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社員合宿の成果 発達障害のある男子向け 性教育イベント開催報告”攻め”の「男子会」と、親御様を集めた「裏男子会」を同時開催

2017年2月12日

 一ヶ月ぶりのブログ更新になってしまいました。そんなに忙しいわけではないのですが、当社のサイトでの執筆に忙しかったのと(例えば今日は以下をあげています)、社長として書くネタがやや枯渇していた感じでした。

【参考】 発達障害とコミュニケーション 苦手の原因は発達障害か?社交不安か? 発達障害の人の視点で議論してもらいました ~キスド会 2017年2月 開催報告~

 今日は久しぶりに、これぞKaienという話題がありましたのでご報告です。

社員合宿でブレスト 発達障害の特性を意識した性教育イベント

 当社は半年に一回社員合宿を行っています。そこでは新入社員への詰め込み学習を行う他、FedEx Dayという新しいアイデアを出すプログラムも実施しています。

【参考】研修・人材育成 発達障害支援のプロフェッショナルを育てるために

 半年前?1年前?の合宿で出てきたのが性教育の話題でした。コードネームは『ピンクTEENS』。当社の小中高生向けの放課後等デイサービス・TEENSを”ピンク”にしたらという発想で始まっています。

 TEENSはそもそも「働く力を育てる」というのがテーマです。が、この年代の男子のいる親御さんにとってどのように性を伝えるかというのは、(同年代からなんとなく学んでいくことが難しく、かつ直截的に伝えないと分からない)発達凸凹の特性を考えると、なかなかの難問となっています。性は働くことに直結しないかもしれないけれども、明らかに伝えたほうが良い話題だよね、ということで、総勢40人ほどが参加するイベントを初開催することになったわけです。初開催ということで、当社利用者に限ってのご案内となりました。

 当初は、ラブホテルを借りて開催!という案も模索して、実際にスタッフが調べたということですが…結局は当社の会議スペースを利用しています。予算的に無理だったそうで、不可能ではなかったようですが…。

攻めを意識 今回は”オナニー”をとにかく具体的に

スクリーンには、問題 「毎日オナニーするのっておかしい?」 ①異常 ②普通 ③体に悪い ④頭が悪くなる と表示されています。ちなみに最も多かった回答は④でした。

 

 とかく、こういうイベントはお茶を濁しがちですが、『視覚化』『構造化』『単純化』が基本の発達障害支援を踏まえ、今回の「男子会」ではまっすぐに伝えています。

 例えば、どこでオナニーすべきか?しちゃいけないタイミング・場所はなぜか?とかそういう話です。このあたりは事前にだいぶスタッフが気にしていたのですが、出来る限り具体的に伝えちゃって大丈夫という方針は間違えなかったという印象です。

 当然、保護者から「ちょっとHな話が聞けるらしいよ」程度で集まった子どもたちははじめはやや面食らっていましたが、当社のスタッフもそのあたりのファシリテーションは慣れているので、最後は個別に相談が来るぐらいに盛り上がっていました。

 別室では「裏男子会」ということで保護者の方にもイベントを開催しました。送迎できた親御様が待つだけではなく横のつながりや話し合いができればということと、もしお子様の具合が悪くなったときなど不測の事態に備えて、という狙いでした。同時開催でよかったというのが今回の一番の成果でしょうか。個人的にはお母様方の熱量を感じました。

 ただし、今回のイベント。幾つか課題も出ました。今後全国で障害児への性教育をする企業・団体は増えると思いますので、初回の気づきを少し書いておきます。

”秘密の窓”を開けられ困惑するお子さんへの対応

 自閉症ならぬ「自”開”症」(積極奇異といいましょうか、発達障害のお子さんの中には”あけすけ”な感じのお子様もいます)のお子さんは全く問題なく参加いただきましたが、いわゆる自閉度が高めのお子さんは情報量の多さや想定外の内容に驚いた他、(心理学の『ジョハリの窓』でいうところの)「秘密の領域」だと思っていたものが実は「開放の領域」だったというショックを受けた(と思われる)行動が見られました。

ベネッセ教育研究所さんの(僕への)インタビュー記事から転記させていただいています

 

 ある程度の”想定外”を予想して、僕自身もイベント会場にいたわけですが、実際に開催すると、事前のシミュレーションではわからなかった部分も具体的に課題として浮かび上がりました。今回、どのように対応すべきだったか、そもそもどういう告知や伝え方が望ましかったかを踏まえて、次回の開催につなげたいと思います。また今回やや困惑した状態で帰ったであろう数人のお子様はしばらくモニタリングの感度をあげていきたいと思います。

異性が好きという感情が分からない!?

 「異性が好きという感情がわからないのではないか?」振り返りの中で当社スタッフから出た言葉です。ただし、今日はLGBTの話も盛り込みましたが、決して同性が好きな人が多いというわけではないです。「恋愛感情がよくわからない!?」ということが想定外でした。

 個人的な印象では、おそらく「恋愛感情」はあるけれども、①発達障害のお子さんは精神年齢がどうしても遅く発達しがちなので、中高生ではまだ恋愛感情として醸成されきっていない、という見方と、②恋愛感情はあるけれども、感情というのは抽象的な概念であり、具体化されていないものを伝えることが苦手な彼らに発言を求めると「ない」ということになってしまうのでは?ということです。

 いずれにせよ、今回はオナニーに着目していますが、そのような独りでする、具体的なものは伝わりやすいものの、セックスや恋愛感情の伝え方という、複数の人が関わったり、抽象的だったりするものをどう伝えていくかは課題として残りました。

就労・児童・総務のスタッフ総力戦

 最後に今回のイベントを企画・運営した3人の写真で締めくくります。いい笑顔です。

 今回は実はTEENS(つまり児童・教育部門)のスタッフだけではなく、大人向けの就労移行支援、バックオフィスの総務スタッフも参加しています。部署・拠点にこだわることなく、言いたい人に言う、動きたい人と動ける、したいことを形にできるという社風をこれからも大事にしていきたいと思います。

 次回開催も既に視野に入っています。既に女子会は開催していますがもう少し性の問題を掘り下げたり、あるいは男子会も年齢別に細分化したり、TEENSやガクプロ(大学生・専門学校生向け支援)に通っていない外部向けに開放したりと、考えています。

 ピンクTEENSの第2段を乞うご期待。

関連ページ

  • 就労移行支援 発達障害の人に特化した職業訓練・就活支援・職業紹介・定着支援
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