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福生市の広報誌 発達障害についてのきわどいコラムについてのきわどい論評

2014年10月2日

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すでに東京都をはじめ関係各機関には情報が広まり、しかるべき啓発活動なども推進されることが決まって一段落したようなので、僕もこの場で触れてみようと思います。

福生(ふっさ)市の広報誌に、目を疑いたくなる発達障害についてコラムが掲載されました。医師会だよりというコーナーであり、執筆者は医師です。まだウェブで見られます。

福生市広報 医師会だより 「発達障害」について
https://www.city.fussa.tokyo.jp/municipal/koho/pdf/m1cpmb0000039eiq-att/26-9-15-7P.pdf

要点としては、発達障害の原因としての、親の子育てによる可能性が、「打ち消され」、「タブーとなり」、「政治的な力関係」で封印され、いつの間に先天的な原因となっている、ということに現場の医師が”警鐘”を鳴らしたもののようです。結びには以下のようなことも書いてあります。

発達障害とは多くの傷を負った子どもたちの心と脳であり、大人の発達障害とは、その傷を引きずりながら成長した大人たちの心と脳です。

もちろん僕の立場は、ありえないーーーー、です。

が、医師もいろいろいますのでそれをどうこう言っても仕方がないです。またれっきとした行政である福生市(ちなみに東京都にあります)がこの文章をそのまま載せているところも仕方ないと思わざるをえないのでしょう。言論の自由が保障された国ですので。。。厚労省や東京都の方針と明確に反する文章なので、なかなか挑戦的ではありますが。。。

僕がここで強調する必要すらないかもしれませんが、発達障害は、科学的には先天的・遺伝的な要素が絡んでいることはほぼほぼ確かで、環境要因があるにせよ子育ての問題ではないことは、コラムの言葉を借りれば「学問として」証明されてきているところです。僕のブログの記事から2つご紹介します。

自閉症スペクトラム研究 最新情報がTED動画に
http://ksuzuki09.blogspot.jp/2014/06/ted.html

発達障害丁々発止8 『発達障害の原因は親の愛情不足、日本伝統の子育てで予防可能という大阪維新の会・大阪市議団の条例案について』
http://ksuzuki09.blogspot.jp/2012_06_01_archive.html

ひとつ目のブログ記事にもある以下の動画は英語なのですが、自閉症の原因を科学的に分析しているのでぜひ見ていただきたいです。日本語に訳せればよいのですが、全訳はまだのようなため、要点のみ上記ブログに書いてありますのでご参考までに。

この医師のいうこともわからなくはないのです。特に幼少時に”育ての問題”で発達障害っぽい、目を合わせない、こだわりが強い、落ち着きがない、衝動的に行動する、などが出るケースはあると専門医もおっしゃっています。が、それは虐待やネグレクトなどのケースであり、決してちょっと育て方が下手だったからというもので困難化するものではありません。

つまり福生市のコラムは、例えば熱が出たら全部風邪であり、インフルエンザも薬の副作用でも熱が出るのにそれを現象面だけ見て一緒に風邪と断じているようなものです。現象面が似ていたとしても、「先天的な発達障害」と「育てに大きな屈折があった行動特性」をいっしょくたにすべきではないでしょう。それこそ非科学的です、、、と、科学を出さないまでも論理的に破たんしています。

ただ同情の余地があるとすると今の医者は忙しいのです。昨日もお付き合いのある児童精神科医の先生とランチを一緒にさせていただいたのですが、精神科の世界は先生方が想像する以上に患者が増える一方で、ただ診療しているだけでは稼ぎにくくなり、とにかく忙しい。場合によっては、発達障害など新しい動きが出てきても最新情報に追いつけないということのようです。いわば、心も脳も傷つくプレッシャーにさらされているのは医者も同じことのようです。執筆時に少し調べればすぐ誤解だと分かってしまう文章が出てきてしまうことに、医師の大変さを感じます。

今回の文章を見て、発達障害の啓発は社会全体だけではなく灯台下暗しというか医療・行政にもしないといけないという事実を謙虚に受け止めるとともに、医者の忙しさからこのようなコラムを書く時間が十分に取れないことに憐れみを感じ、共感・傾聴をしてあげるべきなのでしょう。つまり、(最後に再びコラムから借用すると)今回のようなことがあったとしても「理解の方法は、やはり近づき寄り添うしかない」のかもしれません。

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