーで部長をされていた人を知っていたのでメールを出したら、ちょうど障害者雇用・特例子会社設立を考えているということで、話が急展開。

 その頃は別の有名な企業がコンサルに入っていたのですが、当社の提案を最終的に選んでいただき、3か月ぐらいの超特急で特例子会社を設立。それがグリービジネスオペレーションズ社(以下GBO社)です。以来4年以上関係を続けさせてもらっています。今でも毎月Kaienスタッフが顔を出して、定着支援を行っています。

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 長くなりましたが、そのGBO社が『障害者雇用職場改善工事例優秀賞』(主催:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 後援:厚生労働省)を受賞されたとのこと。実は2年前は『奨励賞』を受賞されていて、今回は『優秀賞』に選ばれています。

グリー社 ウェブサイトより転記

 

 何よりも働いている人、そしてそれを支える現場の上長の皆さんの顔が良くわかるだけに、喜びもひとしおです。グリー社・GBO社への当社支援については以下のサイトでも解説していますので、ぜひご覧ください。

関連ページ

 

必携 発達障害支援ハンドブック

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  • 掲載日:2016年9月
  • 発行元:金剛出版
  • URL:http://kongoshuppan.co.jp/dm/1503.htmlblank_blue
  • 内容:『発達障害支援の現状と課題、発達障害当事者・保護者の視点、制度設計を巡る行政的視点、生活を整える福祉的視点、学校・コミュニティとの連携、発達障害研究、そして習得しておくべき支援スキルまで、変わりゆく現状に即応するためには欠かせない発達障害支援のエッセンスを提供する』専門書です。当社代表鈴木が家族の立場で寄稿しています。

 

LD研究 第25巻 第3号

  • 発行日:2016年8月25日
  • 発行者:一般社団法人 日本LD学会
  • 内容:LD研究第25巻第3号の特集は「発達障害のある大学生の就労支援の現状とこれから」というテーマで編纂されました。当社代表の鈴木慶太が「発達障害のある大学生に関する就労支援について」で3ページにわたる論文を寄稿しています。

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傍若無人な息子が丸く。TEENS利用のビフォア・アフター ~私とKaien 第10話~

『私とKaien』は当社の就労移行支援を利用していた訓練修了生や、ガクプロやTEENSをご利用中のお子様を持つご家族など、Kaienと一緒に発達障害の魅力を世の中に広げていただいている方々へのインタビューシリーズです。

第10話は、高校生でTEENSを利用し卒業とともに就職、現在はガクプロで定着支援を利用しながら社会人一年生として活躍している男性のお母さまに話を伺いました。

傍若無人な息子が丸く。TEENS利用のビフォア・アフター

ゲームセンターに通い詰める息子に困り果てて

 息子はいま18歳。今年4月に就職しました。電機メーカーの特例子会社で、機密情報のPDF化やシュレッダー処理、社内掲示物の貼り換え、その他お手伝いをしています。Kaienのサービスとして、今は定着支援のためにガクプロを利用しています。本来なら定着支援には就労移行支援を使うところですが、まだ18歳なので、年齢の近い人の利用が多いガクプロに入れていただいたんです。

 息子は元々、TEENS生。高校2年生の6月から利用して、高校卒業とともにTEENSも卒業しました。TEENSに入ったのは、息子が学校帰りにゲームセンターから帰ってこないのに困り果てて。高校1年生の夏休みなんて、夜遅くまで毎日通い詰めだったんですよ。2年生では夏休み前にTEENSを始められて、本当に良かったと思いましたね。

 息子の特性に気づいたのは、幼稚園に上がる前でした。地元の母親クラブに参加しても、ほかの子がお母さんにくっついているのに、うちの子は私から離れて一人で遊んでいたんです。多動でつかまらなくって、スーパーに行くと必ず迷子になりました。療育センターに行ったら、ADHDとの見立て。でも多動というだけでは説明がつかない気がしたんです。我慢を強いられるとストレスが溜まって、どこでもひっくり返って盛大に泣いて。幼稚園では担任の先生を独り占めしたり、自分勝手なところがある子でしたね。

学級崩壊から不登校へ

 小学校は普通級へ。面接で「大丈夫」と判断されたんですが、同級生に暴れん坊が多くて学級崩壊の状態だったんです。息子は大人しいんですが、本当のことをずばっと言ってしまうので嫌がらせを受けました。太っているいじめっこに対して、「やめろよ、ブタ」と言ってボカンとやられるパターン。その頃の息子の部屋の壁は、当たって殴った跡でぼこぼこでした。小6の時、空気が読めない息子はいじめの対象となり半年間フリースクールへ通いました。中学・高校一貫の学校に入ったものの、やはり学級崩壊気味でまたもや不登校へ。それで高校からは通信制のサポート校に通いました。この選択が良かった。担任の先生が息子の特性をわかってくれて、息子はやっと、落ち着く場所を得ました。

 就職は、高校に入る前から意識していました。息子はPCが好きな一方、体力がなかったので、就職先は事務職でと思っていたんです。それで早めに高校1年生で療育手帳を取得。川崎市・横浜市なら自閉症・アスペルガー症候群の条件が加われば、IQ91までなら療育手帳が取れます。ぎりぎりの数字でしたね。この時初めて正式に診断書を取ったところ、アスペルガー症候群とのことでした。空気が読めなかったり、こだわりが強くてゲームを止められないところ、先の見通しがつかないことに説明がつきました。空間把握も弱くて、人との距離が近くて、かつ大きな声で話したり。時間の感覚もゆっくりのようで、高1の時は遅刻が多かったですね。

TEENSでは土曜の「お仕事体験」のほかに、平日の学習支援も利用。ブラインドタッチやワード、エクセルなど主にPC練習に励んで、PC検定試験4級を取得した
TEENSでは土曜の「お仕事体験」のほかに、平日の学習支援も利用。ブラインドタッチやワード、エクセルなど主にPC練習に励んで、PC検定試験4級を取得した

 

TEENSで学んだ、「待つ」ということ

 こうした息子の特性も、TEENSに通い始めてソフトになっていきました。土曜日の「お仕事体験」では、職場で発生する場面ごとに、実践的なコミュニケーションを学べます。TEENSホールディングスという架空の会社があって、息子は平社員からスタート。はじめは人が会話をしているところに割り込んでしまったり、突発的に話し始めてしまっていましたが、「今、少しよろしいでしょうか」と聞けるようになったのが成果でした。

 TEENSで息子は、自分のペースで動かないこと、「待つ」ことを覚えられたと思います。メモを取る習慣もここでついて、高校2年生で初めて企業実習に行きましたが、けっこう褒められたんですよ。遅刻も、スタッフに「外出前の何分か前に携帯のアラームを使ってみてください」と言われて、かなり改善されました。

 高校3年生になってからは、就活に集中。採用を前提にした企業実習を3社受けました。3度目の正直で合格できたのが今の会社です。それには、1社目、2社目で失敗をしたのが良かったと思います。1社目、2社目では実習中の態度全般が採用につながる意識が薄かったんですけど、これを学びに3社目では意識も変わって、業務だけでなく、職場の方への対応などにも注意を配れたようです。いまの職場でも、例えば職場の方の話題に努力してついていこうとしたり。息子なりに学習しているんですよね。

TEENS秋のイベント「NHKスタジオパークでメディアを学ぶ」に参加したときの、しおりとパンフレット。しおりには先の見通しがつかないお子さんの特性を考え、イベントの内容がこと細かに書いてある
TEENS秋のイベント「NHKスタジオパークでメディアを学ぶ」に参加したときの、しおりとパンフレット。しおりには先の見通しがつかないお子さんの特性を考え、イベントの内容がこと細かに書いてある

 

もらったものを、社会に返す段階に来た

 いま、働いて4カ月。仕事のやりがいはすごくあるようです。機密情報の管理は「これが漏えいしたら大変だ」と思うと緊張して、けっこう疲れるようです。入社してすぐは出退勤を打刻するためのカードのスキャンを忘れることがあったんですが、自宅でひと月単位のチェックリストを作って持って行ったり。Yシャツは自分でアイロンがけをしたりと前向きです。ゴールデンウィークは鎌倉へ遠足に行きました。2カ月に1回くらい、指導員の方が週末に自由参加の遠足の機会を作ってくれるんです。「お寿司20貫くらい食べた」って、楽しかったみたい。会社は自宅から近くて周りに緑が多いし、何より良い方が多い。入社できて、本当に良かったと思います。

 息子はすごく変わりましたね。小さいときは自分勝手だったり、小中学生の時は環境のせいもあって傍若無人だったのが、段々と自分の中で気持ちを収められるようになって、柔らかくなりました。息子の変化は、TEENSの存在があったから。TEENSと高校の先生、家庭教師の方もそうですが、親以外にも安心できる良い大人に出会って、居場所を見つけて落ち着いたんです。自分がしてもらうと、社会にも何かしたいと思うようになりますよね。それが今の、息子の前向きな姿勢だと思います。

 社会人になりましたから、生活費を3万円入れてもらっています。自分の携帯電話代やガクプロのお金も月約1万円、自分で払っています。息子とこの前、「ガクプロがあってよかったね」という話をしたんです。そうでないと、ずっとゲームをしちゃうから。今の会社にできるだけ長く勤めて、ガクプロの利用を通じて、Kaienともつながっていたい。息子は将来、独り暮らしをしたいらしいんですが、社会人になってから、部屋をきれいにするようにもなりました。これからもきっと、少しずつ、変わっていくんですね。

(取材:2016年7月)

Kさん:TEENS利用を経て障害者枠で今年4月に就職した、18歳・男性のお母さま。現在はガクプロの定着支援を利用してKaienとつながっている。

「森の都」で求められている福祉ベンチャーとは? 岡山・西粟倉村の研修旅行に参加して

 先週末は西粟倉村(にしあわくらS)に研修旅行に行ってきました。土曜日はガクプロblank_blue(発達障害のある大学生向けのプログラム)のセッションの現場を担当しているので、ほとんど首都圏から動けないのです。が、今回は「えいや」と他のスタッフにセッションを任せ、鳥取まで飛びました。

西粟倉とは?

 西粟倉は、おそらく全国一上手に森林を使って村おこしをしている自治体。岡山と鳥取、兵庫に接している、中山間地です。人口は1500人余り。

 西粟倉 ぐるぐるレパブリック
 http://guruguru.jp/nishihour/blank_blue

 この、普通だったら過疎化が進んでいるはずの、典型的な田舎が、今注目を集めています。しかもその勢いを作っているのがローカルベンチャーの群れということで興味を持ちました。ETIC.さんblank_blue の研修で、このムーヴメントの火付け役(の一人だったのだと今回痛感した)の牧さんとご一緒できた、というのも大きかったです。

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西粟倉駅の駅舎、智頭線(ちずせん)という路線だそうです。

 

まさに”明るい農村”

 西粟倉で細かく驚くことがあったのですが、例えば・・・

  • (他の自治体と合併という道を選んだ)旧・東粟倉は、今年新生児が0人だったが、自主自立を選んだ西粟倉村は15人前後になりそう。
  • 人口が増えていて、西粟倉では今住居が足りない。(多くの過疎地域は家が余って大変だというのに・・・なんというぜいたくな悩み。)このため移住者は周辺の市町村に住まざるを得ない人もいる。
  • 観光客も増えていて、毎年、宿泊施設が増えている。それでも間に合わない。
  • 高齢化率は数年後にピークを迎えて、その後下がり続けるだろう!!

 などです。時代に良い意味で逆行している感、満点です。

 伺う前は、平成の大合併を拒否し、独立独歩で1億だった森林関係の売り上げを8億にしているのは、マーケティングの良さ、起業家集めの上手さ、ぐらいかなと思っていました。が、2泊3日滞在して感じたのは、一つ一つ理にかなっている、当たり前の考え・行動の積み重ねにすぎない、ということです。それらの当たり前が重なって有機的に動くことが、実は難しいということなのでしょうけれど。

 3つのポイントでまとめてみます。

① もともと優秀な森の民である

 とにかく西粟倉に行って思ったのは、立派な家屋が多いということです。僕の父母は伊豆出身で、我が家の墓も伊豆の田舎にあり、そこそこの頻度で今でも伊豆には行くのですが、こんな立派な家並はまず見られません。12の集落全部を見たわけではないですが、まあしっかりと建てられた、つまりお金のかかりそうな家が多く、また、廃墟というかぼろぼろの貧相な家もない。長年にわたってそこそこ財を作った村だということがわかります。

 もともとしっかりとした教育をする村で、優秀な人材を輩出し続けていたからこそ、市町村合併しなくても自活できる自信がどこかにあったのでしょう。また、一人一人の個の強さと、個を活かすための地域のネットワーク・コミュニティづくりが元来得意なのだと思います。

 正直、田舎の復興には、何らかのインセンティブをつかって外様(尖った起業家)を集めればよいのだと思う人もいるでしょうが、そして実際、西粟倉はそれを実現していますが、もともといる現地の民が優秀でないと、そもそも起業家は集まってこないと思いますし、上手に使いこなせないと思います。

 いい空気、広い土地、静かな環境は、どこの田舎でもあります。でもそこに良質な人がどの程度いるかというと・・・自信をもってYESと答えられる自治体がどの程度あるか。日本の田舎の何パーセントぐらいがこの基準を満たすのかわかりませんが、少なくとも半数は難しいなと思います。外部から人を引き寄せるにはまず自ら磨かないといけないのですね。

 今回の研修旅行の中でお会いした起業家の方々が、「最後は人ですよ」と言っていたのが印象的です。やっぱり人間は勝ち方を知っている人や集団に惹かれると思います。やはり勝ち馬に乗りたいですから。西粟倉はもともとそういう気質があるのだと思いました。

宿泊した”軒下図書館”
宿泊した”軒下図書館”。天気が良かった!!

 

② 村役場の職員がすごい

 今回は週末にも関わらず、村役場の職員が対応してくれました。しかも僕が所属したチームに付き添ってくれた職員の方は自宅の庭で応対してくださるほど非常にオープンでした。

 もっと凄いのは、スピードや知識や考え方です。

 村役場の職員は40人ほど。ちょうど経営しやすいといわれている一クラス分の、ベンチャー企業のようなものでしょうか。とにかく情報の共有スピードやレスポンスが速いようで、起業家の皆さんも、役場に電話で交渉したら、翌日「どうぞ」と返事があった。めちゃ速い、と喜んでいました。

 その根っこにあるのが職員がリスクが取れるということだと思います。はっきり職員がインタビューの中でおっしゃっていました。「役場としてリスクを取る」と。僕はNHKのアナウンサー時代、まあ数々の自治体職員を取材しましたけれども、リスクを取るという表現を繰り返して、その事例もいくつも言ってくれる人には、まったく(控えめに言ってもほとんど)お会いしたことがなかったです。

 失敗した時に後ろ指さされても「○○が必要!」と思ったら職員は声を上げられるし、それをきちんと受け止める文化に役場全体がなっているのが、他の自治体ではありえないのだなと思いました。

 知識の幅もすごく、今回は企画課の人(つまり村の経営企画みたいな部署ですね)が発達障害のこと、うちの社員並にご存知でした。

 例えば、僕が「首都圏で発達障害の就労移行や放課後等デイというのを経営しています。発達障害というのは空気が読めないとか、ミスが多いとか・・・」と言い始めたら、「あ、大体わかります」と説明を遮られるほどでした。で、その後も「岡山県の教育方針で発達障害がこう取り扱われていることがあって・・・」とか「就労継続B型は・・・」などと、関心高くないと分からないよねというレベルで会話をさせていただけました。

 たしかに森林ビジネスだけでは村は元気にならない。森林ビジネスで人が増えたら、住居ところも必要だし、人が集う場所や娯楽も必要だし、観光客向けの施設やサービスも必要だし、教育や福祉も必要なんですよね。森と同じようでまちづくりも10年、20年、30年単位。つまり世代単位で考えないといけない、というのを職員が共通認識で持っている、長期的な視野を持ったベンチャー企業の社員のような役場職員たちでした。

宿泊部屋。”いのさん”こと社会起業の研究や著書で著名な井上さんと同室でした。
宿泊した部屋。”いのさん”こと社会起業界では有名な井上さんと同室でした。

 

③ 自分たちだけでは出来ないことも知っている

 いわゆる無知の知ですね。西粟倉にはそれが確実にあります。

 ここまでそろっていると、地元の人的・物的資源だけで出来るんじゃないですか、と思ったのですが、お話の中で出てくるのが、「尖った方々が・・・」とか、「起業家の皆さんに・・・」とか、外部からの力が必要と感じている点です。なので、よそ者が溶け込むような雰囲気はあるし、一方で、妙な仕組み・制度は無く、あくまでナチュラルサポート的なのが◎です。

 中でも今、役場職員が一推し(!?)なのが、教育・福祉領域での新アイデア、ベンチャー育成です。

 実際、西粟倉では出生数が増えていて教育が目下の課題(※といっても教育水準は全国平均より上なのだそうで、さすが優秀な民だな!という感じです)だそうですし、周辺自治体も含めて、福祉の需要は当然人が増えると顕在化し、高齢者福祉だけではなく、障害福祉も必要になりそう、という状態のようです。

 「なにーー僕の出番か!!」と思ったのですが、残念ながら予想以上に僕の頭は、タダの”発達障害オタク”であり、発達障害に関するアイデアしか思い浮かばないようで、滞在した3日で西粟倉にフィットした事業プランがひねり出せませんでした。

 ということで、他力本願。

 ちょうど10月8日締め切りで、ベンチャープランを村が募集していますので、ぜひご関心のある方はご応募ください。何かご質問あったら鈴木も現地の方とつなぐなど、アドバイスできると思いますので、ぜひご連絡ください。

 西粟倉 ローカルベンチャースクール 「ひきこもる人」への「働く」を支援
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中野さん 近影(guruguru republic より)
中野さん 近影(guruguru republic より)

 上の記事に写真入りで出ている役場の保健師・中野さんとは、夜に酒を交えながら、発達障害談議に花咲かせました。(ちなみに村からお金はもらっていません。まあせっかく研修に参加させてもらったのに何もアイデア出せませんでしたので、少しばかりの広報に役だてればという感じです。)

まとめ

 もちろん、全ての地元民が、西粟倉の変革をウェルカムしているわけではなく、今は賛成している人も昔は色々と小言を言っていたそうですし、村で起業する人たちがみんなハッピーかというとそこには厳しい現実がありますし、それによって体調や気持ちを崩す人もいることも確かなようです。

 でも総体として勝ち組オーラの漂う村であることは確か。そういえば2000年、僕がまだ大学生だったころ、中国を一人旅して「背中から風を感じる」印象がありましたが、同じような風を西粟倉でも感じました。今の日本は「もう少し頑張れば幸せになれる、お金持ちになれる」というような希望がなかなか感じられないですが、小さな村で当時の中国と同じものを感じるというのは不思議なものです。

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”軒下図書館”という宿の”図書館”部分

 

なぜあなたは発達障害の子どもや大人の支援を仕事にしているのか? シリーズ”懸け橋” Kaien・TEENSで働く意義をインタビューで伝える

コーポレートサイトを立ち上げて1か月。ようやく本来したかった企画がスタートします。それが「懸け橋」です。

誰もが生きやすい社会を目指して
~懸け橋 第1回~ TEENS エイブルシーカー 栗原侑子

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これまでも当社の利用者・ご家族に伺うインタビューシリーズ『私とKaien』がありましたが、今回は支援者、つまり当社の社員にスポットライトを当てています。

この事業は何よりも人がすべて。いい人を探し、適した環境を整備し、実践の中で支援者としてビジネスパーソンとして育てる、ことがすなわちKaienの経営となります。

当社内のウェブサイトや、外部の求人媒体blank_blueで、採用情報はお伝えしてきましたが、より人の生き様にフォーカスして物語を提供しようということで、『懸け橋』を立ち上げました。

懸け橋は、発達障害の子どもを社会へとつなぐ懸け橋でもあり、大人の当事者を企業につなげる懸け橋でもあり、支援者自身・会社自体を次のステージにつなげる懸け橋という意味も込めました。シンプルすぎる名前ですが、徐々に味のある端になればよいと思います。

月に1本の更新が目標です。

自分の得意な型を知るための障害告知・障害受容 障害のある学生の修学支援に関する検討会に出席して

 今日は文部科学省「障害のある学生の修学支援に関する検討会blank_blue」の第5回に出席してきました。合理的配慮という新しい概念が法律に入った今、大学が障害のある学生をどう受け入れていけばよいか方向性を出していく会議です。

 僕も委員として出席しています。小休憩を1度挟むだけの3時間ぶっ通しの会議は疲れます。が、会議後のぼーっとした脳内の中でもいくつか記憶に残っている気付きをブログに残しておきます。

合理的配慮は主張しないとしてもらえない!?

 まずは訂正から。この検討会については以前本ブログで触れましたが、その時にやや誤解のある表現(↓)があったなと気づきました。

大学における障害者合理的配慮 特に発達障害のある学生の就労支援について

一つ目の権利主張ですが、つまり配慮されるのは権利だ!と主張することが前提とされていて、逆に言うと主張しないと認められにくいということだと思います。

 権利主張をしないと合理的配慮がされないというようにも読めますが、「そういうことはない!!」ということが今日の第5回会合で繰り返し強調されていました。”障害学生”が主張しない場合でも”大学”が合理的配慮しなくてよいというわけではないよ、ということです。

 もちろんご自身が主張することが基本なのですが、それが絶対の要素ではないということですので、ご安心ください。特に発達障害の学生は自分で困り感や配慮を伝えるのが難しく、保護者の立場からは本人に任せると不安ということがあると思うのですが、その点(だれがどのように主張したり、配慮の必要性を理解してもらうか、の支援の入り口)は常識的に様々なケースが想定されることになりそうです。

個別に対応するだけでOKではない そもそも多くの学生を受け入れる事前の対策が必要

 ただもっと重要なこととして、合理的配慮の権利主張を待たずに大学側はベーシックな支援体制を整えないといけないということが今日は印象に残りました。

 そもそも合理的配慮というのは個別具体的な配慮なのですが、合理的配慮の考え方が取り入れる=全体として配慮をしなくてよい、というわけではないということです。今日の会議でも、合理的配慮の細部を詰める前に、しっかりと大学がそもそも事前に行う体制づくりがあるよね、という話を複数の委員が繰り返されていました。

 僕が個人として感じたのは日本の大学の特殊性です。もちろん各国によって大学の位置づけはそれぞれの意味を持つのでしょう。が、そもそも合理的配慮の基礎となっている障害者権利条約がどうしてもアメリカ発なので、アメリカの大学が条約のベースにあるのだと思います。

 日本の大学、アメリカの大学院に通った経験からすると、たしかに二つの違いは肌感覚としてですが結構大きいです。巷に言われている”ステレオタイプ”な印象としても、日本の大学とアメリカの大学は

  • 学力試験のみで入れる vs. 学力は一つの評価でその他地域貢献など多面的に入試で見られる
  • 多様な(含・障害学生)が通うことが珍しい vs. 障害学生(含・障害学生)が通うことが前提
  • 基本的に卒業させてもらえる vs. 卒業する人のほうが少ない

という感じで、同じ条約を基にしても、法律の作り方や、その運用の仕方は異なるのだと思います。そもそもいろんな人が通うことが前提とされるアメリカは合理的配慮の前に出来ている部分がおおいのでしょうね。

権利主張するための教育を小さいころから(≒告知は早めに!!)

 学生自体が権利を主張するという素地がほとんどない教育を受けてきている日本の学生と、自分に有利になる事なら積極的に主張するアメリカの教育を受けた学生では、こういう配慮をしてほしい!!と求める力が大きく異なることは検討会でも通奏低音のように流れています。

 日本では「障害・特性告知=マイナスなことを伝える」という風潮がまだ強いと思いますが、今後の法体系で上手に社会に適応していくためには「障害・特性告知=凸凹を理解し自分に有利な道を選択しやすくする」という考えがやはり求められるように思います。

 自分の強み弱みを理解することは、決して障害の有無・多寡にかかわらず、重要なことです。自分の得意な型にもちこんで自分の実力を発揮しやすくするのは、その組織にとっても社会にとってもよいはずです。例えば、職場では「自分はこういう環境だと上手に働ける価値を高められる」、「こういう人と一緒に働かせてもらえると業績が上がる」と上手に上司や人事と交渉し、実際に結果が残せた方が、会社にとってもご本人にとっても良いと思うのです。

 もちろん合理的配慮というのは”周囲と当事者の対話”によってどの程度提供されるか決まるので、すべての主張が大学で認められるわけではないです。また自分勝手ととらえられてしまうほど周囲にしわ寄せが行くのはもちろんダメでしょう。でも、告知と言いますか、自己認知と言いますかを早めにして、自分の勝ちパターンを周囲に作る力、少なくともそれを周囲に求める力を大学生と言わず、小中高生の段階から子どもに持たせたいなと思います。

 最後は我田引水で締めますが、当社の放課後等デイサービス TEENSでは夏休み最後に「かたりば・しゃべり場」を開催します。自分の特性を認めることで、小中高生のうちから、告知や障害受容を「自分がより生きやすくなるための積極的な自己理解の方法」にしてもらいたいと思います。

放課後等デイサービスの夏休み② 発達凸凹仲間と語ろう・しゃべろう!

熊本で広がる お仕事体験の輪

先週、当社の子ども向けのサービスでミスが起きました。この1週間対応に追われていました。起こるべきして起こったことでもあり、身から出た錆という感じです。事前に気付けなかった悔しさもあります。

起きたものは仕方ない部分もあり、これを機にしっかりと対策を打たないといけないと思っています。課題と対応策については10月に予定している保護者会でお伝えする予定です。

平穏ですがよ~

NHK時代の夜勤、消防や警察に事件事故が起きていないか電話で聞いていたのですが、午前2時ぐらいの電話で警察署の当直の人が「平穏ですがよ~」(鹿児島弁)と言ってくれると毎回安堵していました。

今日は久しぶりに平穏な一日。ベンチャー企業だと毎日がジェットコースターですが、今回のような事例は無かったので、ある程度打つべき手が見えた後の、今日のような普通の一日がとてもありがたく感じます。

シューベルトの交響曲第9番が数年ぶりに聴きたくなり、のんびりとした気分でブログ執筆です。平穏ですがよ-という感じです。

なぜ熊本にTEENSが?

さて、本題。

今年初めから、当社の就労移行支援やTEENS(放課後等デイサービス)のプログラムを地方で活用してくれる 地域パートナーシップ を募っています。熊本からも1件応募がありました。

たまたま地震の直前に見学を予定していたのですが、もちろんそんなことをする状態ではなく、予定が延び延びに。ようやく6月に熊本に行ってきました(その時のブログ記事)。

TEENSパートナーシップ制度 熊本
事業所の近くは崩壊していた建物が多かった

 

当社が出来ることは何かを考え、「Kaien/TEENSのプログラムを提供することでしょう」となって2か月。8月1日から株式会社未来パークさんの「子ども支援室 みらい」が当社の正式なパートナーとして『お仕事体験』をスタートさせています。

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どうやら、夏休みのイベントとして、まずお仕事体験を試運転してくれているようです。子供服の販売や、経理の仕事を体験する様子が、子ども支援室 みらい さんのブログに載っています。

TEENSのプログラムがTEENS以外の別法人で、しかも首都圏以外でスタートしているのはなんだか不思議な感じですが、輪が広がっていく感覚が純粋に気持ちよいです。

明日は函館・札幌へ

明日は北海道に行ってきます。やはり当社サービスを使ってくれる事業者を探しに行く感じです。いい出会いがあればよいなと思っています。

関連リンク

”発達障害を認められない”本人・家族のいる人へのグループカウンセリングを開催

これまで就労移行支援や放課後等デイサービスの説明会を開催していて、必ずと言っていいほど1、2人、寂しそうな顔をして帰る人がいました。

  • 「TEENSに通わせたいんだけれども、本人が納得してくれなくて」とか、
  • 「Kaienに通いたいけれども、親が自分の障害を認めてくれないので不安」とか

そういう声です。

本人が、あるいはご家族が受け入れてくれるにはどうしたらよいのだろうか、受け入れてくれないとしても同じ境遇の人たちが集まると少しは心が晴れるのではないだろうか。

今まで当社に通える人たちを相手にしていただけなのですが、当社につながれない周辺で何が起こっているのか、何を家族や本人が感じているのかを知ることは当社の今後の事業展開にも重要な気がしていました。

ちょうど2週間連続で日曜の午前が空いたこともあり、きょう午前川崎で初開催しました。『診断・特性を認めてくれない 発達障害(含・疑い)のあるご家族のいる皆様へのグループカウンセリング』です。

groupCounseling

参加していただいたのは5人。いわゆる”当事者”が2人で、”親”が3人です。ちょうどよい人数だったこともあり、90分があっという間でした。

こういう仕事をしていると、どんな人にも傾向は少しはあるものですので、発達障害の特徴というのは受け入れを拒絶するほどのことでもないのはわかるのですが、やはり僕自身も初めに我が子の診断を聞いた時に素直に受け入れられたかというとそうではなかったのを改めて思い起こしました。

今日の学びが今後の自分の仕事に、会社の事業にどうつながるかはわかりませんが、今後もささやかに続けていこうと思える時間を過ごせました。

来週は新宿で開催(関連リンクをご確認ください)。その後も数か月に一度、開催していこうと思っています。

関連リンク

  • ~なるほど発達障害~ 定例セミナー Kaien Meetup → こちら
  • 発達障害に特化した 就労移行支援 → こちらblank_blue
  • TEENS 小中高生向け 放課後等デイサービス→ こちらblank_blue