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発達障害丁々発止7 『精神科医のエコノミクス』

2012年4月15日

精神科医はあまり儲からない”商売”である。医学界でも精神科はアウトサイダー。診療報酬なども優遇されていない。利益を出すには二つの方法があると言われる。

  • 一人5分で診察する。(※書類を書く時間などもあるので診察時間は実質数分の場合もある)
  • 薬を大量に出す

細かく書いていくと、クリニックの経営は以下のような式で成り立つ。

  • 売上 - コスト = 利益  つまり、、、
  • 平均単価×診療人数 - コスト = 利益   つまり、、、
  • (薬代+診療代)×診療人数 - コスト = 利益 

ここで診療代は発達障害の場合問診が多いので不変と考えるし、実際そうだと思う。コストもほとんどが人件費などの固定費なので不変と考える。なお、今のところ特に都内の心療内科や精神科は来院する人数じたいはほぼいっぱいいっぱい(※つまり客はたくさんいる)ので、いわゆる稼働率は高位安定と考える。

更に式を分解していくと

  •  (薬代+診療代)×(1時間あたりの診察数 × 営業時間) - コスト = 利益

 というわけで、アンダーバーを引いた、薬代診察数/時 をどのように増やすかが問題になる。

こういったことを多くの人の前で話すのはタブーなのかもしれない。が、あまりにひどい例(※以前から悪い意味で注目していたIクリニックとYクリニック)を先週聞いたので、受診する側も「精神科医のエコノミクス(経済学)」をしり、自らを守る必要があると思った。

特に発達障害の人は「医者」という肩書きを信じやすい。また表向き熱心に話を聞いてくれるという医者と接すると、発達障害のうち多くの人は元々苦手である裏を読むことができなくなる。くわえて一度通い始めてしまうと、新しい人や環境への適応が苦手な人も多く不安を感じる人も多いので、既存の医者にロックインされやすくなる。

基本的には発達障害は脳の構造・機能の違いであり、治るものではない。その発達障害を取り巻く(いわゆる重ね着症候群と言われる発達障害の核を取り巻くように見られる)二次障害の苦しみを、薬などで和らげていくということが、実は発達障害の人に対するクリニックの多くの場合のアプローチだと思う。

信じ込みやすく現状維持をもとめる発達障害の人たちに接する医者の倫理観は通常よりも高いものが求められると思う。受診する側としては、

  • 回転数が早い医者は気をつける
  • 薬を大量に出す医者は気をつける
  • 怪しいと思ったらセカンドオピニオンを聞く

ことが必要だと思う。
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