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世界初の発見 ADHDの原因に関する報道で感じたこと

2010年10月2日

週末。TwitterのTLを見ていると各地で運動会のようだが、こちらはオフィスで事務作業中。

午前中は自閉症関係の海外情報をリサーチしていた。すると9月30日にADHD関係でイギリスやアメリカのマスメディアがかなり騒いでいたことに気づく。というのも、英国ウェールズの研究者が、以下の発表をしたため。(各報道機関から鈴木が要約)

研究グループが、ADHDは遺伝子の異常で生じるという説を裏付ける証拠を世界で初めて発見した。遺伝子の異常とは、ある特定のDNAが欠けていたり重複していたりの状態とのこと。研究者は「親の育児の責任だという批判を断ち切る画期的な発見」と語る。また「症状が発現するには複雑なメカニズムがあり、親から子供へ遺伝するとは言い切れない」とも話す。

報道ではこの研究に対して多額の資金を提供したところも詳らかにされていたので、そもそも「親の責任説」を一掃するために結論有りきの研究ではという指摘もあった。例えば、別のADHDの専門家は「強引すぎる結論であり、出産前後の環境要因も考えられる要因」と話している。

報道の中であったが、対策をきちんと取る上で、有用な研究だったらどんなものでもウェルカムであるという姿勢には僕も賛成。

なにより感心したのは、CBSの看板番組「Evening News」で研究者が述べていた発言。

「自閉症は以前、親の育て方が悪いということで遺伝子が影響しているということは信じられていなかった。でも今はそんなことを言う人はだれもいない」ということ。

日本ではまだいますよー。という感じで驚きを持って聞いた。確かにいまのアメリカでは自閉症に対する理解が非常に進んでいる。Autism SpeaksやAutism Society of Americaの役割はやはり大きい。

なお、この発言にはもう一つ意味があって、自閉症とADHDをきちんと分けて考えている点。日本ではほとんど一緒の文脈で扱われることがおおく、いつもがっかりさせられている。(※後述)

加えて、リポートのあとにCBSの医療系ジャーナリストが、「ADHDも何タイプかあることが考えられ、診断名が一緒であっても、それぞれのタイプによって対応が異なるであろう」と指摘していた点。

これについては自閉症スペクトラムも同様と考えても不思議はないと思っている。タイプが判るには医療的にも子育てや就業の現場でも時間がかかるだろうが、こういう方向性をきちんとメジャーな番組で提起してくれるのはとても良い。ジャーナリズムの役割を果たしていると強く感じる。

英語だが、記事、映像ともBBCから。 
記事: New study claims ADHD ‘has a genetic link’ http://bbc.in/cdAeQ0

映像

CBSはこちらから。ADHD Link Uncovered
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※前提として。。。日本では「発達障害」という単語で、①自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害、カナー症候群など古 典的な自閉症などで人口の1%程度)、②ADHD(注意欠陥・多動性障害で人口の2~5%)、③LD(例えば読み書きが苦手などの学習障害であり人口の 2%)の3つを指す場合が多い。おそらく立法が「発達障害者支援法」をつくったことで行政用語になってしまったことが大きい。①、②、③の複数が重なる場 合もあるが、そもそも症状や対策は異なるものであり、「発達障害者はXXX」とか「発達障害への対応はXXX」というのは非常に乱暴な議論であると思って いる。米英などでは自閉症は自閉症だし、ADHDはADHDだし、LDはLDだし、一緒くたに扱われることは稀。日本でもはやく発達障害という言葉が一人 歩きせず、本当の効果のある分類をするようになって欲しい。

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