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傍若無人な息子が丸く。TEENS利用のビフォア・アフター ~私とKaien 第10話~

『私とKaien』は当社の就労移行支援を利用していた訓練修了生や、ガクプロやTEENSをご利用中のお子様を持つご家族など、Kaienと一緒に発達障害の魅力を世の中に広げていただいている方々へのインタビューシリーズです。

第10話は、高校生でTEENSを利用し卒業とともに就職、現在はガクプロで定着支援を利用しながら社会人一年生として活躍している男性のお母さまに話を伺いました。

傍若無人な息子が丸く。TEENS利用のビフォア・アフター

ゲームセンターに通い詰める息子に困り果てて

 息子はいま18歳。今年4月に就職しました。電機メーカーの特例子会社で、機密情報のPDF化やシュレッダー処理、社内掲示物の貼り換え、その他お手伝いをしています。Kaienのサービスとして、今は定着支援のためにガクプロを利用しています。本来なら定着支援には就労移行支援を使うところですが、まだ18歳なので、年齢の近い人の利用が多いガクプロに入れていただいたんです。

 息子は元々、TEENS生。高校2年生の6月から利用して、高校卒業とともにTEENSも卒業しました。TEENSに入ったのは、息子が学校帰りにゲームセンターから帰ってこないのに困り果てて。高校1年生の夏休みなんて、夜遅くまで毎日通い詰めだったんですよ。2年生では夏休み前にTEENSを始められて、本当に良かったと思いましたね。

 息子の特性に気づいたのは、幼稚園に上がる前でした。地元の母親クラブに参加しても、ほかの子がお母さんにくっついているのに、うちの子は私から離れて一人で遊んでいたんです。多動でつかまらなくって、スーパーに行くと必ず迷子になりました。療育センターに行ったら、ADHDとの見立て。でも多動というだけでは説明がつかない気がしたんです。我慢を強いられるとストレスが溜まって、どこでもひっくり返って盛大に泣いて。幼稚園では担任の先生を独り占めしたり、自分勝手なところがある子でしたね。

学級崩壊から不登校へ

 小学校は普通級へ。面接で「大丈夫」と判断されたんですが、同級生に暴れん坊が多くて学級崩壊の状態だったんです。息子は大人しいんですが、本当のことをずばっと言ってしまうので嫌がらせを受けました。太っているいじめっこに対して、「やめろよ、ブタ」と言ってボカンとやられるパターン。その頃の息子の部屋の壁は、当たって殴った跡でぼこぼこでした。小6の時、空気が読めない息子はいじめの対象となり半年間フリースクールへ通いました。中学・高校一貫の学校に入ったものの、やはり学級崩壊気味でまたもや不登校へ。それで高校からは通信制のサポート校に通いました。この選択が良かった。担任の先生が息子の特性をわかってくれて、息子はやっと、落ち着く場所を得ました。

 就職は、高校に入る前から意識していました。息子はPCが好きな一方、体力がなかったので、就職先は事務職でと思っていたんです。それで早めに高校1年生で療育手帳を取得。川崎市・横浜市なら自閉症・アスペルガー症候群の条件が加われば、IQ91までなら療育手帳が取れます。ぎりぎりの数字でしたね。この時初めて正式に診断書を取ったところ、アスペルガー症候群とのことでした。空気が読めなかったり、こだわりが強くてゲームを止められないところ、先の見通しがつかないことに説明がつきました。空間把握も弱くて、人との距離が近くて、かつ大きな声で話したり。時間の感覚もゆっくりのようで、高1の時は遅刻が多かったですね。

TEENSでは土曜の「お仕事体験」のほかに、平日の学習支援も利用。ブラインドタッチやワード、エクセルなど主にPC練習に励んで、PC検定試験4級を取得した

TEENSでは土曜の「お仕事体験」のほかに、平日の学習支援も利用。ブラインドタッチやワード、エクセルなど主にPC練習に励んで、PC検定試験4級を取得した

 

TEENSで学んだ、「待つ」ということ

 こうした息子の特性も、TEENSに通い始めてソフトになっていきました。土曜日の「お仕事体験」では、職場で発生する場面ごとに、実践的なコミュニケーションを学べます。TEENSホールディングスという架空の会社があって、息子は平社員からスタート。はじめは人が会話をしているところに割り込んでしまったり、突発的に話し始めてしまっていましたが、「今、少しよろしいでしょうか」と聞けるようになったのが成果でした。

 TEENSで息子は、自分のペースで動かないこと、「待つ」ことを覚えられたと思います。メモを取る習慣もここでついて、高校2年生で初めて企業実習に行きましたが、けっこう褒められたんですよ。遅刻も、スタッフに「外出前の何分か前に携帯のアラームを使ってみてください」と言われて、かなり改善されました。

 高校3年生になってからは、就活に集中。採用を前提にした企業実習を3社受けました。3度目の正直で合格できたのが今の会社です。それには、1社目、2社目で失敗をしたのが良かったと思います。1社目、2社目では実習中の態度全般が採用につながる意識が薄かったんですけど、これを学びに3社目では意識も変わって、業務だけでなく、職場の方への対応などにも注意を配れたようです。いまの職場でも、例えば職場の方の話題に努力してついていこうとしたり。息子なりに学習しているんですよね。

TEENS秋のイベント「NHKスタジオパークでメディアを学ぶ」に参加したときの、しおりとパンフレット。しおりには先の見通しがつかないお子さんの特性を考え、イベントの内容がこと細かに書いてある

TEENS秋のイベント「NHKスタジオパークでメディアを学ぶ」に参加したときの、しおりとパンフレット。しおりには先の見通しがつかないお子さんの特性を考え、イベントの内容がこと細かに書いてある

 

もらったものを、社会に返す段階に来た

 いま、働いて4カ月。仕事のやりがいはすごくあるようです。機密情報の管理は「これが漏えいしたら大変だ」と思うと緊張して、けっこう疲れるようです。入社してすぐは出退勤を打刻するためのカードのスキャンを忘れることがあったんですが、自宅でひと月単位のチェックリストを作って持って行ったり。Yシャツは自分でアイロンがけをしたりと前向きです。ゴールデンウィークは鎌倉へ遠足に行きました。2カ月に1回くらい、指導員の方が週末に自由参加の遠足の機会を作ってくれるんです。「お寿司20貫くらい食べた」って、楽しかったみたい。会社は自宅から近くて周りに緑が多いし、何より良い方が多い。入社できて、本当に良かったと思います。

 息子はすごく変わりましたね。小さいときは自分勝手だったり、小中学生の時は環境のせいもあって傍若無人だったのが、段々と自分の中で気持ちを収められるようになって、柔らかくなりました。息子の変化は、TEENSの存在があったから。TEENSと高校の先生、家庭教師の方もそうですが、親以外にも安心できる良い大人に出会って、居場所を見つけて落ち着いたんです。自分がしてもらうと、社会にも何かしたいと思うようになりますよね。それが今の、息子の前向きな姿勢だと思います。

 社会人になりましたから、生活費を3万円入れてもらっています。自分の携帯電話代やガクプロのお金も月約1万円、自分で払っています。息子とこの前、「ガクプロがあってよかったね」という話をしたんです。そうでないと、ずっとゲームをしちゃうから。今の会社にできるだけ長く勤めて、ガクプロの利用を通じて、Kaienともつながっていたい。息子は将来、独り暮らしをしたいらしいんですが、社会人になってから、部屋をきれいにするようにもなりました。これからもきっと、少しずつ、変わっていくんですね。

(取材:2016年7月)

Kさん:TEENS利用を経て障害者枠で今年4月に就職した、18歳・男性のお母さま。現在はガクプロの定着支援を利用してKaienとつながっている。

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