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海外メディア 『考えられる限りの支援を受けた発達障害児の第一世代 大人の世界へ(1)』

今日は発達の凸凹がある10代向けのプログラム(Kaien 4 Teens)を行った。明日も2日目がある。昨日のブログに書いたように緊張したが、初日は参加者の皆さんのお陰でとても楽しく終了した。明日も少しでも楽しめればと思う。

10代の発達障害(疑い含む)の子供と接していて、そして親御さんと話していて、改めて就職をさせたいし、してほしいなということを強く感じた。厳しい現実はあり、またその現実はどんどん厳しくなるが、それにへこたれることなく、大きな夢を掲げて、社会を日々少しずつでも動かさないといけないと教わった気がする。

実は今週、知り合いからニューヨーク・タイムズの記事を転送してもらった。全部で7000単語(文字ではなく単語)の長文記事である。

『自閉症であることと大人の世界で居場所を探すこと』 Autistic and Seeking a Place in an Adult World (New York Times)

冒頭に書いたとおり、アメリカでも、考えられる限りの支援を受けた発達障害の子供たちが、いま大人になりつつある。これまでは幼少時代の支援でさえも稀だった自閉症への対策。早期介入が叫ばれるようになった1990年代になると、日本でもアメリカでも発達障害・自閉症への子供への療育が活発になった。それから20年。子供への支援が広まる中、これまで空白の大人の支援にスポットライトが当たりつつある。第一世代が徐々に大人になりつつあるからだ。

例えば、かの、よこはま発達クリニックでも幼児期から継続療育を受けてきたアスペルガー症候群の第一世代は現在21~22歳ぐらいだと聞いた。療育を受けてきた世代がこれからどのように世の中に向かっていけば良いのか。そして世の中はどう変われるのか?

このニューヨーク・タイムズの記事は1年間にわたってジャスティンという青年を主人公に、発達障害・自閉症の療育第一世代の今を取材している。

恵まれた両親のもとに生まれ、幾多のセラピーで「治療」を試し、絵画という時には高額で売れる能力を得ながら、対人コミュニケーションに大きな課題を抱える。強みをどのように活かしていけば良いのか、どの程度の妥協をすべきなのか?親はどう支えれば良いのか。社会はどの程度のコスト負担や配慮が現実的なのか?そして本人はなにをのぞんでいるのか?

とても冷静にまっすぐに現状を見つめながらも、温かみのあふれるとても良い取材。僕もKaienでの日々の仕事をがんばろうと思ったし、とくに10代の支援にやはり本腰を入れて取り組みたいと思わせてもらった。ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思っている。そこでウェブサイトで10頁にもなる記事だが、そして僕の拙い役になりそうだが、少しずつ訳しながら要約していこうと思う。

初回の今日は1ページ目をほぼ100%訳してみた。とても良いので、ぜひ次回を期待して欲しい。

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ニュージャージー州のモントクレア。ジャスティン・カーナ君。自閉症と診断されている高校生。漫画好きで絵の才能がある。彼は、地元のアニメーションスタジオでの就職試験のため面接練習をしている。

NY Timesから

想像通り、面接本番の朝、ジャスティンは自分で描いたマンガやスケッチを抱えて現れた。作品はギャラリーを通じて販売されたこともある。同行するのはプログラム・コーディーネータのケイト・スタントンポールさん。

オフィスに入った時に彼が発した最初の言葉は、そういう場によくあるセリフとはかけ離れたものだった。ジャスティンは社長室の中でも聞こえるくらい大声で喋り始めた。「こんにちは。これからこの会社が僕の職場になり、君たちは僕の友達になるんだよ」

時は2010年1月。ジャスティンの発言で従業員が不安そうに視線を交わしていた。ジャスティンのコーディネータであるスタントンポールさんは、モントクレア高校の特別支援教室に通う学生たちに用意された「大人への移行プログラム」を担当している。ケイトさんも不安に思っていた。

ジャスティンは10歳になるまでほとんど喋ることがなかった。100人に一人と言われる自閉症の中でもほぼ中程度の症状が出ていると診断されている。彼は、周りに人がいたとしても構わずひとりごとをいい、感情を爆発させることが時々有り、目線を合わせることが苦手で、大好きな漫画の話以外をすることは殆どない。性格やユーモアのセンスで、先生やセラピストや親戚からは慕われているが、20才になっても、ほんとうの意味の友人はまだ一人も作ったことがない。

自閉症は、発達の早期段階での脳の機能障害に起因すると言われている。通常学校を卒業すると我々の周りからは「消える」存在だ。90%もの自閉症者は失業していてアルバイトの経験さえもない。大学を卒業する人もいるが、多くは職がなく、社会から孤立し、親と暮らし続ける。

しかし、ジャスティンは、これまでの時代の自閉症児よりも、効果的なセラピーと、なんとか得てきた教育の機会を、小さい頃から受け続けている初めての世代である。スタントンポールさんが携わるプログラムは、非常に濃密なセッションを行い、また周囲が受け入れる環境があれば、ジャスティンのような人は社会の中で自立できるという「先進的」な前提のもとに動いている。

「ある種の人は社会では機能できないと一般では考えられていると思う。私は、その考えは正しくないと思う」とスタントンポールさんは話す。

今後5年間だけで、20万人ものティーンエイジャーが成人となる。社会に参画する可能性や力については知られているところは少なく、またどのように社会が受け入れるべきかも知られていない。全国的に、隣人、雇用者、同僚たちは、多くは子供の時しか注目されない自閉症をもつ若者たちとおそるおそる関わっている。

「脳神経の多様性」(Neurodiversity)の支持者の中には、次の公民権運動(60年代のアフリカ系アメリカ人の運動が有名)のフロンティアとも言っている。脳が一般とは異なるように動く自閉症の人を職場で受け入れることは、時に特異的な能力を発揮する人たちを活用できるだけでなく、一人1億円とも推定されるデイケア、社会保障、住居負担を軽減することにもつながるという。

しかし努力はなかなか実を結ばない。ニューヨークの郊外に位置するモントクレアでも、スタントンポールさんのプログラムが始まるやいなや、すぐにプログラム廃止の話が持ち上がった。インターンシップ、銀行、ジム、食料品店など学生が足を運ぶ場所に付きそうコストが高いという理由だ。企業も、職場の暗黙の行動規範を理解しづらい自閉症の人を雇うことにはリスクを感じている。

そういった状況には気づかず、多くの自閉症の高校生は自分の中で高まった大人の世界への期待に胸を踊らせている。学校では一対一の援助を必要としていたジャスティン。彼は17才になるまでには、「有名なアニメーター、イラストレーターになること」を夢に掲げた。自分のマンションに住むことも目標にしている。特に犬の散歩を親から頼まれた時などは。

「自分のマンションに住みたいよ」と、何時間もかけて、何度も描いたディズニーのキャラクターのノートを脇に置きながら、ジャスティンはいった。

そんなジャスティンに「父さんこそ他の家に行きたい・・・」と製薬会社の役員をつとめるジャスティンの父親は、イライラしている日にはそうも答えた。

1年間にわたって、ニューヨーク・タイムズの記者は、自閉症のティーンエイジャーの社会へのインテグレーションを目指した、モントクレア高校の「大人への移行プログラム」を取材した。ジャスティンにとっては最後のチャンスになるかもしれないこのプログラム。というのもこのようなプログラムは、高校以上になるとほぼ皆無となり、高校は21才までしか認められていないからだ。

スタントンポールさんはジャスティンが学校を卒業する前に、賃金を得られる職につかせることを誓った。就職することが、ジャスティンのような場合、人生の後半においても社会の一員となっている可能性が一番高い方策であるといわれている。加えて、スタントンポールさんは、より豊かな生活に向けて、職場をこえて社会と関わることをのぞんで、ジャスティンと向き合うことになった。

+++(2)へ続く+++

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