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息子の孤高の人生に道筋がついたKaienとの縁 ~私とKaien 第6話~

2016年4月25日

『私とKaien』は当社の就労移行支援を利用していた訓練修了生や、ガクプロやTEENSをご利用中のお子様を持つご家族など、Kaienと一緒に発達障害の魅力を世の中に広げていただいている方々へのインタビューシリーズです。第6回は、大学一年生からKaienの就活プログラムを利用し、ガクプロ、就労移行支援を経て不動産会社の障害者枠に就職した、23歳男性のお母さまにお話を伺いました。

息子の孤高の人生に道筋がついたKaienとの縁

保育室から脱走、孤立型アスペルガーの息子

 息子は23歳、孤立型のアスペルガーです。Kaienを初めて訪ねたのが4年前の2012年1月4日、大学一年生のときでした。将来の道筋がつかなくて暗中模索だったときです。社長である鈴木さんの第一印象は「クールで厳しい方」。後々この印象は変わっていくのですが、面談では「漫然と大学に行っていてもね。いくら勉強ができたって、このままじゃアルバイトも受かりませんよ」と言われて大ショックでした。でも、うすうす気づいていたことをはっきり指摘されたことで、するべきことが見えました。息子の将来に光が差したと思ったんです。

 息子は小さいときから一人で行動する子でした。集団でいるのが嫌で、保育園のときはよく保育室の鍵を開けて脱走しました(笑)。6歳で児童精神科を受診したときは多動の部分が注目されて、ADHDとの診断。でも私はどうもその診断に納得できず、小学校3年生でよこはま発達クリニックへ行きました。そして初診日にアスペルガー症候群と言われたんです。この病院には今も通院しています。

 人と話すのが苦手で、自分の考えを口にするのにもとても時間がかかる子でした。スクールカウンセラーとのやり取りも最初のころは筆談でしたし、困っていることがあってもなかなか話さない。勉強は割と得意で、保健室登校もしつつ小・中・高校とずっと普通級でした。中学のときだけいじめられましたが、そんな時でも「大丈夫」「何も困っていない」と話さないんです。本人の状況をできるだけ把握しようと、小学校6年間は、私と担任の先生とで毎日交換日記をしていたくらい(笑)。

 集団行動と同級生も苦手。運動会、学芸会、体育祭、文化祭とすべての行事に支障が出ました。移動教室は大部屋にクラスの子と一緒に泊まるが嫌で、小学校6年生のときは副校長先生と同じ部屋に二人で寝たという(笑)。息子は落ち着いた年上の人に一対一で対応してもらうのが好きなんです。同級生って、容赦ない評価をしてくるじゃないですか。保育園のときも、脱走の目的地は園長先生の部屋でしたから。小中学校でもたまに校長室へ。基本的に穏やかで落ち着いていて、優しい人が好きなんです。

論理的思考のできる鈴木さんにあこがれて

 そんな息子が、意外にも鈴木さんを好きになりました(笑)。あこがれたんですね。指摘は厳しいですが的確で、冷静に説明してくれる。息子は納得しないと動けないタイプですから、頭ごなしではだめなんです。自分ではできないながら、論理的思考やそれをできる人も好き。鈴木さんと面談する前は「大学1年から『就職応援パック』なんて行ってどうするの」と言っていた息子が、鈴木さんに会いたくてやる気を出しました。そして一対一の面談を重ねるうち、鈴木さんの熱意と愛情もわかってきたんです。

 利用を開始した時はまだガクプロがありませんでした。大学3年でガクプロへ異動しましたが、どちらにしろ、うちは就活はKaienにお任せでした。月2回の鈴木さんとの面談を頼りに、応募書類の添削から面接練習まで、濃密にやりましたね。面接練習の話し方がロボットみたいなので抑揚をつけたり、批評家みたいな偉そうな視点を直したり。本当はガクプロの飲み会にも参加してほしかったんですけど、一度も出られなかったです。すべてのプログラムに乗らなくても、目的別の利用を認めてくれるのがKaienのいいところですね。

 大学2年生の冬には年賀状の仕分けのアルバイトに落ちて、鈴木さんの予言が当たって親子ともども大ショック(笑)。でも新橋でまだ募集していると聞いて、今度は受かりました。息子は仕分けがすごく面白くて楽しかったみたいで、結果的に大学3年と4年でも同じアルバイトをすることになりました。

 仕分けの面白さを知ったことが、今の仕事にもつながっています。大学4年生の2月に受けた、障害者枠のハローワーク合同面接会で決まった会社です。息子は「一生で一番大きい買い物が不動産だから」と不動産業界に興味があって、面接会でも業界を絞って受けました。4社受けて1社だけ選考に残り、内定が出たのがなんと7月3日。会社が選考を急いでいなくて、面接2回、実習1回をゆっくり受けていきました。入社日は8月1日です。

 大学卒業と同時にガクプロから就労移行支援に移っていました。就労移行支援には4カ月しか在籍しませんでしたが、就職の準備期間として、勤怠を安定するのにとても役に立ちました。息子は大学時代ずっと昼夜逆転の生活をしていましたから。評価表の制度もよかったです。発信や受信などソフトスキルを10段階評価で客観的にフィードバックしてくれる。自己評価が高い息子ですが、スタッフ・講師の評価と比べて意外にずれてないな、とかちょっとここは課題かな、とか、分かりやすいんですよね。

携帯電話

祖母から譲り受けた携帯電話。メールはできない、話すだけの「らくらくホン」。就職するまで携帯電話を持っていなかったが、緊急時の連絡手段として持つように。

定着支援でスタッフに会えるのを楽しみに

 働いて8カ月になります。障害者枠の人だけ20人くらい集まっている部署で、息子も働いています。仕事内容はデスクワークと軽作業が5割ずつ。息子の好きなメール便の仕分けと届けは1日2回あります。郵便局等から届く便を、3つある会社のビルにそれぞれ届けに行くんです。マニュアルがない会社で、先輩について覚えていきます。息子は記憶力はいいし、PC作業と日報がないところも、本当に合っているなあと思います。私に似たのかアナログだし、文書を書くのも苦手なんです。就労移行支援でもPC作業と日報には相当苦労していましたから。

 今のところ、仕事には一日も休まずに行っています。本人としては、仕事は10点中7点。完璧主義の息子にとっては、かなりいい点数です。やりがいもあるみたいで、部署のレイアウトが変わるたびに覚えなおしたり、全国の支店名を覚えようとしたり、メール仕分けを効率化するために本人なりの工夫をしています。定着支援は1カ月、3カ月、6カ月の3回ともスタッフの方の鈴木さんが来てくれました。同じ「鈴木さん」でも鈴木社長とは別の方で、息子のキャリアカウンセリングの担当者でした。本人は定着支援で会えるのを毎回とても楽しみにしていました。Kaienのスタッフは他の方も、みな信頼しているみたいです。

ノート

上司に言われて仕事のメモをノートにつけるように。就労移行支援利用の段階では、メモを取る習慣はできたものの、裏紙に書いてその後の整理をうまくできていなかった。

豊かなソロ活を送ってほしい

 一人っ子なので、親亡き後が心配ではあります。例えば、障害者手帳や障害年金など福祉制度は更新制で申告制なので、これら手続きを期日までに自分でできるかどうか。息子は事務処理が苦手なので、行政とのやり取りが心配です。何かあったときのために、地元自治体の就労生活支援センター、保健師などとはつながっています。いまは夫と私と3人暮らし。この先親が死んでも困らないように、あと2~3年したら一人暮らしをさせて、30歳までには生活を自立させたいです。

 息子には平日は安定して働いて収入を得て、一人の余暇を楽しんでほしいと思っています。いわゆるソロ活です。小学校3年生の時、当時通っていた発達障害の療育機関の方から、「一生友達はできないでしょう」と言われました。本人は口にしませんが、孤立型とはいえ本当は友人が欲しいんです。でも何を話していいか分からなくて、向こうが離れていってしまう。無理に頑張ると傷ついて2次障害につながりかねないですから、主治医やカウンセラーと相談して、小さなころからなるべく人付き合いを減らす方針でやってきました。

 私たち両親が、親であり親友です。小さい時はよく叱っていましたが、障害だと分かってからはずっと「いつも君の味方だよ」と伝えてきました。だから自己評価も高いんですね。趣味作りもソロ活の一環。一人でずっと楽しめる趣味をと、ピアノ、体操教室、重量挙げ、水泳といろいろ体験させてきました。唯一続いているのがスノーボード。高校でもスキーだけは大好きで、大嫌いな合宿にも毎年行きました。好きなことには命懸けなんです(笑)。趣味を楽しみ、孤高の人生を歩んでほしい。一人でいることに、胸を張ってほしいんです。

(取材:2016年3月)

■Aさん:アスペルガー症候群の23歳のご子息を持つ。大学1年生からガクプロの前身にあたる就労応援パックを利用し大学3年生でガクプロへ。昨年に大学を卒業して就労移行支援に移行。利用4カ月目で就職が決まり、就職して半年が経つ。

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