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日本と欧米 発達障害者の就労支援で進んでいるのは?

2014年7月13日

イタリアの団体で、EUの生涯学習機関から支援を受けている(と思われる) AUTO (Autistic Adult Training For New Opportunities)。この団体が、欧米の自閉症スペクトラムに関する就労支援の現状をまとめた資料をウェブで公開している。



AUTOのウェブサイトのスクリーンショット
なにやらとてもイタリアっぽい。。。


Auto (Autistic Adult Training For New Opportunities)
「大人の自閉症スペクトラム者向けの新しい可能性のためのトレーニング」
http://www.autistictraining.eu/

Report on international models and standards being focused on the process of vocational integration and the necessary trainings to improve the employability of people with Autism spectrum disorder!
「自閉症スペクトラムの人のための就職環境を向上するための職業訓練等のプロセスに関するモデルと標準についての国際評価」
http://www.autistictraining.eu/wp-content/uploads/2014/06/final-report-questionnaire-AUTO.pdf

さっとPDFを読んだ。各国の自閉症の発症率や制度面の充実度、そしてSpecialisterneと英国自閉症協会(NAS)の就職支援プログラムの事例が簡単ではあるが取り上げられている。また米国についてはさすがAcademicの国(※僕の個人的印象)だけあって、1990年代から様々な論文がまとめられているのがわかる。

まず些末なことだが、英国のデータを引用したい。どこの国も少なくとも似たような環境なのだということがわかる。これが日本のデータと言われてもピンときてしまう。

  • 63% 成人の発達障害者で、ニーズに合ったサポートが受けられていない割合
  • 60% 当事者の親で、今の支援の薄さが故に、将来的により多くの支援が必要になってしまうと感じている割合
  • 33% 成人の当事者で二次障害であるメンタル不全を発症している割合
  • 15% 成人の当事者でフルタイムの仕事についている割合
なお、米国のデータで発達障害の場合は医療費が一人当たり50万円/年高いとか、障害で6~10倍医療費が高くなるとか、アメリカらしい数字もこのPDFには出ている。Autism Speaksの創設者が自閉症の割合が高くなっていることを、tragic (悲劇的)とテレビでさっぱりと発言しているところからも、米国は自閉症を受け入れるというよりも、直そう、少なくしようという思いが様々な数字に出ている気がして、あまり気分は良くない。
 
 
また、欧米で行われている支援プログラムも、文章を読む限り、特に新味があるわけではなかった。むしろ日本のほうがしっかりとアセスメントして、制度もあり、プログラムも各団体で作りこんで、しっかりと雇用につなげているのではないかと思った。単なるアピール不足みたいな気がする。
 
欧米のほうが発達障害の理解が進んで、、、という人が多い気がする。確かに知識層の理解はやや日本は遅れている気がするが、全体的には欧米よりも日本の福祉のほうが進んでいるところも多い、というのが僕の実感。舶来物を過度にありがたらずに、この手の社会問題への対応のレベルや進み度合いは世界の先進であることを理解したほうがよいと思う。(とはいっても、十分だというわけではなく、むしろ比較的に日本もよいほうというだけで、常に声を上げていかないといけないのではあるが)

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