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海外メディア 『アスペルガー症候群とIT産業、そしてハッカー』

2011年6月26日

週末の午前は、自閉症スペクトラム関係の海外のニュースをリサーチしているが、今日はこれまでも再三触れてきたアスペルガー症候群とITとの関係。

※ちなみに「自閉症スペクトラム」というのはあまり日本では馴染みがないが、主にアスペルガー症候群と広汎性発達障害、そして伝統的な自閉症を含めた総称である。

IT業界にアスペルガー症候群などの自閉症スペクトラムの人が多いのではないか、というのは以前から言われていた。それについての最新研究が、先ごろ欧米系のメディアで報道されている。日本語訳があったのでそちらを紹介したい。

WIRED(日本語) 『IT業界と自閉症スペクトラム』
ウォール・ストリート・ジャーナル(英語) 『Autism Among Techies』

WIREDに使われている写真は非常に誤解を招くものだが、記事は良好。それによると『ケンブリッジ大学の研究者が、オランダの3地域で集められたデータに基づく分析を行い、IT産業に関係する地域に「自閉症スペクトラム状態」が多く見られることを明らかにした。』とのこと。

このケンブリッジの研究者は「アスペルガー症候群=超男性脳」説を提唱している人であり、研究者というよりも評論家のような気がするのであるが、今回の研究はとても納得感がある。しかも『自閉症の遺伝子は「適応性がある、有利な特性」と関連している』としている。たしかに遺伝として残っているのであれば、単純に考えると理由があって淘汰されていないわけである。それが現代の世界では数学・物理・ITといったところで力を発揮しやすいというのは、きれいな仮説ストーリー。

ただし、、、今週末は、その方向性が悪く受け取られるのではないかというニュースも目にした。イギリスのメディアを賑わせているハッカー問題で逮捕されたRyan Clearyという19歳の少年が、アスペルガー症候群だというのだ。 

CBS News 『U.K. hacking suspect has autism, lawyer says』

またか、、、と言う感じ。以前のこのブログのエントリー『海外メディア 『ウィキリークス事件に見るアスペルガー症候群』 (2)』でも書いたとおり、たしかに自閉症スペクトラムの人でプログラミングなどに秀でた人は多いというのは周知の事実にちかく、しかも繰り返し似たようなことを行えるというハッカーに必要な要素を兼ね備えた人も多いのはわかる。でも適性があるのと反社会的な行為を行っていいのは別であり、しかも捕まったからと言ってアスペルガー症候群を理由に刑を軽くする交渉を始めるのは、個別案件では有りかもしれないが、総論としては疑問を感じざるをえない。

ウィキリークスとアスペルガー症候群のシリーズでも引用した記事が日本語訳されているので、そちらも参考にして欲しい。WIRED(日本語)『アスペルガー症候群とハッカー』

今回の事件は英国と米国の合同調査である。米国と英国におけるハッカー問題としては、米国防総省のシステムに侵入したものの、米国への身柄の引渡しが遅れているGary McKinnon氏の問題がある。実はMcKinnon氏の問題も、アスペルガー症候群を理由に紛糾している。

せっかくの才能。無いものからすると、有効に使っていただきたいという気がする。

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