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シリーズ「合理的配慮」 Part 4 自閉症スペクトラムと合理的配慮

【はじめに】 国連の「障害者の権利条約」に署名した日本。しかし批准のためには、これまでの現行法令では対応できない概念「合理的配慮」に対応する法令を整えないといけない。このため今国内的な議論が行われている。このブログでは5回シリーズで現状分析や僕の考えを書いていく。 過去のエントリはこちらから==> Part 0Part 1Part 2, Part 3

【本文】 前回のPart 3「諸外国の合理的配慮」を書いてから大分日があいてしまった。丁度一新するウェブサイトのために、自閉症スペクトラムの方を管理する際に、という項をまとめたので、それを活用して、このエントリーを書いてしまおうと思う。まず、当社の改良ウェブサイトのために用意している原稿は以下のとおり。

///引用始///

職場でのアプローチ・管理法は、様々な方法が取られますが、代表的なものは以下のとおりです。

  • 『TEACCH(ティーチ)法』  米国ノースカロライナ大学でつくられたTEACCH法は様々な現場で取り入れられています。端的に言うと視覚化・構造化です。自閉症スペクトラムの方は耳でインプットされた情報よりも、目で見た情報の伝わり方が良いことを活用したコミュニケーション方法です。具体的には、指示を出すときに、ミニホワイトボードや紙に同時に書きながら伝えたり、ちょっとのことでもメールで指示を出すことを徹底したりするなどです。
  • 『時間と手順の見通し』  これもTEACCH法に準拠したものですが、自閉症スペクトラムの方は予想できない予定や状況に弱いケースがあります。このため出来る限り予定や手順に見通しをつけてあげると落ち着いて仕事が出来るケースがあります。(見通しがつかない部分は、「ここは未確定」などと伝えておけば、対応可能な場合が多いようです)
  • 『指示系統を簡略化する』  日本の職場は責任と権限が不明確で、これも自閉症スペクトラムの方の多くを混乱させます。指示系統をはっきりと簡略化することで、本人のストレスを大きく下げるケースもあります。
  • 『昼寝・短時間労働』  自閉症スペクトラムの人は真面目な人が多く、職場で手を抜くということが苦手です。このため昼食時に10分程度でもゆっくりと昼寝ができたり、1,2時間でもフルタイムよりも短めに働けたりすると、安定して長期間業務を行える人がいます。
  • 『こだわりにこだわらない』  自閉症スペクトラムの人は自分独自の方法を貫きたいと主張するケースがあります。いわゆるホウレンソウと結果さえ問題なければ本人のしたいようにさせ、周囲があまりこだわりにこだわらないことも必要です。
  • 『五感過敏への対策ツール』  自閉症スペクトラムの人には五感が鋭敏すぎる人もいます。例えばザワザワしたところで上手に相手の話を聞き取れない人は、声以外の周囲の雑音も耳で拾ってしまっている傾向があります。このため勤務中もイヤホンなどを使い弱音で音楽を聞くと効果があります。またPCや蛍光灯が苦手な人もいるため、サングラスなどを着用すると落ち着く人もいます。
  • 『ロジカルに付き合う』  飲み会への同席や昼食時のちょっとした会話など日常的な人付き合いが苦手な人が多くいます。また殆どの人が体育会系のノリを嫌います。業務で結果さえ出していれば、ロジカルな、サラッとした人付き合いをしたほうがかえって負担にならないケースが多いようです。
  • 『ナラティブ・アプローチ』  自分の論理、自分目線のストーリーに執着しがちな自閉症スペクトラムの人たちに対するアプローチ方法です。複数の立場の違う他者が、例外的な考え方も交えながら複数のストーリーを語りかけ、ひとつのことにひとつの意味しかストーリーしか見いだせずに苦しんでいる人たちに新たな視点を与える方法です。

///引用終///
もちろん、これはいくつかの例ということであって、これですべてのケースに対応するわけでもない。またある人にはこれのうちひとつぐらい行えば、多くの問題が解消したりするので、すべてのものを実行しなくてはいけないというわけでもない。一番訴えたいのは、引用部分には書いていないが、『有能な管理者ならば普段からしていることが多い』ということと、『だれでもそういう管理をしてもらうとありがたいことが多い』ということである。
まず『有能な・・・』ということについて。例えば、見通しをつけることは、すごい上司ほどできていると思う。それだけお客様の状況を把握してある意味上手にお客様をつかみながら、部下の業務を把握し指示を出せないといけないからである。そして『だれでも・・・』ということについては、視覚化とか指示系統の明確化・簡略化とか、そういうのはある意味ユニバーサルデザインというか、してもらって困る人はごくごく少ないと思う。実はデンマークのSpecialisterne社やその顧客企業が、「自閉症スペクトラムの方と一緒に働くと管理能力が上がる」ということをしきりに言っているのだが、本当にハラオチする主張である。
ただ、少し難しいのは、どの人にどの方法が重要なのか分かりにくいこと。各人で微妙に困り具合が違うからだ。1年以上かけて、特に職場のことを中心に100人以上にリサーチをさせていただいたので、だいぶKaienは見えてきたところもあるが、まだまだ途上のところもある。
実は今日もKaienを経由して就職した方の雇用先から連絡があった。順調に働いているということだったので安心したが、その安定化をもたらしたのが、やはりちょっとした配慮だった。ただ、そのちょっとした配慮の方法も、見つかるまでに試行錯誤で工数がかかるというのだと、やはり雇用側や管理側は困ってしまう。つまり合理的ではないので無理ですとなってしまう。ちょっとしたものを簡単に見つけるようにするのがKaienの役割だし、今後ますます強くなっていくと思う。
Kaien会社ウェブサイト  http://www.kaien-lab.com
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「自閉症スペクトラムの方向けのキャリア相談会」申し込み  http://bit.ly/985ume

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