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障害児向けのサービスの経済的価値をどう考えるか?Kaienの社会的価値 ~2016年を振り返る 後編~

 前回の記事「年末のKaien通信簿 今年は赤点すれすれです」では当社Kaienの社会的な貢献度(社会的価値という貨幣に置き換えた物差し)について、2015年と2016年の実績をもとに振り返りました。年を越してしまいましたが、今回は後編として、子ども向けのサービスの社会的な貢献度を考えていきたいと思います。

子ども事業(TEENS)のみの社会的価値 ▲1.2億円/年

 最初に数字をご紹介しましょう。前回の記事にある通り、当社独自開発の(そして当社以外でも障害福祉や就労支援事業で使えるであろう)社会的価値は以下から算出できます。

計算方法:会社納税額+社員納税額+Kaien経由就職者納税額(未来分も含む現在価値)+生活保護減少額(未来分も含む現在価値)ー当社に投下された税金=社会的価値

 2016年にTEENSの事業で出したグロスの価値は4000万円程度。しかし4000万円の社会的価値を出すのに1.6億円程度の税金が投入されていますので、差し引き、つまりネットでは1.2億円以上の社会的”損失”を出してしまったということです。

 どうして子ども向けの事業は”損失”を出しやすいか?考えてみれば当たり前なのですが、子どもは就職をほとんどしないからです。

 つまりTEENSの場合、『Kaien経由就職者納税額』というのがどうしても少なめに出てしまいます。というのも、当社の放課後等デイサービスには400人ぐらいが通っていますが、学年は小学1年生から高校3年生まで12学年のすべてにわたります。つまり単純計算でも30人ぐらい(400人÷12学年≒30人)しか1年に修了していきませんし、以下で触れているように首都圏では大学全入時代のため経済的に厳しさがない場合、障害のある子どもも大学や専門学校に進学しますので、なおの事、18歳の段階で就職する子どもは少ないわけです。

【参考】発達障害のある方の進学進路 「高卒で就職か?大学・専門学校に進学か?」

よくある反論と考察

 もちろん、就職させるためだけではないのが子ども向けサービスです。経済的な価値だけに重きを置いたら、極論を言うと文科省の存在意義が問われてしまうでしょう。教育にどの程度の価値を置くかは人それぞれ、国それぞれですから。

 例えばGDP比で日本は国際的に教育への投資が少ない国であるといわれていますが、予算が多ければよいというわけではないと思いますし、そもそも人材を育てることでは優等生ドイツはGDP比の教育予算は実はそれほど高くないといった側面もあります。とはいえ、少なすぎても良いわけはないです。僕個人もずっと公立で税金を使って育てられましたし、何がベストなのかは難しいところです。

【参考】図録 学校教育費の対GDP比(国際比較)

 あるいは、引きこもりを防ぐ、将来、生活保護など国の支出を増やすのを減らす、つまり納税者になるという経済的にプラスの存在にならなくても、マイナスの存在にならなければよい、あるいはそのマイナスをできるだけ減らす、という視点もあると思います。本当にその通りですが、数値だけ見ると当社の指標だと5人の就職者を出すのと、1人の生活保護の人を働かせるのが、ほぼイコールでした。

 つまり生活保護という国の支出を減らすのは非常に大きな(経済的な)価値がありますが、それでも5人働くのと一緒です。これは鈴木自身の見解ではないですが10人働かせれば2人の生活保護を受ける人を出してもよいということにもなります。放課後等デイで、将来引きこもりや生活保護を出さないと大風呂敷を広げるにせよ、ある程度の経済合理性は意識している必要はあるかもしれません。

 繰り返しますが経済的な価値だけがすべてではないのですが、この記事では経済的に見える価値に着目しています。当社がまた鈴木自身が経済的な点だけを重視しているわけではないのは、ご承知おきください。

2000億円+/年がかかっている障害児政策

 ということで、障害児に対する予算は、①そもそも(障害があるなしにかかわらず)教育にどういう価値を置くのか、②また①のためにどの程度の予算を割くのか、③全体の教育の中で程度や状況の差が多い障害のある子どもにどういうサービスが適当で、④③のためにどういう制度設計があり得るのかが議論になると思います。

 特に③が今、世論としてはほとんどないというのが実際のところかなぁというのが僕の印象です。感情論はあると思うのですが、一人の障害のある子どもの親で、障害福祉の事業者の経営者である僕個人としても、どういうものが良いのかわからないです。

 特に放課後等デイサービスについては、例えばテレビを見させただけで、1・2時間お預かりをしただけで1万円の売り上げを得られるというお金を稼ぐという視点からは美味しさ・簡単さがあり、変な業者が多いという残念さはあります。

【参考】親としてできること 支援者としてできること 経営者としてできること

 少なくとも一つ言えるのは1年で2000億円の予算を使う価値はまだ制度としては出ていないと思います。そのために以下のような記事を書いているのですが…。

【参考】障害児の就学支援 障害に合わせたガイドライン作成について ガイドラインよりも市場原理では?

 本来は、「こういう価値が出ていないから、税金を使うのではなく、消費者が負担しよう(自己負担を増やそう)」ではなく、「価値が出しているから国も予算化してほしいです」と言えるようになりたいです。いや、少し自分のやっていることを正当化させてもらうと、おそらく正しいことをしている実感は現場を見るとあるんだけれども、それをまだ言語化・数値化できていないと思う。なのでもう少し時間をくださいということになるでしょうか。

 2017年末には「こういう感じで数値化できます」「こういうサービスが国として必要です」とお伝えすることを目標にしていきたいと思います。

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