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「頭でっかちな社会」

2011年5月1日

日曜の夜。The Economistを聞きながらアイロンをかけるという優雅な時間を過ごしていたら、あまりにThe Economistが興味深く、ついPCに戻った。というのも、日本の、しかも自閉症スペクトラムの人が置かれている状況に関連する部分があったから。

聞いたのは「アメリカの失業」という10分ほどのオーディオ。文章はこちら。 Decline of the working man | Why ever fewer low-skilled American men have jobs

全体のストーリーとしては、手に職をつけていない層(≒建築現場や工場労働者など低賃金の仕事についている事が多く、かつ学歴が高くない層だとのこと)が、米国でここ数年著しく失業率が上がっていることを浮き彫りにし、その問題についての提言を行うという記事。

失業者の多くは2つのグループに分かれると言っている。

一つは監獄にいるケース。米国は他の先進国に比べて圧倒的に犯罪率が高いとのことで、一度犯罪を起こすとその後社会に復帰できないということだった。(※日本ではニート問題のほうが大きいが、アメリカではこちらの層が非常に大きな問題だという)

そして、もう1つのグループが「障害者」のステータスを求めるという層だとのこと。ここに僕は、はっとしたわけである。

米国のシステムはあまり知らないが、(米国は国民皆保険ではないのだが)障害者のステータスを得ると行政のサポートにより医療費の自己負担が減り、また障害者手当(のようなもの)も行政から受けられるので金銭的に自己負担が減るということらしい。

Kaienでも、もともと障害者手帳を持っていない人がたくさん尋ねてくる。その人達が景気が悪く一般枠では就職が難しいので手帳取得を考えているというケースは多い。日本に特異な現象かと思っていたのだが、米国でも進行していると聞いて驚いたわけである。数字まで似ていて、20年ほど前は障害者の比率は全人口の1.5%程度だったのが、今では5%になっているとのこと。

世界経済が加速(加熱?)して、社会が動き、そのペースについていくことが何らかの理由でできなくなった人が「障害者」として顕在化する、ということか。戦略を練ったり、人を使ったりする管理層のみが必要とされ、手足となって現場で動く人は切られていく。「頭でっかちな社会」への速度は日本だけではなく、米国でも起きているのだと感じた。(だけど、米国に住んでいたときはあまりそういった大きな変化には気づきにくかった。暮らしたのがたった2年だったからかもしれない。)こうした変化は当然各所で言われているところだと思うが、その影響が日米で似ているところがあるとは。。。

なお米国では労働生産性が非常に良いペースで上がっていたのだが、それについて本記事で話題の中心にいる生産性の低い層を切り落としたことが要因だと言っている。対応としてはやはり北欧が例に出てきていた。労働市場を柔軟にし、雇いやすくレイオフしやすくする一方で、(発展途上国に職がうつりにくい)熟練した職業人にしていく、ということ。日本では基金訓練という公共訓練があるが、多くはあまり良い評判ではない。策は打てども、何かが足りないらしい。残念ながら。。。

それにしてもさすがThe Economist。視点が非常に高く参考になる。

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