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2年前に書いた『MBAと起業(5)』

今年7月の母校ケロッグ(米国イリノイ州にあるビジネススクールのケロッグであり、コーンフレークのケロッグではない)の学校説明会に出席することになった。時間のある連休中に学生時代に何を考えていたのかなぁと当時の自分のブログを読んでいたら、予想以上に秀逸なブログに、「昔の俺、頑張ってたな」と思ったので、そのまま転記します。MBAを目指す人には良い文章だと思います。原文(といっても日本語)はこちらから。時制は2009年です。

+++5回シリーズの5回目+++

MBAと起業の最終回のテーマである「社会起業」。まずはケロッグで2年間過ごしてみて、このテーマで思い当たることを箇条書きにしてみました。

  • 日本でも著名なジョン・ウッド(『マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった』の著者で、NPO「ルーム・トゥ・リード」の創設者)はケロッグの卒業生です
  • 日本ではまだ知られていない団体かもしれませんがアフリカ各国で貧困対策を行い画期的な成果を挙げているOne Acre Fundの創設者・アンドリュー・ヤンはKelloggのここ数年の卒業生の中で段違いに有名な人です
  • マーケティングの権威コトラーがこれからの経済のキーワードの一つとしてあげているのは社会起業です
  • ケロッグで今年書かれているビジネスプランのおよそ半分が社会起業であり、ケロッグ内のビジネスプラン・コンペティション、Kellogg Cupの今年の決勝にコマを進めた4チームのうち2つが社会起業です。(準決勝でも8チーム中4チームが社会起業)

そして私たちのプロジェクトKaienも社会起業と人から呼ばれます。投資銀行や戦略系コンサルティングファームがゴールだったMBA生、あるいはビジネスのいろはを教えるビジネススクール自体が大きく舵を切りつつあるのは確かだと思います。

なぜ社会起業なのか? 全体の潮流を分析することは荷が重過ぎますが、私なりに個人的に感じているところを綴りたいと思います。

(私たちのビジネスプランKaienについてはこちらから http://www.kaien-lab.com)

社会起業に学生がシフトしていることはKelloggの教授からも驚きをもって受け取られているようです。少なくとも、学生が書いているビジネスプランの半分が社会起業系というのはKelloggでは初めての現象のようです。

他の学生と話していて感じるのが、社会起業がフロンティア、未開拓分野として受け入れ始めているということです。

フロンティアは時代によって変わると思います。例えば、1950年代は製鉄業や造船業、1960年代は宇宙科学、1980年代はハイテク、2000年頃はインターネット分野といった具合です。それがたまたま今の私たちには社会起業という分野なんだろうと思います。

MBA卒業後、投資銀行やコンサルティングファーム、誰もが名前を知っているようなグローバル企業など勤めたとしても、すでにその地を開拓した先駆者が沢山いるわけであり、私たち若者が付加価値をつけられる可能性は非常に低いといって良いと思います。成熟産業というわけです。

一方で、ビルゲイツなどビジネス界で名を残した人たちやMBAホルダーなどが、環境問題や貧困問題、人権問題などの分野で劇的な成果をあげ始めました。少し調べればわかりますが、みんなやっていることは案外単純です。加えて残念ながら問題はとてつもなく大きく、課題が山積しています。子供の頃から裕福な家庭で育ち、金銭的な定規であまり物事を捉えない今の世代の若者にとって、社会起業は社会からの需要はあるし自分でも出来るような気がするWin-Winの分野になりつつあるのだと思います。

「案外単純なこと」と書きましたがモデル自体が単純なのです。実際に行動に移すことは非常に難しいことには変わりありませんが、executionは企業経営と非常に似通っている部分です。ですからモデルさえ構築できれば後はビジネスの経験やMBAの知識が活きるというわけです。

参考までに「案外単純なモデルの例」としてOne Acre FundとSpecialisterneをあげてみたいと思います。

One Acre Fundはケロッグの誇りなので、英語の少しわかる方は是非ウェブサイトを覗いてもらいたいのですが、彼らのモデルは「アフリカで貧困水準にある集落にマイクロファイナンスの仕組みと基礎的な農業技術の教育を導入することで持続可能な社会を取り戻す」というものです。彼らがオペレーションを行っているところは、土壌もよく雨もしっかり降る恵まれた地域で、かつ人々は勤勉。が、なんらかの理由で農業技術が廃れ、貧困層に陥ってしまい、なかなか這い上がるチャンスを自分たちだけでは得られなかった社会です。こうした人たちにマイクロファイナンスと基礎的な農業技術の教育という既に各地で実証された二つの方法を組み合わせて問題を解決し続けています。

つまり、

  • 初期資金と農業技術が不足し、貧困にあえいでいる
  • しかし気候・土壌・人のやる気は問題ない

という現状を、

  • マイクロファイナンス
  • 農業技術の教育

の二つの方法を組み合わせたモデルで解決しようというわけです。

同じように、私たちKaienが参考にしているSpecialisterneは、

  • 自閉症の人はコミュニケーションの弱さから非常に高い失業率に悩んでいる
  • しかし特異な能力があり、知的な水準も一般と変わらない人が多い

という現状を、

  • Visualを多用したり、遠まわしの言い方を避けるという既に確立された対処法と、
  • 異常発見能力や繰り返し作業への耐久性を必要とするソフトウェア検証という作業

とを組み合わせたモデルで自閉症の人に職を提供しています。

このロジックは色々な社会起業で「高校野球でランナーが一塁にいる時に送りバントのサインが出る」ぐらい頻繁に使われている常套手段だと思います。何が美しいかというと、そこまで業界の知識や経験を必要としないことです。問題さえ見え、解決策を既存のものから引っ張ってこれれば、誰でも挑戦するチャンスがあるのだと思います。つまり、宇宙工学の知識・経験がないととか、ソフトウェアエンジニアでないと、というような制約が少ないところが社会起業が急速に広がり始めている一因かもしれません。

ケロッグではRoom To ReadやOne Acre Fundの存在によって、ビジネススクールで学ぶノウハウをどういう風に使えば社会起業として通用するモデルが構築できるのか、という成功体験が蓄えられ始めた段階だと思います。私たちも後に続きたいと思いますし、これを読んでくださっている受験生の皆さんも社会起業に興味をお持ちの方は多いと思います。環境は整いつつありますので、ケロッグやMBAでの1、2年間を是非社会起業などのプラニングに使っていただければ思います。

「MBAと起業」 5回シリーズ終

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